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史上最小の作戦 その8

状況説明の話


作中の数を修正


 君たちに機密情報を公開しよう。

 後年、公開されたレポートには今回の事件は、稲穂の言うように事実とは異なることが記載されていた。その内容は、岩国の基地からスクランブル発進したF-18がかの国の戦闘機とニアミス、接近し、一時緊迫した状況になった、と。ここでどちらかパイロット指がトリガーにかかりミサイルが発射されていたら世界情勢が急激に緊張し、最悪第三次大戦の幕開けになっていた可能性が非常に高い、と。そしてそこには稲穂、というか実里のことはもちろんかのボロ船も、半島国の軍艦のレーダー照射のことも記載されていなかった。

 では、その時いったい日本海の上で何が起きたのか?

 その機密の一端を極秘に開示したいと思う。


 まずは岩国から米海兵隊のオスプレイ二機が出撃したところに話を戻す。

 オスプレイをいう機体は前話でも説明したようにヘリのような性能と、ヘリよりもはるかに速い速度と航続距離が持ち味の機体である。そして大きな積載量。

 二機のオスプレイには海兵隊員が計四十名。

 この人数の海兵隊員で半島国に軍艦を制圧し、制裁国との秘密のやり取りの現場を押さえるのが目的。 

 排水量こそ小さいものの、それでも確固たる軍艦。そんな船にオスプレイ二機で向かうのは心許ないと思われるかもしれないし、実際大した武装を搭載していない機体では、対空用のミサイルを積んだ艦船には太刀打ちできないのは事実。ではむざむざと撃墜されにいったのかというとさにあらずオスプレイから遅れて岩国の基地から対艦用のミサイルを搭載したF-18が出撃。これはオスプレイの護衛、半島国との軍艦へと近付く際に攻撃を受けないように機体の電子機器で軍艦のレーダーを効かなくし、搭載のミサイルを無効化、それでも万が一、海保の船に撃ったように機銃で反撃してくるような可能性も僅かではあるが存在し、もしそうなった場合に備えてロックオンした状態に、発射するような命令はないが、少しでも攻撃の兆候が見えた時には同盟国であっても容赦はしないという確固たる意思表示を示す。

 尚、少し余談になるのだが機銃掃射を受けた海保の船は、放水で反撃することもままならずに早々に現場を離れている。

 現場海上には遅れて発進したF-18が先行。

 これは速度の差であり、また遅れて発進した理由。

 それからわずかの時間をおいてオスプレイも。

 同盟国であり、そして世界最強の軍隊。半島国は自衛隊相手に見せたような好戦的な態度はおくびも出さずにいた。

 作戦通りにオスプレイから降りた海兵隊員が軍艦内へと。同盟国ということもあり、抵抗することなくあっさりと拘束される。

 だが、それとは反転、稲穂の乗っているボロ船のほうはというとこちらは米国とは敵対関係に近いような状態であり、無抵抗で投降するような素振りは微塵も見せずに海兵隊の持つ装備よりも半世紀も遅れたような武器で応戦を。しかしながら時代遅れの代物でもあり、なおかつ経済的な理由から弾数も少なく、さらに言えば練度という点において天と地ほどの開きがあり、一応の抵抗はあったもののボロ船はさらにボロボロになってあっという間に陥落を。

 これで事態が終了。稲穂はオスプレイで日本へと帰還、となれば何も秘密裏にする必要性は薄いのだが、前述している報告書でもそこで終わりになっているわけではない、まだ続きが。

 あの国の戦闘機と米国機所属の機体とのニアミス。

 このことは後の公表される公文書にハッキリと記されている。ならば、その文言が嘘、フェイク、カバーストーリーであったのかというとそうではなく、実際にあったこと。

 非常に由々しき問題なのであるが日本という国は常に海の向こうから狙われている国家。

 もちろん直接的な攻撃を受けているわけではない。もし、そうなったらいくら平和ボケをしているような野党連中であっても憲法改案を国会で論じるくらいには危機感を募らせていたはず。しかしそんなことは起きてない。

 では、何をされているのかというと色々とあるのだが、今回の件に関連する事項を挙げるとするならば領空侵犯。

 一年間に何度も領空侵犯が。その都度空自がスクランブル発進を行っている。 

 領空侵犯を侵しかの国の戦闘機が、あの現場へと急速に接近。

 これはボロ船の国がかの国と土地も関係も密接に繋がっているから、米軍機が飛来した瞬間に救援の要請を行いそれに基づき接近してきたのか、それともいつものように領空侵犯を行い日本に対してのけん制途中で今回の件を目聡く発見し介入を行ってきたのか、その真偽を知る術はないのだが、急速に接近してきたのは紛れもない事実であった。

 F-18には艦船を攻撃するためのミサイルは搭載されていたが、戦闘機同士で戦いに用いるミサイルは積んではいなかった。

 現代の航空戦、特に戦闘機同士の戦いではかつてパイロットの腕がものをいうようなドッグファイト全盛という時代はとうの昔に過ぎ去っている。ミサイル万能の時代、ターゲットを決め、ロックオンし、トリガーを押せば機体の備え付けられたミサイルが飛んで行き、逃げる敵を追尾して破壊する。

 前述してあるようにF-18にはこの時空対空ミサイルは装備されていない。

 それがなくとも攻撃し、撃墜することも理論上では一応可能である。相手機の放ったミサイルをチャフなりフレアを使用してミサイルの軌道をずらして回避し、目視できるような距離にまで接近し固定されているバルカンで迎撃する。

 だが、それを行うことは非常に困難なことである。機体の性能差があってパイロットの力量差があってもこの不利な状況を覆すのはかなり難しい。

 それだけでも十分脅威な存在なのに、接近してくる機体は同一のものが二機。

 絶体絶命のピンチであった。

 であるが、撃ってはこないだろうという考えがF-18のパイロットの脳裏には在った。そもそもここでミサイルを発射し撃墜という事態になれば、それがきっかけとなり二国間の開戦が、それは発展して第三次世界大戦への勃発へと繋がる可能性も。戦闘機のパイロットに選ばれるような人間だ、そのような愚行を侵すはずがない、と。だがその一方でまだロックオンこそされてはいないが狙われている、不利な立場、そこにはいつ襲われるかもしれないという恐怖心が。

 楽観視する一方で最悪の事態も想像する。と同時に、今後の行動について、何がこの状況での最善手なのか思考を巡らせながらF-18のパイロットはオペレーターへと今後の方針について交信を。

 この場に留まるのか、それとも撤退するのか。

 判断を仰ぐ。

 この空域に留まるということで現在作戦中のオスプレイを助ける役目を、かの国の戦闘機の牽制に。だが、撤退となればオスプレイが無防備な状態にさらされてしまう。

 コチラは現在作戦中、同盟というよりも属国に近い国の船が軍隊からの攻撃を受けている、それを助けるために攻撃するという大義名分が成り立つ。

 離脱するということはオスプレイを見殺しにすると同義。

 返信を待つ。

 届いたオーダーは離脱、基地への帰還であった。

 一瞬反論を試みようとしたが軍人であるからには命令は絶対であった。

 忸怩たる思いを押し殺してパイロットは命令に従う。

 離脱を決め、機体を反転させようとした瞬間、かの国の戦闘機がおかしな動きを。


OPはGGGのパロディ


次話はアクション? 回

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