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チートな俺が、チープなあたしに変わったら、くすぐりに悩まされる日々が待っていました  作者: 広瀬みつか


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30.夜の攻防、その果てに…

 シュナとミユウが和解した後にアストリアとサヤは自分たちの部屋にもどり、部屋には二人だけが残っていた。

 サヤはまたシュナがミユウを襲いかねないと、二人を別室にすることを提案したが、アストリアは今回のことで二人の間に溝ができてしまったことを考慮して、二人の関係を修復しやすくなるように一緒の部屋に泊まることを許可した。


 それぞれのベッドの上で横になるミユウとシュナ。

 まだシュナが不意打ちにキスしてしまったことにより、気まずい空気が流れる。

 そのため、なかなか互いに話しかけることができなかった。

「ミユウ、さっきはごめん」

「何が?」

「じゃけん、あの、キ、キ、キスしてしもうたことよ。流れとはいえ、無理やりキスするなんて、後から考えるとはずいことをしてしもうた……」

「ああ、そのことね。大丈夫。これ、初めてじゃないから……」

「え?そ、そうなんや。君もいろいろあったんじゃね。それはまあええとして……ボ、ボクのキスはどうじゃった?」

「どうだったって?」

「それはその……変、じゃなかったかな、なんて……」

「変じゃないと、思うよ……」

 ミユウとシュナ双方の顔が赤く染まる。

 また部屋中が沈黙に包まれる。


「ボクな、感情的になると野性的になるというんかな?自分の欲望にあらがえんようになるんよ。さっきのキスもそう。やっぱりボクの中には獣の血が入っているんじゃろうなぁ。ミユウはそんなボクを嫌いになってしもうた?」

「そんな、あたしたちは仲間だよ。嫌いになる訳ないでしょ?」

「あはは。ミユウもアストリアやサヤと一緒のこと言うんやね……。うん。それを聞けて安心したわ」

「え?それってどういう……」

「べ、別に気にせんでええよ!さあ今日は夜遅いから早く寝よ!」

 シュナは寝姿勢を直し、シーツを深く被る。

「そ、そうなんだ。まあいいや。あたしも寝よう」

 ミユウも反対側に寝返りをうち、眠りにつく。



 ---



「何だろう……なんだか、重い……)

 ミユウが眠りについてから2時間経った頃、違和感に気付いて目を覚ます。

 体の上に何か重いものが乗っている。そして、その乗っているものがミユウの体に擦り付けている。

「な!」

 下に目線を向けると見覚えのある光景がそこにあった。

 すべての服を脱ぎ捨てたシュナがミユウの上で体を擦り付けていた。

 以前の状況と違うのが、今回はシュナは寝ぼけておらず、意識がはっきりとしていることであった。

「シュ、シュナ!」

「あっ。ばれてしもうた」

「何しているの?!」

「はあ、はあ、寝とるうちに済まそうと思っとったんじゃけど……」

 興奮して息を荒くしたシュナが答える。

「もうあたしを襲わないんじゃないの?」

「そのつもりじゃったよ。けんど、自分の欲望を押さえることはボクにはもうできんのよ」

「前にもいったけど、今のあたしは女なんだよ?そんなあたしを襲っても……」

「頭の中ではわかっとる。わかっとるけど、体が、体がいうことを聞かんのじゃ!」

 シュナはミユウの体を強く抱きしめようとする。

 それを制止するためシュナの両肩を両手で必死に押し返す。

「や、や、やめろ~~!」

「ちょっとだけ、ちょっとだけじゃけん!」

「い~や~だ~~~~!」

 不殺族のミユウの怪力でも本能に目覚めたシュナの力を完全に制することができなかった。

 拮抗する状態を打開するためにシュナは一計を案じる。

「そんなに嫌がるんなら、こうしてやる!」

 シュナは抱きつこうとする手を、がら空きになったミユウの脇の下に潜り込ませ、くすぐり始める。

「くらえ~!こしょこしょ~~!」

「く、く、や、やめ、あ、あはははははは!」

 くすぐられることにより、シュナを押していたミユウの力が弱まり始める。

「このまま君の力がなくなるまでこしょこしょし続けてやる。そして、抵抗できんようになったら……」

「や、やめろ~あははははは!」

「今すぐやらせてくれるんじゃったら、やめてあげるで~」

「いやあはははははは!」

 今すぐにでも自分の脇を守りたいが、手を離せばすぐにシュナが襲いかかる。


(これじゃ襲われるのも時間の問題。なんとかしないと。あ!そういえば、アストリアが何かを言ってたような………そうだ!)

