幼馴染のクラスメート
(リック)「モク兄!行くよ!」
(モク)「いいよ!」
(リック)「はああああああああああああああああ!」
ヒュンッヒュンッと庭に空気を切り裂く音が響く
今日はリッ君と一緒に過ごす日なのだが
(リック)「俺モク兄と一回でいいから戦ってみたい!」
と言われたのでただいまバトルナウです
ストラは審判をしてくれていてパル君は鮫川君たちと一緒に遊びに行っている
(リック)「ダアァッ!」
(モク)「そんなに大振りだと…セイッ!」
リッ君が放ってきた拳を避けその力を利用して背負い投げた
地面に落ちるときにリッ君がちゃんと受け身をとっているのを見てほっとした
あれ受け身とらないとマジ死ねるからね
こっちに来て強くなったからか授業でやった時よりきれいにできたような気がする
(リック)「いてて…モク兄今のなに?なんか簡単に投げられてすっごく悔しいんだけど」
(モク)「今のは柔道って言って僕たちの世界の武道だよ」
体育の授業のときにちょっと仕込まれたんだよね
他にもいろいろと…
リッ君に《ヒール》をかけてあげた
(ストラ)「お前らの世界では剣とかは使わないのか?」
(モク)「使うやつもあるけど真剣じゃなくて竹刀って言う刀…剣の代替品を使うんだ」
こっちの世界には竹刀なんてないだろうし刀もあるかどうかわからないから説明が難しいな
いまいちピンときていなさそうだしね
(リック)「ほかにも柔道?みたいなやつあるの?」
(モク)「あるよ。例えば…ストラ、僕を本気で殴ってきて」
ストラにそう頼むとポカンとされた
リッ君もポカンってしてるよ
(ストラ)「お前そっち系なのか?どんなお前でも俺は気にしないけどよ」
(モク)「違う!僕はドMじゃない!実際に見せたほうが早いと思ったから手伝ってもらおうと思ったの!」
(ストラ)「ならそう言えよ。てっきり俺はお前にがそういう性癖を持ってるもんだと思っちまったぜ」
アブねぇ…
もう少しで変な性癖をつけられるところだった…
(モク)「じゃあ、改めて。お願い」
(ストラ)「おう、行くぞ!」
そういうとストラが思いっきり殴りかかってきた
僕はその腕を合気道の小手返しという技でさばいた
僕が合気道の中で唯一使える技です
(ストラ)「うおっ!?」
ストラの力も加わってるからかなり速い動きになっちゃった
いやー綺麗に決まって気持ちいいね!
(ストラ)「す、すげぇな…まさかモクに投げられるとは思ってなかったわ…」
(リック)「俺も…でもこれって相手を殺せないよね?」
(モク)「僕らの世界では人を殺しちゃダメなんだよ。だから相手を殺さないで対処する方法として生まれたものなんだ」
確かそんな説明だったような気がする
うん、間違ってたらごめんね
護身術として覚えてただけだからあまり覚えてないんだよ
(ストラ)「モクの世界は平和な世界なんだな」
(リック)「そんな世界もあるんだね」
平和…かなぁ?
まあ平和と言えば平和か…
この世界に比べたらはるかに平和だね
(モク)「さて、ここまでにしよっか。多分もうそろそろ…」
(ウェルファ)「ご飯の用ができましたよー!」
ばっちりだね
あまりリッ君と戦えなかったのが申し訳ないなぁ
お昼ご飯を食べながらリッ君に謝った
午後はリッ君とショッピング
武器屋を見て回ったりした
うーむ、やっぱりちゃんと作ったものの方がかっこいいな…
なんかこう1つ1つから魂?みたいなのを感じる
(モク)「やっぱり本職はすごいなぁ…」
(リック)「だねぇ…でも俺はモク兄の作ってくれた装備の方が好きだよ!すごく使いやすいし、頑丈だし、それにモク兄が守ってくれてる、力をくれてるってすごく感じるから!」
え、そうなの?
僕は自分で作ってるから何も感じないんだろうな
リッ君が気に入ってくれててうれしいよ
お店を出て大通りを歩いているとふと気になる看板を見つけた
「バク・イノサト魔道具店」
バク・イノサト
…もしかして
(リック)「モク兄?どうかした?」
(モク)「ごめんリッ君。この看板のお店行ってみてもいい?」
(リック)「いいよ!魔道具展なんてこの町にあったんだね。全然気が付かなかった」
僕も全然知らなかった
看板の指す矢印に従い裏道を歩いていくとぽつんとたたずむ入り口らしき扉にたどり着いた
(リック)「ここ?」
(モク)「たぶん。入ってみよう」
扉を開け中に入ると不気味な雰囲気を醸し出す部屋だった
ここ本当にお店ですか…?
