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里帰り、かんこう 6


「うーん、……男の人に誘われて、ご飯をご馳走になった」

 プチ同窓会から帰ってきたかつらが、夕食の準備の手伝いをしている美月みつきに今日は何をしていたのか問い、その答えが今の発言だった。

 美月はあれからずっと紙芝居の上演を見続けていた。そして合間には男と芝居について色々と話をした。

 それから昼ご飯も奢ってもらった。

 有意義な、かつ濃密で、楽しく、至福の時間だった。

 そして帰りも、あの紙芝居の男は桂の実家のある街から来ていた、車で送ってもらい。その際「君と一緒に紙芝居をしたら面白いだろうな」という誘いを受けた。

 それを要略して冗談ぽく言ったつもりだったが、上手く伝わらず絶句されてしまう。

 そこで改めて本日あった出来事を包み隠さずに桂に説明する。

「……一刻も早く元の姿に戻ろ。……。じゃないと、稲葉くんがこのまま女の子になっちゃいそうで心配だから」

「そんなことはならないよ」

「でも……」

「大丈夫だって」

「……明日伊勢神宮にお参りに行こうよ。早く、元の姿に戻れますようにって」

 深刻な、思いつめたような表情で桂が言う。

「それは別に構わないけど。行くのは電車で?」

「そうなるかな。車の運転はちょっと怖いし」

 先日の行動二十三号線の一件が桂にちょっとしたトラウマを与えていた。

「何? 伊勢に行くの? じゃあ、俺も一緒に行こうかな」

 二人の話が聞こえたのかテレビで野球中継を観ていた文尚が会話に参加する。

「えー、お兄ちゃんも一緒に行くのー」

 あきらかに不満の混じる声。

「まあまあ、文尚さんも一緒なら車で行けるかもしれないし。申し訳ないけど車の運転を任せることもできるんじゃ」

「運転するのは問題ないし。車も俺ので行けばいいし」

「でもさ、い……美月ちゃんと二人きりで行きたいんだけど」

「それなら心配しなくていい。行きだけ一緒で、帰りはロードだから」

「は?」

「いや、だかさ。車に自転車を積んでいって俺は向うからロードバイクで走るから」

「それじゃ、車はどうするの?」

「お前が運転すればいいだろ」

「無理。お兄ちゃんの車大きいのに。それに伊勢から一人で運転なんてできないよ」

 文尚の車はロードバイクを積み込むために、知り合いの会社で商用者として使用していたのを安く譲ってもらった三菱のデミオ、二世代前の。

 ワンボックスカーを運転したことない桂は拒否をする。

「問題ないはず。あの車は高さがあるから運転しやすいぞ。なんなら、飯食った後にちょっと試運転してみるか」

「そんなに不安にならなくても大丈夫だから。桂……さんは安全運転だから。それに大きい車なら、こないだみたいな目には合わないと思う」

「い……美月ちゃんがそう言うなら」

 ということで、翌日の伊勢行きが決定した。



前回書き忘れのですが、57話58話を読んで、紙芝居に興味を持たれたらコチラの作品を。

「かみしばい」

タイトルとあらすじはあれなんですが、内容は面白くなるように一生懸命に書いたつもりです。

読んで頂ければ幸いです。

以上、露骨な宣伝でした。

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