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ギルド集会所職員手記  作者: スカーユ
1/2

窓口業務

設定厨が書きました

乱筆です

多分エタります


『まもなく中央市場でございます。降りるお客様は馬車が完全に止まりましてから–』


かれこれ6年間ほぼ毎日この時間帯の馬車に乗っているがいつまでたっても満員には慣れない。

乗り心地がよければまだ少しマシなのだろうが石畳に木製の客車となると乗り心地の良さなど皆無に等しい。

見栄えを優先し道を全て石畳にした結果工賃が高くついた割には実用性が皆無とは実に世話がない。

そんな無能行政に心の中で毒を吐きながら今日も職場へ向かう。


『御乗車ありがとうございました。中央集会所、終点でございます。お忘れ物なさいませんようご注意ください』


帝都の端にある女性寮から馬車で40分。


あぁ……職場に着いてしまった……。


今日は冬季に入って2日目。

普段は地方で農作物を育てて生計を立てている農夫が出稼ぎのためにやってくるという毎年の恒例行事でたわけほどクエスト受注窓口が混雑する。

一言で言うとくっそ忙しい日だ。

職員用出入り口から入りロッカールームに行き素早く支度を済ませて詰所に向かう。



まずは朝点呼を受ける。

ここだけではなくギルド全体のルールだ。

所長の前に立ち一礼する。


「おはようございます。アルク・フェラー出勤いたしました」


「はい、おはよう。えー、早速連絡事項ですが知っての通り昨日から冬季に入りましたので地方の利用者が増えております。なーのーで、案内等十分留意するようにお願い致しまーす。あーとーは、一度受理したクエスト依頼書を未処理の所においてしまいダブルブッキングしてしまったという事象が他の集会所であったらしいのでー、しっかりと確認するようにお願いしまーす。それくらいですね」


「はい、わかりました」


「なにか質問ございますかー?」


「ありません」


「心身状態、私物携行」


「良好です。私物の携行ありません」


「はい、ではー、君は今日は……窓口業務からだね。北フロント4番窓口と交代してください」


「北フロント4番窓口把握しました。行ってまいります」


「はい、いってらっしゃい」


所長から私の名前が書かれたプレートを受け取り朝点呼は終了。

交代を待つ職員がいるので足早に窓口に向かう。



……さぁ、地獄が始まる。


「お疲れ様です。交代です」

「あ、お疲れーっす」


窓口で担当していたのは同期のユーテ。

元々は冒険者であったが結婚を機に引退し集会所に入所したらしい。

普段は陽気なやつだけど仕事には真面目で私もしばしば助けられている。

信頼できる仲間の1人だ。


「今日はどんな感じ?やっぱ忙しい?」

「いつもよりは忙しいよ。出稼ぎの農夫が多いねー」


軽く伸びをしながら答えるユーテ。

さぞお疲れのご様子だ。


「やっぱそうかー。この時期は参るね。引き継ぎは?」

「10時過ぎに新しいクエスト依頼書が届くから受け取って事務に回しておいて」

「10時過ぎに依頼書ね」

「他には?」

「特にはないね」

「ん、分かった。じゃ、お疲れ様」

「忙しくなるけど頑張れよ」

「ありがとう」


ユーテから金庫の鍵を受け取り引き継ぎは終了。

プレートを机に置き最後の身だしなみ確認。

名札は曲がってないか、制帽が曲がってないか、制服に乱れはないかを指差しでしっかりと確認する。


よし、問題なし!

姿勢を正して席に座りブラインドを開ける。

さぁ業務開始だ。


ここはクエストカウンターという所で冒険者がクエストに出発するときに行う手続きの処理、クエスト終了後の報酬金の支払い等が主な業務内容である。

エントランスのラックに山とあるクエスト依頼書を冒険者がここに持ってきて簡単な事務処理をしていってらっしゃいという本来簡単な業務なのだがどうも言葉を理解する気がないのか理解する脳が無いのか冒険者によるトラブルやクレームが頻発している実にストレスメーカーな業務だ。



