契約
(ミルナ)「はい、完了報告はこれでおしまい。報酬として金貨25枚を預かっています」
えっと確か、元々の報酬が金貨20枚だったから5枚プラス
こんなところなのかな?
(ミルナ)「それとこっちが素材の買取金額です。ブラッドティーガーの毛皮は状態が良く傷も少なかったです。牙は傷があるものが2本あったのですがそれ以外は傷がほとんどない素晴らしい物でした。そして何より、血がたくさん含まれているとてもいいものでした!えっと、お肉は売らないんだっけ?」
お肉はみんなで食べるからね
たくさん採れたからね
しばらくは食料に困らないね
(モク)「はい。これだけお願いします」
(ミルナ)「わかりました。では毛皮が合わせて金貨30枚と銀貨20枚、牙が金貨5枚と銀貨30枚です。お受け取りください」
インベントリに入れるとちゃんと金貨35枚と銀貨50枚あった
お金もだいぶ溜まってきたなぁ
絵でも少し稼げたからね
そろそろあれを考えないと
(モク)「ありがとうございます!それじゃあ今日はほかにも行くところあるんで失礼しますね!」
(ミルナ)「はーい。また来てね!」
ミルナさんにお礼を言いギルドを出た
外ではストラが待っていた
今日はストラと2人で行動することになっている
前に言っていたアレです
はい、デートです
ギルドに行くまでの道はずっと手をつないでいて顔から火が出そうなほど恥ずかしかった
それも恋人つなぎですよ!
そして今ハスラト商会のお店に向かっているんだけどまた手をつないでおります
嬉しいけど超恥ずかしい…
(ストラ)「大丈夫か?ずっと顔赤いぞ?」
(モク)「だ、大丈夫!ほら、早く行こう!」
恥ずかしすぎてやばいので早く行きたい
ストラの手を引いて足早にはストラ商会に向かった
(ストラ)(少しやりすぎちまったか?)
あいた方の手で頬を描きながらストラはそう思った
(バーキン)「おぉ―!モク君!ストラさんも!よく来てくださいました!此方から伺おうと思っていたのですが、わざわざ出向いてもらって申し訳ございません」
(モク)「昨日ぶりです、バーキンさん!いえいえ、僕の方こそ昨日はすみませんでした」
昨日馬車酔いで潰れちゃったからな…
(ばーきん)「かまいませんよ。さあさ、こちらへどうぞ。すぐにうちの店長連れてきますんで!」
そう言って僕たちに紅茶をいれた後バーキンさんは店長さんを呼びに行った
…あ、おいしい
紅茶の種類なんてよく知らないけどこの茶葉いい香りがして結構好きかも
後でなんて茶葉か聞いてみよ
(バーキン)「連れてきましたよ!ハスラトさん、この子ですよ!ほら、昨日絵具と武器などを売ってくれる子ですよ」
(ハスラト)「おぉ!君がモク君かね?話は聞いているよ。私がこのハスラト商会の元締めのハスラトです。どうぞよろしく」
部屋に入ってきたバーキンさんの後ろから出てきたのは鶯色のクマの獣人だった
・・・茶色の短パンに青のアロハシャツを着ているが今はそんなことどうでもいい
アロハシャツから覗く胸元には三日月の模様があることからツキノワグマがベースなんじゃないかと考える
しかし、僕の知っている中で鶯色のツキノワグマなんていない
いや、鶯色のクマはいないはずだ
・・・ということは?
(ハスラト)「…お気づきの通り私は突然変異の熊獣人です。突然変異の獣人との取引は嫌ですかな?」
じっと見ていたためかハスラトさんがそんなことを言ってきた
(モク)「いえ、全然。僕は突然変異なんて気にしません。じっと見ていたことは謝ります…」
(ハスラト)「…聞いていた通り優しい子だ。すまないね、意地悪なことを言ってしまって。さあ、辛気臭いのはここまでにしよう。今日は絵の具と武器を売ってくれるんでしたよね?後は絵の具の定期的な納品の契約でしたか」
(モク)「はい、バーキンさんにも一度見せて買い取っていただけると言われたんですけど」
(ハスラト)「もう一度見せていただいても?」
(モク)「いいですよ。ここに出しますね」
そう言って机の上の開いている場所に棍棒、槍、戦斧、弓と矢×50本矢筒入りを出した
誰も使わないし、《絵描き創造》のレベル上げのために作ったものだしね
売れるなら売っておきたい
(ハスラト)「これは…確かにそこら辺の武器屋のものよりいいものですね…ですがこれならうちで買い取り販売できますね。本当に売っていただけるんですか?」
(モク)「僕たちはその方がうれしいです」
ハスラトさんはバーキンさんと何やら喋りあった後
(ハスラト)「わかりました。それではこれら全て買い取りまして金貨80枚でどうでしょうか?」
は、80枚!!?
金貨80枚ってかなりだよ?
(ストラ)「ダメだな。それじゃ足りない。全部で200だ」
200枚!?
何言ってんの80枚でも貰い過ぎ感があるのに
(ハスラト)「ストラさん、さすがに200枚は無理ですよ…。この後の絵の具の契約もありますので100枚でどうでしょう?」
(ストラ)「関係ないな。180」
強気すぎでしょ
てかストラどうしたの?
いつものストラじゃないみたい
顔がいつもの優しい雰囲気じゃなくて真剣そのもの
まるで試合でもしているかのよう
結局金貨150枚で落ち着いた
ストラのおかげで約2倍になってしまった
(ハスラト)「いやぁ、大変勉強になりました。…ではこちらを」
元の金額から上がったのに特に気にした様子もなく話を進めだした
こういうのが普通なの?
渡されたのは書類、それも契約書だった
(ハスラト)「よく読んでからご記入をお願いします」
えっと、なになに?
・・・
一通り読んで何も問題がないと思うんだけど
ストラにも確認をとっとこ
(モク)「ストラ、どう?」
(ストラ)「…いいんじゃねぇか?俺としては絵の具が売れた際に売れた分の3割ってところを4割にしてほしいところだが」
おいおい
どれだけ取る気だよ
(ハスラト)「申し訳ありません。そうしてしまいますとこちらに入ってこなくなってしまいますので。3割が限界です」
(ストラ)「ま、勝手に言ってるだけだ。それに武器の方も定期的に買い取ってくれんだろ?」
あ、「そっちの方で稼がせてもらうから今回は引いてやるよ」って顔してる
悪だ、ここに悪がいる
ストラってこんなお金に貪欲だっけ?
(ハスラト)「ハハハ、これは手厳しい。もちろん持ってきてくだされば買い取らせていただきます。その時はまた勉強させていただきますよ」
そんなことして大丈夫なんだろうか…
僕たちのせいでお店無くならないよね?
(モク)「これ記入終わりました」
(ハスラト)「ありがとうございます。これからもよろしくお願いしますね。あ、もし絵の具をお持ちでしたら今から納品できますがどうします?」
僕の使っている分以外はまだ作れてないし今は無理だね
家に帰ったらさっそく作らなくっちゃ
(モク)「今は持ってないのでまた今度でお願いします。でき次第持ってきますね!」
(ハスラト)「よろしくお願いいたします」
ハスラトさんのお店を出るとストラが盛大に息を吐いた
(ストラ)「はぁー…。あのキャラすんのマジ疲れるわ。モク、とっとと家に帰って風呂に入ろうぜ」
あ、いつものストラに戻った
さっきのはキャラを作ってたのか
あれはあれでかっこよくてアリだけどね
(モク)「うん!帰ろう!」
ストラと手をつないで家に帰った
あ!茶葉の種類聞くの忘れた!




