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女子中学生、西へ 6.4

短い話。


 昨日の夕食時とは打って変わり、美月は上機嫌で朝食を堪能。

 旅館のありきたりな朝食ではあったが、すごく美味しく味わうことが。

 それというのも憂いが晴れたから。

 円山公園で感じた、自分と同じ力を持つ存在に対して、どう対処するべきなのかとずっと気をもみ続け、一か八かの接触が見事に当たり、対話をし、なおかつ共同でデータの回収にも成功した。

 前日の食べ損ねた分を取り戻すように食べ、そしてお代わりを。

 その際、

(めし)、お代わりする人いる?」

 と、他人の分までよそうくらいに機嫌が良い。

 この美月の言葉にクラスの大半の男子が反応をした。

 中身はともかく、見た目は、ショートカットでボーイッシュではあるが、美少女。こんな可愛い子にご飯をよそってもらえる機会は滅多にない。

 この機会を逃してなるものかと、かきこむように茶碗の飯粒を口に中に放り込む者も。

 いつまでもお代わりをよそい続けていてはきりがない。

 美月はお(ひつ)の中が空っぽになったのを機会にして、自分の朝食へと戻った。

「ああ、私も美月ちゃんにお代わりをよそってもらいたかったのに」

 少々低血圧気味で、朝食はあまり食べることができない靖子が悔しさをにじませながら、己の小食を嘆いた。

「まあまあ、靖子ちゃんは他の機会もあるんだからさ」

 本気で嘆いている靖子を慰めるように文が言う。

「そやけどさ、なんか意外やな」

「何が?」

 知恵の疑問に、麻実が反応する。

「美月ちゃん、ご飯のことを(めし)言うんやな」

「あっ、そういえば言っていた」

「ボーイッシュだから、男子みたいな言い方が似合うといえば似合うけど」

「あれっ? でもさ、シロって家ではちゃんとご飯って行ってなかったっけ」

「うん、言ってるよ」

 メシという言い方を桂が嫌うため。

「ほやったら、何でさっきは(めし)言うたんや?」

「だって、これは(めし)でしょ」

 茶碗の中を指しながら美月は言う。

「何、それー」

「意味不明よー」

「どないしたんや美月ちゃん」

「というよりも、そもそもご飯と(めし)の違いって何なのかしら?」

 発展していった会話の中で靖子はふと思った疑問を口にする。

「お釜に入った状態ではご飯だけど、お櫃に移した段階で(めし)になるんだ。だからいつも家ではジャーのお釜の中にあるからご飯と言ってるし、今はお櫃の中にあるから(めし)って言ったんだ」

 昔、祖父が好きだったNHKの番組を横で観ていた時に得た豆知識。

 その時以降、美月は一応使い分けて使用していた。

「へー、そうなんだ」「知らなかったー」

 他のクラスメイトからも思わぬ感嘆の声が上がる。

「それにしてもホンマに何でこの子は変な知識が豊富なんや」

「だって、シロだもん。けど、知恵だって変な怪しい知識なら負けていないと思うけどな」

「いやいや、ウチなんかまだまだ。麻実さんには負けるで」

 周囲でそんな会話が繰り広げつつある中、美月は黙々と飯を口の中へと運んでいた。



正確がどうか分かりませんが、まあ所謂一つの小ネタ。

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