てんくうにの花嫁
ターバン=インド人 と言う安直な発想。
酷い話ですが御容赦願いたい。
「ねぇ……私……出来ちゃったみたいなの」
カップラーメンを啜りながらテレビを見ていた俺は、彼女の突然の報告に我が耳を疑った。
「……へ?」
「貴方と私の子どもが出来たの。インド人よ」
「……は?」
何かインド人がどうとか聞こえましたけど……気のせいかな?
「これ、見て」
手渡されたエコー写真。そこには朧気に小さな命が写っていた。
「ほら、ターバン」
彼女がエコー写真の指差した先には「そう言われればそうかも」程度に写るターバンらしき物体が写っている。
「待て待て、そんな訳あるか?」
唯でさえ急に子どもが出来たと言われた上に「インド人です」とか冗談にも程があるだろう……。
「間違いなく私達の子どもよ! ほら、ゲレゲレも喜んでいるわ」
彼女がお腹を摩りながら話し掛けた先には、水槽に沈むウニが居た。海でたまたま拾って可哀相だからと食べずに水槽で育てている種類も良く分からないウニだ。いつの間にかゲレゲレなんて名前を名付けたのだろうか?
「いやいやいや、その前にどうして日本人同士の子どもがインド人でターバンで…………はっ!」
「なぁに、パパ……ス」
「!? 最後の『ス』は何なんだ!!」
全く良く分からん流れだが、このままでは彼女のお腹の中の子どもは『トンヌラ』と名付けられてしまいそうで怖いぞ! そして魔物に捕まって奴隷にされた挙げ句石にされるんだ! そうだ! そうに違いない!!
「ねえさっきから落ち着かないけれど大丈夫? 貴方の子どもよ何だからこれからはしっかりしてね。あ、名前はヨシヒコかトンヌラが良いかしら?」
「ぬわーーーーー!!!!」
……
…………
………………ハッ!
「……何だ、夢か」
布団から飛び上がるとそこにはいつもの景色があった。布団は冷や汗でびっちょりと濡れており、体はあちこち悲鳴をあげている。
「父さんおはよう」
そう呼びかけられて 振り向いた先に 頭にターバンを巻いて紫色の服を着た子どもが居た…………。
読んで頂きましてありがとうございました!