お仕事お仕事
(ヴァリヤ)「それでは早速頼むぞ」
(モク)「わかりました」
部屋に入るとヴァリヤ様はポーズをとり始めた
ソファーの隣に立ち背もたれに手を置くポーズをとる
・・・家族写真かな?
(ヴァリヤ)「そこの奴隷は貴様のか?」
いざ絵を描こうとしたらヴァリヤ様がパル君の方を見ながら話しかけてきた
(モク)「そうですけど、何か?」
(ヴァリヤ)「そうか。貴様、名は何という?」
(パルル)「パルルって言います!」
手をあげて笑顔で答える
可愛い
(ヴァリヤ)「パルルか。ではパルル、ここに座れ」
そう言ってヴァリヤ様は手を置いているソファーをポンポンと叩いた
(モク)「ヴァリヤ様?」
(ヴァリヤ)「愛らしい顔だからな。一緒に描いてもらいたいのだが、駄目か?」
パル君が可愛いのはわかるよ
パル君の可愛さについては僕が一番知ってるよ
でもパル君がほかの男性と一緒の絵に移るのは僕は許せない
束縛しすぎかな?
うーんでも…
(パルル)「ここに座ればいいの?んしょ」
迷っている間にパル君がソファーに座ってしまった
今更ダメとは言えないな
(ヴァリヤ)「おいおい、主の許可もなしに勝手に座るとはどういうことだ?」
(パルル)「え、駄目だったの?」
そう言ってパル君は少し涙目でこちらを見てくる
(モク)「大丈夫だよ。頼もうと思ってたところだったから。でも次からはちゃんと聞いてきてね?」
(パルル)「うん、わかった!」
良かった、笑顔に戻ってくれた
最近パル君を悲しませ過ぎてるな
気をつけないと
(ヴァリヤ)「貴様がいいならいい。では絵の方を頼む」
了解しました
さて、描いていくのはいいんだけど
ヴァリヤ様って改めて見るとイケメンだよなぁ
平民の服を着ててもサマになってるし
パル君のようなかわいい子が隣に来るとさらにそれが際立つというか
僕は平凡な顔だからちょっとうらやましい
よし、描けた!
(ヴァリヤ)「描けたか、見せてくれ」
(モク)「ど、どうぞ」
ヴァリヤ様に完成した絵を渡した
いつの間にかヴァリヤ様の膝にパル君が…
(モク)「パル君!?ダメだよ!」
(ヴァリヤ)「かまわん。それにこの方が一緒に絵も見やすいしな」
僕が嫌なんです!
あーでもここで無理に降ろしたら失礼だしなー
グゥ、我慢我慢…
今日の夜めっちゃかわいがってやる
(ヴァリヤ)「とても気に入った!感謝する…そういえば貴様の名を聞いてなかったな。名は何というんだ?」
そういえば言って無かった
(モク)「モクと言います」
(ヴァリヤ)「そうか。ではモクよ、俺様の専属の絵師にならないか?報酬は弾むぞ?」
わお
まさかのお誘いがきたよ
いやね、僕の予想ではパル君を気に入っちゃったから「パルを俺にくれないか?」とか言われると思ってたんですよ
まさかの僕の方でしたか
(モク)「ごめんなさい。お話はうれしいのですが僕は今の生活を気に入ってますので」
(ヴァリヤ)「今の生活というのはパルルとの暮らしか?ならパルルも一緒に来るといい」
(モク)「パル君のほかに2人宿で待っていてもらってます。それにクルベールに家を構えていてそこにも家族と仲間がいます。それに僕たちは冒険者なんです。頑張ってBランクまでなったんです。それをみすみす手放したくないんです」
そういうとヴァリヤ様は「しかしだなぁ…」と言い淀んだ
これだけは言いたくなかったんだけど・・・ごめんストラ、リッ君
(モク)「あと宿で待っている2人ですが、突然変異の獣人です」
(ヴァリヤ)「何?」
お、ちょっと表情が硬くなったぞ
受けたくないって理由でこの単語出しちゃってごめんなさい
パル君もこっちを見て驚いている
後でみんなに土下座だな
(モク)「僕は突然変異の2人とパル君を含めた4人でパーティーを組んでいます。クルベール以外では突然変異の獣人は災いの下なんですよね?そんな2人とかかわりを持つ僕たちがヴァリヤ様のお屋敷に行けばアシュベル子爵家の信用等が落ちてしまいます。ですのでヴァリヤ様のお話を受けることはでいません」
これだけ言えば引いてくれるだろう
こんな言い方したくなかったなぁ
パル君に嫌われたらどうしよう
いや、宿に帰った後ストラたちにも言わないとだめなんだっけ
みんなに嫌われたら僕生きていけないよ
(ヴァリヤ)「モク?聞いていたか?」
(モク)「え?」
考え事をしている間に何か言っていたらしい
うわ、超失礼しちゃった
何だっけ、無礼打ち?みたいなのされちゃうかな
(ヴァリヤ)「まったく、俺様は今お忍びで来ているからよかったが本来のときにそのように話を聞いていないと無礼に値するから気をつけろよ?」
はい
ごめんなさい
(ヴァリヤ)「もう一度言う。たとえ貴様らの仲間に突然変異の獣人がいようと俺様は気にしない。だが、今の貴様に何を言っても引き受けてもらえないようなのでな。だから専属の絵師にするのは諦める。だが、たまに貴様に絵を描いてもらいに行きたいのだがいいか?」
それくらいだったらいいかな
(モク)「それならいいですよ!ぜひ我が家に遊びに来てください!ほかのみんなも紹介したいので!」
(ヴァリヤ)「それは楽しみだ!…さて、俺様も戻るとしよう。部下を待たせているのでな」
(モク)「あの、最後に一ついいですか?」
(ヴァリヤ)「かしこまった喋り方じゃなくていい。モクはもう俺様と友なのだからな!それで、なんだ?」
僕はいつ友達になったんだ?
まぁ、いいや
とりあえず最初から気になってたことを聞いた
(モク)「お忍びで来てたんだよね?僕に自己紹介するとき普通に身分や名前を言ってたけど良かったの?」
(ヴァリヤ)「…」
ヴァリヤ様は口をあんぐり開けて固まった
マジですか…
「あの~私も描いてほしいのですが…」
空気の読めない兵隊さんたちですこと!
いや、ある意味空気を呼んだのかな?
(ヴァリヤ)「頼む、モク。聞かなかったことにしてくれ!忘れてくれ!」
(モク)「無茶言わないでよ!まあ誰にも言わないようにするから。パル君も言っちゃだめだからね?」
(パルル)「はーい!」
縋りついてくるヴァリヤ様を宥めパル君にも念押しをした
多分大丈夫だろう
それにしても意外と抜けたところあるんだなぁ
案外この俺様キャラも作っているだけだったり?
…まさかね?
「私は…?」
ちゃんと描いてあげるから待ってなさい!
[絵描創造のレベルが上がりました]




