ガール?ズトーク
多少矛盾がありますけど、
GWが過ぎ、実里の新しい職場も決まり、稲穂の出張回数もやや落ち着いてきた頃、かねてからの計画を決行女? 四人で名古屋に旅行を。
三人が、桂と麻実と実里、まずは新幹線で名古屋へと行き、それから少し遅れて岩国からの出張帰りの稲穂が合流。
四人は名古屋観光をし、その後稲穂の運転するレンタカー車で近郊の、国道23号線沿いにあるファッションホテル、所謂ラブホテルへと。
麻実の実家は名古屋市内、桂の実家は隣県の桑名市。車で行けばすぐそこの距離なのに、そこに宿泊しないのは、普通の家であるから四人という人数でお邪魔するのは流石に多すぎ、宿泊が困難であるという理由ももちろんあるのだが、他にとある目的があったからであった。
その目的は、ラブホだから名古屋でめぼしい男を逆ナンして宿泊地で朝まで乱交を楽しむというそんな破廉恥極まりない、卑猥な理由ではなく、他にちゃんとした理由があったからであった。
それは、大きなお風呂。
稲穂の秘密を実里に打ち明け、それ以前は実里とは一緒にお風呂に入ることを拒んでいた稲穂だが、正体を明かした後は偶にだが同じ浴槽に浸かることも、しかしながら都内ではある程度大きな部屋ではあるが四人同時に一緒に入浴を楽しめるだけの広さはない、そこでこの旅行という機会に一緒に同じお風呂に入って楽しむというのが。
なら、都内の銭湯でも十分にその願望を満たすことも可能なのではと思われるかもしれないし、忘れてしまっている人もいるかもしれないので、もう一度書いておくが、稲穂は元男であるから、その正体が露見することは万が一にもないけど、もしそれを何らかの事情で知ってしまったら同じ湯船に浸かる何も知らない人の気分を害してしまうかもしれないという配慮で、伊庭美月であった時も、それから成瀬稲穂になってからも、桂と麻実、それから最近では実里以外の人間とは、けっして一緒には入浴しないことはもちろん脱衣所にも入らないことを心掛けてきた。
したがって銭湯という選択は必然的に消去される。
これと同じ理由で、この近くにあるいろんな種類のお風呂を楽しめ、それから宿泊もでき、遊園地でも遊べて、なおかつアウトレットもある長島温泉も選択から除外。もしかしたら個室に大きな浴槽があり、四人一緒に入れたかもしれないが、そこまで詳しくは調べなかった。
というのも、ファッションホテルを選んだ経緯はホテル選びの途中で麻実の、「ああいうホテルって女子会でも使用できるんだよね、お風呂も大きいのがあるみたいだし」という言葉が発端で、それに呼応するように桂が、「そういえば子供の頃、名古屋からの帰りに車の中であの手のホテルを指さして、それで、あれ何って訊いて、怒られたのよね」と昔話をし、「そういえば23号線沿いってその手の多かったよね」と麻実が言い、「うん、確か天然温泉とか書いてあるのもあったような記憶が」と桂の言葉を受けて麻実が、「じゃあさ、名古屋旅行の宿そこから選ぼうよう」ということで大体の素案が決まり、そこから主に麻実が情報を収集し本日のホテルと相成ったのであった。
宣伝文句通りに天然温泉かどうかは定かではないが、モゲタンに調べてもらうことも可能であったが敢えてそれはしなかった、四人一緒に湯船に浸かれてもなおスペースがあり、麻実が泳いでもまだ余裕があるくらい広かった。
そこに三人肩を並べて浸かりながら。麻実はまだ泳いでいる、
「しかし本当に広いな。昔入ったところはこんな大きな風呂なんかなかったな。まあ、あったとしても私はそんなに利用しなかったからな」
かつて数多の男とこの手の施設を利用した経験が。そしてその時は行為を終えたら、もう用済みとばかりにすぐに追い出されてしまっていたから、仮にあったとしてもシャワーを浴びて汗を流す程度で、ゆっくりと湯船に浸かりながら甘い一時を過ごすといった体験がなかった。
この恥ずかしい過去を実りは少々悔い、そしてこれ好きな人には絶対に知られないように隠し続けていたのだが、といっても知ってはいたのだが、稲穂の秘密を教えてもらった後で、この恥部を正直に告白し、それを丸ごと受け止めてもらえ、それ以降はなるべく話すように、できるだけ隠さないようにしていた。
「私もそんなに利用したことないから」
「ゴメンな」
桂が言い、その後で稲穂が謝罪の言葉を続ける。