蜘蛛の巣に骸骨…店の照明はろうそくって…
やっぱり…
間違いない、彼だ
(???)「いらっしゃい…何をお探しで?」
(モク)「いや、看板を見て気になったから来ただけだよ。爆君」
(???)「え?…も、もしかして、樹?」
カウンターから聞きなれた声がした
猪里 爆
幼稚園からずっと一緒で家が隣という幼馴染というラノベだったらヒロイン枠にあたる位置にいる僕の親友
僕が唯一下の名前で呼ぶ人物
ちょっとぽっちゃり体型だが顔はいいしおしゃれでそれでいて乗りもいいから男子女子共に人気のある
カウンターからバク君が出てきて僕に抱き着いてくる
(バク)「ずっと探してた…見つかってよかった…良かった…」
その声は震えていて抱きしめる腕にも力が入る
僕も抱きしめ返して背中を撫でてやる
(モク)「探してくれてありがとう。バク君もクルベールにいたんだね。知らなかったよ」
(バク)「つい4日前に入ったんだ。そんで資金稼ぎのためにここに店を構えたんだ。まあ客なんて全然来なくってどうしようかと思ってたけどな。モクは今どうしてるんだ?この町に住んでるのか?」
落ち着いたバク君と自分たちの情報を交換した
僕たちが行ったことのない街の事や噂話などをいろいろ知ることができた
その中で驚きの内容のものがあった
(モク)「魔王…それも新しく生まれる…」
(バク)「俺も詳しいことは知らねぇが聞いた話じゃそう言ってたぜ。ベイルデッツって言うここから西に行ったところの国に現れた100パーセント当たる占い師が占ったらしいからな」
魔王が生まれる…
世界を救うってこれのこと?
じゃああのダンジョンへの違和感は何だろう?
(バク)「まあ、それも大事なんだが…俺はその占い師は俺らのクラスメートなんじゃないかと思ってる」
(モク)「何か理由があるの?」
(バク)「あぁ。なんでもその占い師は黒髪黒目らしい。そして、占うときに見たことも聞いたこともない魔法を使うらしい」
黒髪黒目
確かにこの世界にはあまり、いや全くと言っていいほどいない
そして見たことも聞いたこともない魔法を使う
(モク)「確かにクラスメートの誰かかもね」
(バク)「だよな!なぁ樹。一緒に会いに行かないか?」
(モク)「違うかもしれないよ?それに僕今はほかにも仲間がいるから1人では決められないし…」
(バク)「人違いなら人違いだったという答えが手に入るだろ?今決めなくてもいいんだ。頼む!」
手を合わせてバク君が頼み込んでくる
まぁ、僕も気になるしね…
もしクラスメートなら一緒にいたほうがいいだろうし…
(モク)「頼むだけ頼んでみるよ。バク君も一緒に頼んでよ?」
(バク)「サンキュウモク!愛してる!」
がばっと抱き着いてくる
幼稚園のころからやってくるバク君の僕だけ(・・・・)にする感謝の表現
幼馴染だし、高校生になっても一緒にお風呂に入ったりする仲だから別に今更なんだけど
(リック)「むー…」
リッ君からの視線が超痛い
ごめんよ…
多分これから何回もあると思うから慣れてくれるとうれしいです
後で頭撫でてあげよう
(モク)「じゃあ早速いこっか」
(バク)「おう!…でお前は今どこに住んでんだ?」
(モク)「それはお楽しみ!リッ君帰るよ」
(リック)「はーい…」
あぁ…まだ不機嫌だ
リッ君の頭を抱てやるとしっぽが小さくだが揺れる
少し機嫌を直してくれたかな?
(モク)「バク君のあれは幼いころからの何だ。許してあげて?」
(リック)「…わかった。でも!」
リッ君が急に抱き着いてバク君をにらみつけ
(リック)「モク兄はあげないからね!」
(バク)「な、なにをおおおおおお!?モクは俺のだあああああああ!」
えぇー…どうしてこうなったんだ?
まぁ、なんにせよ仲良くなったみたいでよかったよかった
やっと新たなクラスメートが登場!
このペースだとあと何話で全クラスメートが出ることやら…
楽しみな方は楽しみにお待ちください!




