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稲穂対ごぢら 4.3

変身!


 某月の戦士のような口上を唱え変身した稲穂であったが、その姿はセーラー服をモチーフにしてミニスカートにブーツというのとは全然違った。

 かといって、ニチアサの少女アニメの変身ポーズのようなものをとったからといって、フリフリヒラヒラの可愛い衣装というわけでもなかった。

 では、カモフラージュのための米軍の迷彩服からどのような格好に変身したのか?

 それは一言で表現するとバニーガールのような装いであった。

 が、バニーガールと聞いて一般の人がイメージするものとはややかけ離れたものである。

 シルエットでいえば一見バニーガールであるが、よく観察するとバニーガールとは別物。 

 それを上から順に見ていきたいと思う。

 まずはバニーガールといえばという最大の特徴、縦に伸びた長い耳。二つの付け耳は稲穂の頭の上にもあったが、その形状がよくあるものとは異なっていた。縦に長い耳、ではなく後方へ倒れて流れるような、人によっては太い触覚というかもしれないような長い耳。これは正体を隠すために着けている、赤とオレンジの中間色の、大きめの単眼式のアイウェアともバイザーともとれるような物から伸びていた。そしていつものように両耳にはモゲタン。

 次に首から下、上半身。お臍辺りまでの丈のノースリーブのバトルジャケットのようなものを着用。その下にはバニースーツと一見勘違いするかもしれないが、正解は赤のハイレグレオタード。

 ハイレグの角度は、ウエスト部分まで切り込みのあるスーパーハイレグではなく、角度のあまりついていないオーソドックスなものであったが、それは前から見た場合であって、バック、つまりお尻の部分は、ほとんど布がなく、Tバック、紐といっても差支えがないようなもので、稲穂の白桃のような健康的に盛り上がった魅惑的なヒップがほぼ丸出しになっていた。端的に言ってエロいデザインであった。

 このような衣装の場合下にタイツなどを着用することが多いのだが、このデザインにはそれは無し。ついでにいうと、大事な部分を保護する、サポーターも着けていない。

 が、下半身には何も着ない、長いカモシカのような生足が剥き出しというわけではない。素肌の部分を強調するために黒の最ハイソックス。赤と黒の間の白色がより際立つことに。

 靴はSFアニメ的なデザインのヒールのあるメカニカルなブーツを。

 さて、バニーガールといえば両耳のほかに、尻尾という特徴もあるが、このデザインには麻実は用いなかった。というのも、先にも書いたが桃色の魅惑的なお尻を強調したい。尻尾を付けた場合、それが隠れてしまうというわけではないが、たとえ小さなものであっても着けることによって見る人の視線がそちらへとむけられてしまい、見せたい箇所、つまりお尻、は目立たなくなってしまう。それはデザインの意図から外れてしまうことに。

 変身時間はわずかコンマ数秒。

 迷彩服からバニーガールのようなデザインに稲穂は変身したが、これで終了というわけではなかった。

 麻実からの指示で、変身後は見得を切れと。

 これを忠実に守る必要はないのだが、稲穂は空中で先程の変身ポーズよりも切れのいい見得をしっかりと、そしてその動きをピタッと止める。

 空中だというのに微動だにしないシルエット。

 その瞬間をごぢらを追跡していた報道ヘリのカメラがバッチリ撮影、全国のお茶の間へと流された。



決めと止めは大事。

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