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史上最小の作戦 顛末記のつづき

前回も書きましたが、もう一度。

フィクションです。

再度強調しておきます。


 大きな部分だけではく、稲穂の起こしたことは小さな箇所でも影響があった。

 まずは予算面。といっても稲穂がスクランブルを代わることによって浮いた費用は新しい装備を購入するほどでもない。一回のスクランブル発進でかかるコストは数百万円程度。個人という観点で見れば大きなお金であっても、組織としては微々たるもの。だが、この数百万という浮いた金額がある効果を。

 俗に引っ越し貧乏という言葉がある。引っ越しというのは何かと費用がかかるもの。それは自衛官も同じであった。幹部クラスになると一つの駐屯地にずっと在籍するわけではなく数年で移動をしなくてはいけない。その度に引っ越しをすることに。引っ越した先でも同じように生活できればいいのだが、そうはいかないことも。例えばガスレンジ。前回の赴任地では都市ガスだったのが、新しい土地ではLPGに。これでは使用できない、新しく買い換えないといけない。同じ規格だとしてもサイズの違いというのもあるし。他にも換気扇とかカーテンとかいろいろと。

 これに対応すべく、浮いた予算で引っ越し手当を少しだけ厚く。

 これは空自だけではなく他の二つにも波及。幹部クラスは防衛大学で同じ釜の飯を食った仲間、今の所属は違えど国防を担う同志。

 また幹部だけではなく一般の隊員にも若干ながら影響が。

 と、その前に自衛隊にはこんな川柳がある。「たまに撃つ、弾が無いのが、偶に傷」。予算が不足しており弾が不足。一説にはもし日本が交戦状態に、つまり外の国からの侵略を受けた場合、継戦能力は一週間もない、すぐに弾丸が底をついてしまう、と。ここに稲穂のしたことが影響を。

 北の大国の爆撃機、そしてかの国次世代戦闘機のデータ、これらを秘密裏に米軍へと。この見返りに受けたものは稲穂に対する金銭的なものではなく、自衛隊への弾丸の供与であった。同じ西側の規格を使用しているので大東亜戦争の時のように弾が使用できないということはない。

 これによって当座の弾不足はわずかではあるが解消。

 しかしそれが継続できるわけではない。米軍としてもいつまでも余計な弾を製造し続け、それを自衛隊に渡すというわけにもいかない。

 ここで実里の発明が役立つことに。

 数年後にとある成果を。そこには実里のあの研究が活用されて、リニアガンの製造が。

 難癖をつけられたレールガンほどの威力はないが、それでも簡易に製作ができ、またある程度の電力があればどこでも使用でき、そして比較的な安価で製造することが可能であったために自衛隊、及び海上保安庁で使用されることに。

 新しい形態の装備である。ここで政治家官僚の有志によって少しばかり細工を。といってもリニアガン事態に何かをしたというわけではない、したのは法的なこと。電気を使用して金属を射出する。火薬を使用していないのでこれは武器には当たらないという解釈を示し、また法的には武器ではないと明示。

当然ながら野党マスコミからは猛反発の声が上がったが勝手に言わせるだけで、取り合わなかった。

 開発、製造は稲穂達の会社で。

 このリニアガンは当初玩具に毛が生えた程度のものとして見られていたし、そのようにわざと喧伝もしていた。が、その有効性が次第に証明されていく。国内だけの狭い範囲での販路だけではなく海外へも輸出。ここでも武器ではないことが役立つことに。日本は法的に兵器の海外輸出は禁じられていた。だが武器ではないからアメリカ、欧州、インドへと。日本と友好的な国に供与することが可能。販路は大きくなり、稲穂達の会社は予想以上の利益を上げることができるのだがそれはまだまだ先の話。