「すいませーん。クエスト受理お願いします」


「はい、かしこまりました。1名様での出発でしょうか?」


「はい」


20代と思われる若い冒険者。

最近は若い世代がなんだと騒がれているが正直おっさん冒険者より地雷が格段に少ない。


「ギルドカードの提示をお願いします」


「はい」


まずは本人確認のためのギルドカードの授受。

ギルドカードは冒険者には必須のアイテムでカードがないとクエストに出る事が出来ない。

氏名、住所、顔写真や冒険者ランクなどが記載されており本人の証明書にもなるのでとても大事なカードだ。

個人情報の塊のようなカードなので情報の漏洩や紛失の防止には細心の注意を払っている。

受注時のわずかな時間の預かりにも気を使う。


「はい、ありがとうございます。本日は『依頼番号0753の山賊ウルフ3匹の討伐依頼』でお間違い無いですね?」

「はい、大丈夫です」


冒険者の依頼書取り違えを防ぐための確認も忘れない。

こういう細かいところがクレームの有無に関わるのだ。


「かしこまりました、では契約金850ルーク頂戴いたします。契約金はクエストの成功、失敗、中止に関わらずご返金は出来ませんがよろしいですか?」


「はい、大丈夫です。1000ルークで」


「1000ルークお預かりいたしましたので150ルークのお返しでございます」


「ありがとうございます」


契約金とは依頼者と冒険者間でのクエスト斡旋手数料やギルド側で用意するアイテムセット、その他諸経費の事である。

自ら困っている人の元に赴いてクエストを受けるフリーの冒険者もいるが殆どが契約金を払いギルド公認のクエストを受けているのが現状だ。


「討伐の証拠として山賊ウルフのツノ3本の納品をお忘れないようにお願いいたします。では、最後に依頼書にサインをお願いします」


「はい」


「ありがとうございます。ギルドカードお返しいたします。こちらがクエスト受理証明です。こちら無くしますと報酬を受け取れない場合がありますのでお気をつけください」


クエスト終了後に証明用紙を持って窓口に行かないと報酬金が支払われないシステム。

疲れた体に申し訳ないとは思うが不正の防止のためには仕方ない。


「はい、わかりました」


「ではこれで手続きは終了となります。いってらっしゃいませ。ご武運を」


「ありがとうございます」


と、まぁこのように正規の手続きをポンポンとやれば1分かからずに済んでしまうのだ。

みんながみんなこうやってくれれば楽なんだがそうは問屋が卸さない。


「よっ!こんちゃ!!」


「いらっしゃいませ」


「おいおい!こっちが元気よく『こんちゃ!』ってんだから元気に返したらどうだい!」


「はぁ、申し訳ございません」


早速やばそうなの来た。

40代と思しき男性が1人。

見た感じ出稼ぎの農夫かな?


「いやぁーにしても寒くなったねぇーえぇ?寒くなると芋が取れなくてよぉ?懐も寒くなっちまってな!ガッハッハ!!」


「あぁ、左様でございますか」


6年で培った大人の笑みというもので場を凌ぐ。


「冬だってかーちゃんとガキに飯くわさんとならねぇからなぁ!今までは製鉄所に行ってたんだが今年初めて冒険者っちゅーのを--」


「あの、クエストの受注でございますか?」


クッソ混雑している時によくわからんおっさんの身の上話を聞いてる暇なんてない。

少し強引に遮って契約に話を持っていく。


「おお!そうそう!それ頼むわ!この紙っぺら渡せばいいんだろ?」


「依頼書お預かりいたします」


あーめんどくさい。

製鉄所で働いててくれればよかったのに。

えーと……ジェネラルオークの討伐依頼?

ジェネラルオーク!? Sクラスの魔物じゃない!


「こ、こちらジェネラルオークの討伐依頼でよろしいですか……?」


「お? おう! 俺がしっかりぶちのめしてやっからよう!」


Sクラスの魔物を1人で倒すって余程腕が立つんだろうなぁ……


「では、ギルドカードの提示をお願いいたします」


「お?ギルドカード?なんだいそりゃ」

「ギルドカードお持ちでないんですか……?」


「んなもん持ってねぇよ?」


はい地雷きたーーー!!!

2人目にして地雷きました!


「あのお客様……ギルドカードが無いとクエストに行くことが出来ないんですよ」


「お? そーなのか! いやーこれは知らんかったわ! うん、じゃあ次から持ってくっから」

「いえ、次からとかではなく無いといけないんですよ」


「いやだから次から持ってくっから! 上京記念で勘弁してくれよ!」


なんだよ上京記念って。

勘弁してくれはこっちのセリフだ。


「ですから……」


「なんだお前さっきっから聞いてりゃマニュアル通りに動きやがって!! あぁん!? こちとら家族養うために頑張って来たんだよ! それをカードがないだなんだって文句つけていかせないってそら人情が無いわ!」


