帰ってきましたクルベール
5万PVありがとうございます!!!
感謝感激です!
これからも「もらった魔法は消費MP0(ゼロ)!?」をご愛読いただけると幸いです!
(モク)「描けました!こんな感じでどうですか?」
どっかの散髪屋みたいな言い回しになってしまった
描けた絵を兵隊のおじさんに渡すとすごく笑顔で絵を見つめていた
「やべぇ!こんなにきれいでうまい絵初めてだ!ありがとよ坊主、これは家に飾らせてもらうぜ!これは礼だ!」
そう言っておじさんは小さな麻袋から金貨を5枚机に置いた
「俺の安月給じゃ今はそれが精いっぱいなんだ。その代り残り5枚分は俺にできることなら何でもしてやるぜ!」
ん?今なんでもって?
まあ、それはいいんだけど
僕の絵はヴァリヤ様の一件以来金貨10枚の価値がついてしまった
かなり高いのにみんなどこから聞きつけたのか自分も自分もと頼んでくる
今のおじさんでもう5人目だ
今日はもうゆっくりしたかったんだけどなぁ…
(モク)「ありがとうございます!…あの、僕の絵のことどなたから聞いたんですか?」
「うん?ケビン…あー、門兵をしている男からだ」
あの人か…
確かに描き終わった後すごく舞い上がってたし自慢するぞー!とか言ってたね
まあ、内緒にすることでもないし別にいいかな
「あの!チーもかいてくだしゃい!こえおかにぇ!」
自警団のおじさんが去っていくと後ろから小さな女の子が声をかけてきた
見た感じパル君よりも年下っぽいシャム系の猫獣人でピンクのワンピースを着ている
ずいっと出された手にはこの子のお小遣いなのか鉄貨が3枚乗っていた
(モク)「…わかりました。ではお嬢さん、こちらのベンチへどうぞ」
ちーちゃんの渡してきた鉄貨を受け取りちーちゃんを時計塔の下のベンチに座らせた
うん、普段しない口調で話してちょっと恥ずかしい
インベントリから麦藁帽を出し、ちーちゃんにかぶせてあげた
今日は天気がいいから熱中症になったら大変だからね
(モク)「じゃあ、描き始めるのでなるべく動かないでくださいね~」
「はーい!」
元気よくピシッと手をあげて返事をしてくれる姿はとても可愛らしかった
う、浮気じゃないからね!
(モク)「よし、こんな感じでどうですか?」
「すごいすごーい!ありあと!おにいちゃん!」
描けた絵を女の子に渡すと満面の笑みで喜んでくれた
気に入ってくれてよかったよ
「チー!チーちゃん!?どこにいるの!?」
ちーちゃんがパル君に絵を見せて喜んでいるとシャムの猫獣人の女性が誰かを探しているようだった
確かこの子自分のこと「チー」って言って無かったっけ?
同じシャムだし親子かな?
「あ、ままー!」
やっぱり
「チー!勝手に一人で行かないっていつも言ってるでしょう!心配したのよ?」
「ごめんなしゃい…」
「まったくもう…うちの娘がお世話になってしまったみたいでごめんなさいね?」
(モク)「いえいえ、とてもいい子でしたよ!ね、パル君!」
(パルル)「うん!」
「本当にありがとうございました。さ、帰りましょう。…あら?手に何を持ってるの?」
チーちゃんのお母さんがチーちゃんの持っている絵に気が付いた
すると怒られてショボンとしていたチーちゃんが元気に説明しだした
「あのにぇあのにぇ!このおにいちゃんがチーをかいてくりぇたの!」
「まぁ、そうなの。ママにも見せてくれる?…!?うちの娘にこんな素晴らしい絵を!?い、いただけません!ああ、でももう描いていただいたのだからお金を…」
チーちゃんから絵を見せてもらったチーちゃんママが大慌てだ
(モク)「お金ならいただきましたから大丈夫ですよ」
「え?で、でもこの子の持っている金額なんて全然足りない…」
(モク)「確かに今まで描いた人たちからは金貨を貰っていました。でもそれは働いている大人の方です。こんな小さな子では働けません。そんな子がお小遣いであろう鉄貨を3枚も出してくれたんです。こんな小さな子にとったら鉄貨でも大金です。それを迷いもせず払ってくれた。この鉄貨3枚には金貨10枚分の価値があると思い僕は受け取り彼女、チーちゃんを描きました。ですので、代金は結構です」
正直お金事態いらないんだよね
僕自身描くのが好きだし、描けば描くほど魔法のレベルが上がるからお金なくても僕には利益があるし
「あ、ありがとうございます!大切に飾らせていただきます!」
「ありあとおにいちゃん!ばいばーい!」
(モク・パルル)「「ばいばーい!」」
チーちゃんはママと手をつなぎ絵を抱きしめて帰っていった
チーちゃんママは何度もこちらを振り返り頭を下げていた
(パルル)「モクお兄ちゃんかっこよかったよ!」
そう言って笑顔を見せてくるパル君
とてもかわいい
(モク)「ありがとう!うーん、時間もいいくらいだから一回宿に帰ろっか!ストラ達と晩ご飯にしよう!」
(パルル)「うん!僕ね僕ね!唐揚げ串が食べたい!」
(モク)「じゃあ屋台見て帰ろっか!」
僕たちは手をつないで屋台通りへと向かった
次の日、今日はクルベールに帰る日
門に向かうともうすでにバーキンさんが待っていた
(モク)「おはようございますバーキンさん!待たせてしまいましたか?」
(バーキン)「これはこれはモク君並びに≪天空の森≫の皆さん、おはようございます!私が早くに用意ができてしまっただけですので気になさらないでください!」
それならよかったの…のかな?
