いたい!
思い付きで書いた小ネタです。
痛い。
いたーーーーーーーーーーーーーーい。
美月は夜中に自身の体内から発する痛みで目を覚ました。
激痛というほどではないが、それでもすごく痛いのは事実。
隣で幸せそうな、満足そうな寝顔を浮かべている桂を起こさないように細心の注意を払いながら寝返りを打ち背中を向け、身体を布団の中で屈めて痛みを発する部分に触れる。
その個所は左膝。
どうしてこんな場所が急に痛くなったのか、美月にはその理由が思いつかない。
今日、というか昨日のデータ回収で戦闘を行ったが、この部分を損傷してはいない。気が付かないうちに傷を負っていたのかとも思ったが、そうであった場合は相棒であるモゲタンが即座に修復して報告してくれるはず。
それがなかったということは、ここには攻撃を受けていないはず、まして損傷なんかしてないはず。
なのに痛みが。
痛みは我慢できないほどの激痛ではない、これまで経験した中では小さい痛みだ。だが、気になってしまう。
左膝を擦りながら原因を考える。
原因を思いつかない。
この部分に負担をかけた記憶はない。
戦闘中の踏み込みや、跳躍時の踏み出しの脚は利き足である右側がほとんどであり、これはモゲタンからもきちんと報告を受けている、左膝には大きな衝撃を与えていないはず。
これ以上自分で考えても埒が明かない。
美月はモゲタンに痛みの原因を訪ねようとした。
が、左手にはそのモゲタンであるクロノグラフが着いていない。
普段は肌身離さず着けているが、外していた。
というか、現在パジャマも着ていない、生まれたままの姿でベッドの中に入っていた。
就寝前に桂と良い雰囲気になってしまい、そのまま日付が替わる時間までイチャイチャしてしまっていた。平日で、明日も仕事や学校があるにもかかわらず。
その様子を頼れる相棒にはあまり見せたくない、というか見られながら行為をしたくないので、そんな趣味を持ち合わせていないので、外してしまっていた。
手を伸ばせば届く位置に隠すように置いてあるが、このままでは届かない。
取るためには手を伸ばすのはもちろんだが、桂の身体の上を通らないといけなかった。
そんなことをすれば、起こしてしまうかもしれない。
幸せそうに熟睡している桂を起こしてしまうのは忍びない。
モゲタンを手にして、聞くことは諦めた。
諦めたからといって、痛みが消えるということはない。
我慢すれば十分に朝まで耐えることは可能だが、気になってしまう。
気になると余計痛みが強くなっていくような気が。
痛みを逸らすために考える。
事後だから、普通痛くなるというか、一番負担がかかった部分は、膝なんかではなくもっと別の部分のはずなのに。
少女の身体になって、男の時には分からなかった女性の快楽のツボというか、気持ち良いポイントを少しずつ理解し始めていた。
男であった時は激しく動けば快楽を得られる。女の身体も同じと思い込んでいた。
だが、そんな動きは必要ない。
自身の気持ち良いと感じる場所を参考にしながら、桂を攻める。
その際最も活躍したのは右手の人差し指と中指。
ここは現在優しく痛みを発する膝を撫でているが、まったくもって問題なし。
擦り続けているうちに、痛みが内側から来ていることに気が付いた。
心なしか変な音も聞こえてくるような気もした。
どうして内部から?
疑問が増える。
何か身体におかしな異変でも。
過去に一度、モゲタンのサポートを自らの意思で絶った時に、この少女の身体が少しずつ壊れていくということがあった。
それがまた起きているのかもしれない。
あの時のような死への恐怖心が美月の中に生まれ、それが蝕み始めようとした瞬間、突然痛みの理由が分かった。
遥か昔にこの痛みとそっくりなのを経験していた。
「……あ、これ成長痛だ」
美月は桂を起こさないように安堵しながら呟いた。
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