「落ち着いてください……」


「俺の家族を殺す気なんか!?」


あぁそうだよもう帰れ。


「決まりは決まりなんですよ!2階で即日発行できますのでそちらでカードを作ってからまたお越しください!」


「……ちっ!!ったくめんどくせぇなこの野郎……!わかったよ! 作ってくるからよ作ったらどこ並べばいいんだ」


「またこちらの列に」


「おいおい、そらおかしいだろ!ずーっと並んで来たってのにたった1枚のカードが無いだけでまた並び直せってか!?」


「ご協力お願いいたします」


「ふざけるんじゃねぇぞクソが? あぁん!?てめぇぶっ殺すぞ!!」


おお怖い……。

だかそんなお茶目さんには魔法の言葉をかけてあげよう。


「ご協力頂けないなら憲兵お呼び致しますよ?」

「……あぁ!?」


憲兵はこの国の警察よりも上位に位置する治安維持組織でギルドや港湾など主要施設に配置されている。

憲兵にはその場で罪人の刑罰を決めることが許されており即投獄などもありえる。

まぁ今回の場合はさほど重い罪では無いので投獄まではされないだろうが厳重注意からの地元へ強制送還はされるだろう。

何にしても力の弱い役人にとっては強い味方だ。


「私も事を荒だてたくはありません。どうかご協力をお願いいたします。又、我々の説明不足でありましたことをお詫び申し上げます。案内強化など必ず対策いたしますので今回はどうかご容赦を」


「……おう。俺も悪かった。ついカッとなっちまった。すまねぇ」


なんとか丸く収まりそうだ。


「ご協力ありがとうございます。カードの発行は2階で行なっております」


「2階ね、あいよ」


男は踵を返して去って行った。


なんとか収まった……。

はぁぁぁぁ……これだから窓口は嫌だぁぁぁ!!

もうダメだわ。辞めたい……。


「……はい次の方どうぞー」


「……朝から大変ですね。お疲れ様です。これ、よかったらどうぞ」


そう言うと女性の冒険者は飴を2つカウンターに置いてくれた。

あー私まだ頑張れそう。



それから1時間特に問題が起きることなく50人ほどを捌いた。

現在時刻は9時10分。

ギルドが本格的に賑わい始めて来た。


「はい次の方どうぞー」


「……お願いします」


真っ黒なローブを見にまとった赤毛の女が来た。

声からして女ということは間違いないが口元から首にかけて布を巻いており顔はよく見えない。

……怪しいな。

私の直感が反応した。


「依頼書お預かり致します」


月見草3つの納品……報酬金17500ルーク……?

あー、これはアレだな。偽造の依頼書だ。

クエストというのはその難易度に応じてブロンズ、シルバー、ゴールドと区分けされている。

草類の納品クエストはなにか特別な事項がない限り最も簡単なブロンズに振り分けられる。

ブロンズランクのクエスト報酬の相場は多少の差はあるものの下限が約500ルークでどんなに高くても1500〜2000ルークといったところだ。

公認クエストの報酬は依頼主ではなくギルドが定めているのでこの範疇から大きく逸れることはほとんどない。

この時点で十中八九偽造なのは間違いないのだがもしも超例外的なことが起きていてこの報酬だった場合それを弾いてしまうと問題になるのでまだ確定はさせない。


「ギルドカードの提示をお願いいたします」

「……」


女は無言でカードを出す。

これは本物みたいね。


「ご確認の為顔を見せていただけますか?」

「……っ!?」


女はビクッと震えた。

あれ、いま明らかに動揺したな?


「い、いや! この前のクエストで怪我をしてしまいまして!まだ傷がふさがってなくて……」


これ盗品か何かかな?


「あーかしこまりました。では住所とお名前を伺ってもよろしいですか?」


「な、名前!?な、何故でしょうかでございますか!?」


なにこれコントなの?