(バーキン)「それでは出発しましょう!」
(モク)「はい!」
(ストラ)「…馬車酔いのこと忘れてないか?」
すっかり忘れてました!
カモンルプス!
ヘルプミー!
帰りは1日おきにルプスに乗せてもらいました
慣れるとか無理だよ
(モク)「や、やっと帰ってこれた…うぷっ」
(リック)「だ、大丈夫?」
大丈夫じゃないです…
こんなことならルプスの言葉に甘えて2日連続で載せてもらうべきだった…
最後の最後であんなデコボコ道を通るとは…
行きになかったじゃん!
うえええぇぇぇ…
(ストラ)「ギルドに行く前に家に帰るか。モクも横になりたいだろうしな」
(モク)「ごめん…なさい…」
うぅ…今回の依頼足引っ張ってばっかだ…
馬車に酔って吐いてるだけだったし、ブラッドティーガー戦ではみんなに心配かけちゃったし、町では帰るの遅くなってまた心配かけさせちゃったし…
はぁ…
(ストラ)「謝ることなんかねぇよ。無事に依頼達成できたんだからな。それじゃぁ、バーキンさん、すまねぇが俺たちはここで失礼させてもらうわ」
(バーキン)「はい。モク君お大事になさってください。絵の具の件はモク君が大丈夫になったらいつでもいいのではハスラト商会に来て私に会いに来たと言ってください!ではみなさん、依頼を受けてくださりありがとうございました!あ、ギルドカードを拝借したいのですが」
僕はインベントリからギルドカードを取り出してバーキンさんに渡した
バーキンさんはカードを受け取るとカードに魔力を流しすぐに返してきた
(バーキン)「これで依頼は達成です!ありがとうございました!また何か入用があればぜひハスラト商会へ!」
そう言ってバーキンさんの乗る馬車は街の中へと消えて行った
(ストラ)「それじゃ、我が家に帰りますか」
(リック・パルル)「「うん!」」
僕は気分の悪さで返事ができなかった
今回の酔いはひどいな…
ストラがおんぶしてくれたがその時の歩く振動もきつかった
(ディラー・ウェルファ・レウラムス・フィリヤ)「「「「おかえりなさい!」」」」
家に着くとディラーさんたちが出迎えてくれた
ただいまと言いたかったが口を開くと出そうだったので手を振ってこたえた
家の中に入るとすぐにベッドに寝かされた
(ストラ)「少し寝てろ。その間に完了報告に行ってくるから」
ストラが離れていく
嫌だ…行かないで…
腕を何とか伸ばしストラの服の裾をつかむ
(ストラ)「モク?どうした?」
(モク)「い…かな……で…。ひと…りにし…ないで…」
吐きそうになるのを飲み込みながらしゃべる
一人になるのが怖い
気持ち悪い
帰ってこなくなる
行っちゃ嫌だ
涙を流しながらストラに頼んだ
(ストラ)「わかった。一緒に寝てやるから安心しろ」
(モク)「ほ…んと?どこにも…行かない?」
(ストラ)「あぁ、どこにも行かない。だからお休み」
隣に入ってきたストラに抱きつく
その瞬間さっきの不安が嘘のようにどこかに行ってしまった
ストラが抱きしめ返してくる
それだけで何も怖いものが無くなった
さっきまでの気持ち悪さもなくなっていた
ストラの優しさに包まれていたらいつの間にか僕は眠っていた