これはまだ稲葉志郎であった頃、貧乏が服を着ているような役者だったから当然お金はなし、その手のホテルで宿泊はもとより休憩することもほぼ無かった。
当時の不甲斐なさ、甲斐性のなさを思い出しながら反省し、謝罪。
「別にそんなこと気にしなくてもいいのに。こういう場所じゃなくても愛してくれたんだから」
「……桂」
「あ、そういえばあたしシロと入ったことある」
泳ぐのに疲れたのか、それとも会話に参加するためなのか、麻実が桂と稲穂の間に割って入る。
「へぇっ?」
「ああ、そういえば……」
稲穂がおかしな音を出し、桂は何かを思い出した。
「そうか、麻実も稲穂と一緒に入ったことがあるのか。羨ましいな、そうだ……今度……うん、待てよ。さっきの何か反応がおかしくなかったか?」
「そうよ、シロ覚えてないの?」
「えっと……」
全く思い出せずに稲穂は少し戸惑ってしまう。
「稲葉くん……」
少し呆れたような口調で。
「そんなことあったかな……」
と言われても全く思い出せない。
「覚えていないのならしょうがないな、じゃあ身体で思い出させてあげるから」
そう言いながら麻実は立ち上がり、稲穂に手を握り、浴槽に外へと連れ出そうとした。
それに一切抵抗する素振りを見せずに、稲穂は黙ったままで、昔の記憶を漁りながら、麻実の後を。
普段は両耳のピアス、モゲタンという頼もしい相棒が存在するのだが、この時はちょっと外していた。だから、麻実の言う、そして桂も知っている過去を思い出せなかった。
麻実に後について浴槽から完全に出る。
さっきまで稲穂の手を握っていた手で麻実は石鹸を泡立てる。
そしてその泡を自身の豊かな胸に。
この瞬間、稲穂は何時麻実とラブホに入店したのかをハッキリと思い出した。
それと同じくらいのタイミングで、まだ湯船の中にいる実里が桂に、
「それで何があったんだ?」
と、質問を。
「えっとね、まだ美月ちゃんだった頃に修学旅行で大阪に行ってね」
「中学生だろ、その時。なのにそんな場所に入ったのか」
「まあ、仕方がないのよ。道頓堀に入って汚れちゃったみたいだから」
「ああ、それはまあしょうがないかもしれないな」
少しだけ微妙にかみ合っていない会話が、
桂の言うように、伊庭美月であった頃修学旅行で訪れた大阪でデータと遭遇し、道頓堀で戦闘になり、全身ヘドロまみれに。そして、そのまま帰るわけにもいかず途中で麻実と一緒に入店して汚れを落としたことが。
しかし何故このことを稲穂が忘れていた、正確には記憶から除外していたのかというと、端的に言って恥ずべき過去であったからだった。ある種男の憧れともいうべき洗い方で、大人のお風呂屋さんの、全身隈なく隅から隅まで綺麗にされたこと自体はやや恥ずかしい過去ではあるが、内心でその時の行為をほんの少しだけ気持ち良いと感じてしまい、同時に妹のような存在に少女にそんな劣情にも似たような感情を多少なりとも抱いてしまったことを自己嫌悪して、忘れ去りたいと思い、脳内から除去してしまったからであった。
「あ、思い出したんだ。でもさ、準備したんだからこのままプレイをしてみる?」
「いいよ、遠慮しておく」
それから逃れるように稲穂は一歩後退る。
「遠慮なんかしなくてもいいのに、普段しているのとそんなにかわらないでしょ」
そう言いながら泡まみれ、特に大きな胸の辺りが、の麻実がジリジリと稲穂へと接近を。
普段の稲穂ならば接近される前に逃げるのだが、この時は突然思い出した過去、やや大げさに言うと封印していた忌まわしき過去、フラッシュバックで戸惑ってしまい動けなくなってしまっていた。
そんな珍しい稲穂を見ながら桂は、
「あら珍しい。あんな風に狼狽えている稲葉君見るの久し振り」
と、言葉とは裏腹に呑気そうに言い。
「そうだな」
実里が同意。
そんな珍しい光景を見ていた実里の視線はまだ戸惑って固まっている稲穂の表情から、きれいな背中へと自然に流れ、そして滑らかな曲線を描きながら流れる無駄な肉の一切ついてないウエストへと、そこから甘い香りを放つ魅惑的な桃のようなちょっと大きめのお尻へと落とし、じっくりと凝視し、味わうように堪能しながら、
「そういえば稲穂のアソコは生えているんだな」
と、呟いた。
そんなことよりちょっとエロイ話。
後の話に合わせてサブタイトルを変更しました。