動揺しすぎて語尾が大事故起こしてるよ。

もうやめたら?あなた向いてないよ……。


「顔が出せないという事なのでご確認の為です」


「あー……アンナ・フランチカ……住所は……アルベナ地区の……3番地の14?」


私に聞かれても困る。

それくらいしっかり覚えてこいよ……。

このギルドカードも多分盗品だな。

あとで盗品照会かけてみるか。

だが言っていた名前と住所は一応あっていたのでまだ決めつけることはできない。


「はい、ありがとうございます」


「ほっ……あの、早くしてくれます?」


女は契約金をカウンターに置くと急かしてきた。


なんだこの野郎。

めちゃくちゃ動揺してたくせにバレてないと思ったから強気に出て来やがった。

偽装も窃盗もわかってんだからなこの野郎。


「ただ今受理証明を発行いたしますので今しばらくお待ちください」


私は机の上に置いてある小瓶に入っている透明な液体を小指につけ依頼書に触れる。

これは依頼書が本物かどうを見極めることが出来る液体だ。

ギルドに置いてある依頼書は国指定の公的文書なので国が発行している特殊な紙が使われている。

国が発行した紙なら液体に触れたところが赤く変色するのだがこの紙は……反応なし。

やはり偽装だ。

なんかこういうのもあれだがもっと上手くやりなさいよ……。

ちんけな草3個摘んだだけで17000出すクエストがあるわけないでしょ……。

この時点でこの女が黒ということが確定したのだが私たち職員に逮捕権はないのでここは一旦スルーさせてあとは憲兵に投げる。

犯罪を指摘して逆上された結果殺された職員もいるらしいので例え逮捕権があっても使わないけどね。

公的文書の加筆、偽装はそれなりに重い罪だ。

それに窃盗も加わったら投獄は免れないだろう。


「あの、まだですか?早くしてくださいます?」


「申し訳ございません。間も無く出来ます」


さっきと比べて態度が違いすぎる。

最後に受理証明の捺印欄に正規とは180°ひっくり返して印を押す。

この契約は違法だという事を示す暗号のようなものだ。


「お待たせしました。では、いってらっしゃいませ」


「ありがとう」


彼女は最後に投げキッスをして来た。

うぜぇ。てかあんなガバガバ犯行でよくバレてないと思えるな……。

調子に乗ってるおバカさんには天誅を下さねば!


一旦窓口のブラインドを閉めて受話器を手に取る。


『はいこちら保安室』


「北フロント4番のアルクですお疲れ様です」


『お疲れさまです。どうなさいましたか』


「依頼書の偽装を発見したので憲兵の派遣願います」


『依頼書の偽装ですね。わかりました。冒険者の特徴お願いします』


「全身黒いオーブで赤髪、顔を布で覆っていて身長160cm台の女性です」


『わかりました。今憲兵2名向かわせました。通報ありがとうございました』


「失礼します」


あとは憲兵さんがどうにかしてくれる。

いままで6年間仕事をしてきて加筆や偽装などは何度か対応した事はあるがここまでガバガバな犯行は初めて見た。

所々笑いそうになってしまった。

新聞の読者コーナーに投稿してみようかな。



時刻は10時。

作業開始から2時間が経ちそろそろ腰も疲れてきた。

混雑すると言ってもいくつも窓口があるのでこの時間になると人もまばらになってくる。

あと1時間で交代だ。もう一息頑張ろう。


「すいませーん」


「いらっしゃいませ」


「クエスト達成したので報酬金ください」


「お疲れ様です。クエスト受理証明書よろしいですか?」


「お願いしまーす」


日付よし。依頼番号の一致よし。納品印よし。特に問題は無さそうだ。


「はい、ありがとうございます。こちら報酬金の2500ルークでございます。お疲れ様でした」


「どもー」


そう。これでいいんだ。こんな簡単な事なんだ。依頼の受付も報酬の受付もこんなに簡単な事なんだ。

なのに……!!!何で……!


「だぁーかぁーらぁーよぉ!?クエストリタイアしたんだから契約金返せっつーの!!」


何でこんな簡単な事が出来ないんだ……!!






「俺たちはよぉー途中で忘れもんに気づいてぇー?それ取りに帰ってきただけだっつーの!!別にクエスト失敗したわけじゃねーのに契約金返せねーとかおかしいだろーがよぉ!!」

