表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/333

人魚の想い 3


 家族で夕ご飯を食べていたら、あたしの脳内に信号が。

 アイツが出現した合図。

 今回の復活はわりあい早かったな。

 いつものなら、もうちょっと経ってからなのに。

 まあそれは置いておいて行かないと。

 遊び相手が待っているから。

 ちょっとお行儀が悪いけど、晩御飯を大急ぎでかきこんで部屋から出ていく。

 出る瞬間にママが何か言っていたような気がするけど、気にしない。

 多分、何処に行くの、とかだろう。

 そんな質問に答えることできないし。正直に話しても信じてなんかもらえないし、まあ話すつもりなんて全然ないけど。

 それより急がないと。

 アイツが待っているんだから。

 自分の部屋に戻って、窓から抜け出す。その時はもちろん変身して。

 人魚になって夜空を自由に泳ぐ。

 気持ちがいい、誰にも邪魔されない自由な時間。

 おっと、このまま優雅に楽しんでいてはいけない。

 待ち人、待ち人といっていいのか? とにかく、急いでいかないと。

 おお、今夜の出現場所は今まで一番遠い地点。

 おそらくは県境、いや隣の県に侵入しているかもしれない。

 あたしの頭の中の信号はどんどんと西へと移動している。

 ちょっとだけ愉快な想像をしてみる。

 テレビのCMでナガシマスパーランドでは連日花火の打ち上げを行っていると言っていた。そこでアイツを、綺麗な花火の下でアイツを退治するのはさぞかし気持ちがいいだろう。

 自分では見えないけど、多分誰にも見られないと思うけど、とっても映える構図でのアクションが行えるはず。

 急がないと。愚図愚図していたらアイツはもっと西へといってしまうかもしれない。せっかくのシチュエーションが台無しになってしまう。

 いつもよりも早い速度で夜空を飛ぶ。

 あれ、おかしい。

 動きが止まった。活動を停止したのかな。

 だけど、信号はまだ強くあたしの脳内で点灯している。

 何かあったんだ。悪い予感のようなものがあたしの中に。

 速度をさらに上げる。あたしの持っている力を全部飛ぶことに使用する、つまりは今までまだしたことがない全力での飛行。

 夜景がどんどんとあたしの後ろへと。

 こんな速さで飛ぶことなんて経験したことがないから、ちょっと怖い。

 でも、スピードを緩めたら大変なことになりそうな予感が。

 花火の下にアイツが見えた。

 と、同時に悪い予感が当たってしまう。

 こないだの魔法少女のコスプレをしたのだ。

 性懲りもなく、またあたしのオモチャを横取りしようとしている。

 急いで行かないと。

 ……でも、怖い。

 あの時は言葉で追い返すことに成功したけど、今度もできるかどうか。

 あの魔法少女にはあたしは敵わない。

 一目見た瞬間、対峙した途端に分かってしまった。

 絶対的な実力差を。

 それが持っている能力の差なのか、それとも場数、経験の差なのか、あたしには分からないけど、とにかく勝てないということだけはあの時肌で感じた。

 どうしよう。

 こないだみたいに言ったら退散してくれるかな。

 だけど、あんなに激しく追いかけっこしているし。

 このままじゃ横取りされてしまう。

 それなのに、どうしたらいいのか分からない。

 考えごとをしている間に魔法少女の攻撃がアイツに当たってしまう。

 アイツが墜落していく姿があたしの目に。

 破壊されてしまう、回収されてしまう。

 そうなったら……。

 あたしはこんな風に……、自由に……。

 ……はもう嫌だ。

 怖いことなんかすっかりと忘れて、あたしはアイツと魔法少女の間に飛び込んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