 ミユウはアストリアは部屋を出るときに教えてくれたことを思い出す。

『ミユウさん。もし、夜にシュナさんがあなたを襲ってきたときには彼女の耳もしくはしっぽをくすぐってください。獣人族は耳やしっぽがとても敏感なのだと聞いたことがあります。そこを責めれば、彼らは力が弱くなるはず。その隙を狙って逃げてください』


「これだ!」

 右手でシュナの首下を押し続ける。

 そして、空いた左手でシュナの耳の中をくすぐる。

「ひにゃ~~~。にゃめて~~~」

 それと同時にシュナの力が弱まっていく。

(まさかあの情報が活かされる時がくるなんて……)

 弱まっていくシュナを押し返す。

 しかし、シュナの両手はまだミユウの両脇をくすぐり続ける。

 結局、拮抗した状態に逆戻りした。

「いひひひ、もう、あき、らめて、あはははは」

「しょれはミユウのほうにゃ~。にゃけん、もう耳から手をはなして~~」

「シュ、シュ、シュナが、やめるなら、あたしも、手を、離す、いあはははは」

「もう、む、むり~~~!」

 耐え切れなくなったシュナはミユウの上から飛び退く。

 ミユウとシュナはここぞとばかりに息を整えていた。

「はあ、はあ、シュ、シュナ、諦めて、くれた?」

「ま、まだ、あ、あきらめん!」

 シュナはミユウの左脚の上に飛びつき全身で抑える。

「ま、まさか……やめて!」

 左脚を固定するシュナを右足で必死に蹴り続けるミユウ。

 しかし、両脇をくすぐり続けられたせいで力ない蹴りはシュナには全く効かなかった。

「ボクの弱点の耳を責めたお返しじゃ!」

 暴れるミユウの左足首をしっかり掴み、右手で左足裏を素早くくすぐる。

「や、やめ、ぎゃははははははは!」

「今度こそ動けんようになるまでこしょこしょし続けてやる!こしょこしょこしょこしょ~」

「た、たしゅけて!あははははは!」

 ミユウは両手をバタバタさせるが、全く無意味な抵抗である。

(力が抜けていく。全く逃げられない。このままだと本当に襲われる)

 諦めかけたミユウの視界に大きく左右に振るしっぽが入る。

(こ、これだ!)

 弱まる力の中から絞り出し、両手でしっぽを掴む。

「ひにゃ~~~~~!ま、またうちの弱点を!じゃが、今度は絶対にやめん!こしょこしょ~」

「あはははは!そ、それなら、こっちも。こちょこちょこちょ~」

 シュナのしっぽを掴みながら、人差し指で彼女のしっぽをくすぐる。

「にゃははははは!しょれはやめて~~!」


 その後、くすぐり合いは続いた。シュナはミユウの左の足の裏を、ミユウはシュナのしっぽを、あの手この手と考えうる方法で互いの弱点を責め続ける。

 正直なところ、二人ともすでに限界が来ていた。全身の力が抜けて、指を動かす力さえほとんど残っていない。

 しかし、先に諦めることはできない。これはそれぞれの大事なものを賭けた負けられない勝負なのだ。

 そんな勝負も30分ほど経ったところで決着がついた。

「も、もうダメ、あははははははは!」

 先に音を上げたのはミユウの方だった。

 掴んでいたシュナのしっぽをついに手放してしまった。

 この機を逃すまいと、シュナはしっぽを自分の背中につけてミユウに握られないように距離をととる。

 そして、もうミユウが動けないことを確認すると、足の裏に対するくすぐりの手を止めた。

「はあ、はあ、ボ、ボクの、勝ちじゃ……」

「はあ、はあ、く、くそ~~」

 シュナは体の向きを変え、弱まったミユウの両手首を固定する。

「さあ、覚悟、しいや……」

 シュナはゆっくりとミユウに顔を近づける。

「や、やめて~~」

 逃げようとしても、体を動かす力はもうない。

 自分の大事なものを奪われる、そう覚悟したとき……

「ひにゃ~~~~」

 間抜けな声を発しながら、シュナはミユウの上に倒れ込んだ。

「シュ、シュナ?」

「あかん、ボクも、もう限界じゃ~〜ガクッ」

 長時間弱点であるしっぽをくすぐられたことで、シュナにはミユウを襲う力が残っていなかった。

 そのまま彼女は寝息を立てながら眠りに着いた。

「た、助かった~」

 なんとか貞操を守り切ることができたミユウは安堵した。

「えへへ。結局勝ったのはシュナじゃなくて、このあた……し?」

 ふとミユウは自分の体に感じる柔らかく温かいものの存在に気が付いた。

 ゆっくりと目線を下ろすと、そこにはシュナの豊かな胸があった。

「女の子の体が……ガクッ」

 ミユウは自分に押し付けられたシュナの体の感触で、全身の血が昇り、そのまま気絶をしてしまった。


 こうして、ミユウとシュナの攻防は両者敗北という結果で幕を閉じたのであった。

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