「そーよそーよ!リュートの言う通りよ!」


窓口でギャンギャン騒いでいるのは若いカップルの冒険者。クエストの途中で忘れ物に気づいて戻って来て窓口まで来た。

契約金が返せない旨を説明するとそんな事聞いてないの一点張りで騒ぎ始めたのだ。


「ですから、最初の契約時にこちらが伝えました通り契約金は原則返金出来ないんですよ…」


「んな話聞いてねぇって言ってんだろーがよぉ!?なぁーユミリン!そうだよなぁ!」

「あーしも聞いてないし!この女バカなんじゃないのー?」


囀るなFラン冒険者共め。

こちらには規則という最強の武器がある。

喚けば都合よく話が進むと思っているアホ達には屈しない。


「ですが、規則で決まっております。返金は致しかねます」


「規則規則うっせんだよぉ!んなもんしらねぇよ!注意書きとか書いてあんのかよ!あぁ!?」


「あの大声出すの控えていただけますか?周りのお客様に迷惑ですので」


「何がだよぉ!さっさと契約金返せっつーの!!詐欺だろ詐欺!かーえせ!かーえせ!」


Fランク2人が返せコールを始めた。


はぁ…また憲兵呼ばなきゃいけないのか…。

憲兵さんも大変だなぁ…。


と思った次の瞬間


「あの」


「あぁ!?今取り込み中なんだが!」


「窓口の人、困ってるじゃないですか」


男がFランクに話しかける。


話しかけたのは黒髪の若い男性。歳は18くらいだろうか。女性ばかりのいわゆるハーレムパーティを構成している。


「んだてめぇ!?やんのかぁ!?!?あぁ!?」


「いやいや、そんなことないですよ。落ち着いてください」


若い男性、ハーレムパーティ、揉め事に首突っ込んでくる。

上記の要素をまとめるとこの人多分転生者でしょ。

多いんだよなぁ〜。転生者と現地人の揉め事。正義感だかなんだか知らないけど正直仕事増えるだけだからやめて欲しい。そういうのは憲兵さんがやるから出しゃばらないで頂きたい。リアルファイトに発展する前に止めないと。


「あの、私とお客様の話ですので…」


「大丈夫です。怖かったですよね?僕が話をつけますから」


いえ、本当に、ガチで、うん、大丈夫なやつだから。やめて?下がってて?こちとらこの仕事6年間やってるから。こういう客の対策マニュアルとかしっかりあるから。お願いだから頭痛の種を増やさないで?


「いえ、本当に。こちらお客様とギルドのやりとりですので他のお客様の介入は控えていただけないでしょうか?」


「何よさっきからあんた!晴翔が助けてくれるって言ってるでしょ!ありがとうっていって任せときゃいいのよ!」


転生バカのパーティの1人が声を上げる。

Fランもバカだし転生もバカだしパーティの猫耳もバカときたもんだ。

あーもうみんなバカ。


「シエラ!やめなさい!」


「はうぅ…ごめんなさいですぅ…」


「ごめんなさいウチの子が…」


うるせぇバカ。今すぐ元いた国に帰れ。


「てめぇら!!俺を差し置いて話してんじゃねぇ!!!契約金の返せば帰るからとっとと返せや!!!」


おーっとここでバカのリュート君が元気になって来た。


「本当に大丈夫ですから。こちらで対応しますので。お気持ちだけ頂きます。ありがとうございます」


「お姉さん。仕事だからってなんでも背負い込んじゃダメです!ここは僕に任せてください。腕っ節には自信があるんですよ?」


なぁぁにを勘違いしてんだこの野郎!!

お前の自意識過剰さのが怖いわ!でしゃばるな小童!!

絶対リアルファイトに発展して私が始末書書くコースじゃねぇか!!

おめぇの腕っ節が発揮された瞬間私の休憩時間が消し飛ぶんだぞ!!


「お兄さんさぁ…窓口のおねぇさん困ってるよね…?これ以上騒ぐと……わかるね?」


オメェのせいで困っとるんじゃ!このハゲ!!


「あぁ!?んだてめぇ!?」


「いけー!リュート!あんなガキやっつけちゃえ!!」


「おおおおお客様!!落ち着いてください!!」


「大丈夫。すぐに終わらせる」


後処理がすぐに終わらないんじゃ!!!!あほんだら!!

やめてえええええええええぇぇぇぇぇ!!!!









「お姉さん。怪我はない?」


終わった。オワッタ。私の休憩…。私の昼飯…。お昼寝…。全てが終わった…。


「もしもーしお姉さーん?」


お前さえ…!!お前さえいなければ私の休憩時間は…!!!もう許さない…!死なば諸共!!こいつの時間もたわけほど奪ってやる!!


「失礼しました」


「あ、良かった良かった。ああいう輩は困りますよね。いつもお疲れ様です。じゃあまたどこかで」


踵を返して出口へ向かおうとする男の袖を鷲掴みにする


「おわっ!?お、お姉さん…?な、なにかな?」


「他の冒険者に対する暴力行為を認めた為、お客様の情報を伺った上で警察に身柄を明け渡します。事務局までご同行願います」


「え、いやでも。お姉さんがその…」


「『規則』ですので。ご同行願います」


「ちょ、ちょっと!それはおかしいんじゃないかしら!」


「そうよそうよ!晴翔は貴女を助ける為に…!」


転生バカに仕えるバカ2人が異を唱える。


助ける為…?余計なお世話なんだよ!!


「『規則』!!!!ですので!!!」


女共をキッと睨みつける。


「うっ…」


「では、裏まで」


「は、はい…」








この仕事やる度に性格悪くなる。


見てくれてありがとう

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