 リニアガンに話を戻す。弾は金属であれば何でもいいのだが、できれば球形の物体が望ましかった。そこで使用されたのが、パチンコ玉。かつては一兆円産業と持て囃された業界だが、今では衰退の一途、数多くあった店舗もどんどんとシャッターを降ろしていく。そんな店で使用されていたパチンコ玉を弾代わりに。本来であればなるべく完全に近い球体であることが、正確な射撃をする上では望ましいのだが、もっとも現在の人類の科学力ではそんなものを製造することは不可能なのだけど、パチンコ玉はそれとは程遠い代物であった。というのも、パチンコ玉にホール毎に名前が刻印されており、一見球形なのだが、手に取るとそこに凹凸を感じ取れてしまう。しかし、それでもかまわなかった。なぜならば、精密な射撃というものをこのリニアガンには求めていなかったからである。これはあくまで威嚇、バラマキのためのもの。原資としてあまり費用のかかっていないパチンコ玉を、ある程度抑えた速度で打ち出すだけのもの。しかしながら金属の玉である、当たれば痛いし、運が悪ければ最悪殺傷という事態も起きうる、そこで国内組織は人に向けての発砲、これは便宜上の言葉、は控え主に船体に向けて。通常では船体に傷がつく程度の威力しかないが、一時的に電力を上げれば船体を貫通するほどの破壊力を。廃棄処分になるはずだったパチンコ玉が国防に役立つことに、もう一つの理由を含めて一部の人達からはこのリニアガンとパチンコ玉は大きな賞賛を受けることに。

 これによって弾丸の費用を大幅に削減することが。

 そして火薬を使用する弾とは違う利点がもう一つ。それは長期保存が可能ということ。火薬を用いた弾には使用期限というものが存在する。保存用の湿度の低い場所で保管しないといけない。パチンコ玉も長期間外に出しっぱなしにしておけば錆びてしまいリニアガンでの射出に適さないものへと化学変化を起こしてしまうが、それでも弾丸を保存するよりも簡単であった。

 経費削減は良い点ばかりではなく、悪い点もあった。

 国民の血税を使用しているのだから、余計な予算は削減すべきであるととある省庁が。元から自衛隊という組織はこの予算面において常に苦境を強いられ続けていた。省として格上げをされた後も予算要求に某省の人間が入り続け、思うように意見が通らなかった。そこで内閣総理大臣の鶴の一声で、統幕側からも査定に人員を、現場の制服組の意見を通しやすく。しかしながら最強の省庁から送られる人員は優秀であり、激しい攻防が繰り広げられる、結果新たな装備費用は認められなかったが、予算金額自体は前年と同程度。

 だが、これで十分であった。

 新装備を配備できるであれば、それに越したことはないが、それでも現段階では極一部の人間しか知らないことではあるが稲穂という存在が。彼女がいることで海の向こうの国に対しての強力な抑止力に。

また、政府はともかくとして米軍と関係もより強固なものに。

この中で自衛隊は組織内の改革を。といっても、抜本的な、根本からの変化を起こしたわけではない。

まずは福利厚生の部分。安心して、国防に従事できるように。カロリーを計算して出されている官舎の食事は味はいいとして、量の部分で少ないという不満が上がっていた。ここを改善、ほんの少しではあるが増量を。

 その為の予算配分を。

 個で見れば小さなことかもしれないが、食事というのは大変重要なものである。士気にかかわる大事なこと。ここを疎かにするような組織では勝てる戦も勝てなくなってしまう。

 ここから改善をし、数年かけて自衛隊員の充足率を上げていく。

 どこも人手不足であったのを改善。しかしそれは一朝一夕でできることではないから、時間をかけてゆっくりと。

 そしてその間に事態も変化を。

 自他ともに最強を自任していた省庁が自らの犯した失態を時の総理に擦り付け、マスコミを煽り、退陣の追い込もうとしたが、ネットを中心にその真相が明かされ、省庁解体、力が強すぎるので二分割する案もで、それを国民が支持し、後少しで実行という段にまで進んだのだが、結びつきの強い議員達の造反で国会の承認を得ることができず頓挫したのだが、それでも強かった力は幾分収まり、その結果自衛隊の予算要求も通りやすくなり、少しずつ増えていき、稲穂という存在がいなくとも十分に国防を果たせるくらいになるのだが、それはまだまだ先の話。



リニアガンが武器ではない件は、90年代のとあるライトノベルを参考に。

記憶違いでなければ。読んだのはかなり昔ですから。


本文では書きませんでしたが、この世界線ではイージスアショアが計画通りに稼働する予定です。


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