爪は鎧より強し
(モク)「…ここいかないとダメかなぁ」
(ストラ)「言いたいことはわかる。だがここがボス部屋なんだ。行くしかないだろ」
(モク)「だよねぇ…、じゃぁ、行こっか」
僕たちは物々しい気配のする扉を開けて部屋の中に入った
中に入ると扉がひとりでに閉まり階段手前から黒い煙が噴き出した
黒い煙はどんどん噴き出し形を成してきた
それは最初は大きな馬になった
次に馬に跨る黒い鎧ができてきて、最後に首が…
鎧の左腕の中にすっぽりはまっていた
そしてそこで黒い煙が止まった
(リオ)「あれって、…デュラハン?」
♢ ♦ ♢ ♦ ♢
名前:デュラハン
Lv:138
HP:14305
MP:12870
ATK:798
DFE:841
SPD:1088
♢ ♦ ♢ ♦ ♢
うわぁ…
(モク)「みんな、気を付けて!今までの敵よりかなり、いや、比べ物にならないほど強い」
(コーヤ)「…勝てそうか?」
(モク)「正直僕は勝ちの目が見えない。あいつの魔法とかが見れたらまだ何とかなったかもだけど。ステータス言うからストラが戦い方考えてくれる?戦いに関しては僕よりストラのほうが適任だし」
(ストラ)「わかった。あいつのステータスを」
僕はストラに手早くステータスを教えた
ステータスを聞いてストラは一瞬驚いていたがすぐに元の表情に戻った
(ストラ)「ハハ…冗談じゃねぇぞ。本当に死ぬ気で行くしかねぇな。モク、お前の召喚獣全員召喚しろ。俺たちより役に立つ」
(モク)「わかった。みんな、来て!」
(クロロ)「これは…主、我も戦います」
(白陽)「私もお供致します」
(ルプス)「わしも共に戦うぞ」
クロロ、白陽、ルプスは強い
それでもまだ勝てるか不安なところ…
…やるしかないかな
(モク)「八鴉さん!熊井君!しばらく僕を守って!みんな、しばらくあいつの気を引いて!お願い!」
(ストラ)「あぁ、お前が何しようとしているか分かった。任せろ!お前らのところには一歩たりとも近づけねぇ!」
(リック)「倒しちゃってもいいんだよね?」
(パルル)「お兄ちゃんのためなら僕頑張る!」
(コーヤ)「…何かわかんねぇがわかった。パル坊は俺が守ってやる!」
(リオ)「まかせて!《魔障拒絶》!」
(シュウ)「わかった!《偽影偽真》!」
(カオリ)「なんだかよくわかんないけど、とりあえずあいつをぶん殴っとけばいいんだよね?」
…なんだろう、2人ほど心配だけど大丈夫かな?
まあ、ストラが指揮をとってるし大丈夫だよね?
僕もやることしなくちゃ
僕はインベントリからスクロールを取り出してすぐさま魔力を込めた
時間にして1分も経ってないんだろうけど僕には10分くらい経ってるように感じる
そんなこと考えているとスクロールが強い光を放ちだした
《召喚》!
魔法陣が浮き上がり強く輝くいた
光は部屋全体を照らしあまりの眩しさに僕はとっさに目を閉じた
光が収まり目を開けると
『あんさんか?ワイをこんなけったいな場所に呼んだんわ』
関西弁の尻尾が2本の紫色をした猫が立っていた
これって猫又?
『あんた、言われたことには答えなあかんで?まぁ、ワイは海より広い懐をしとるから気にしてへんけど?で?あんさんなんやろ?ワイの試練受けるんか?』
(モク)「あの!えっと、僕モクって言います!えっと試練は受けたいんですけど今はちょっと無理っていうか、手助けしてほしいっていうか」
『あぁ?なんや、ワイの試練受けんと手助けしろってかいな?ワイになんも得ないやんけ』
(モク)「手伝ってくれたら鰹節たっぷりの猫まんまを献上しますから!お願いします!早くしないとみんながっ!」
ドンっ!
何かが叩き付けられる音が部屋に響いた
音の下法に反射的に振り向き音の原因を確認した
リッ君がデュラハンの攻撃を受けて壁まで吹き飛んだようだ
!?まずい!気を失ってる!
(モク)「八鴉さん!リッ君に魔障拒絶を!」
そう言い残し僕はリッ君のもとに駆け寄った
腕でガードしたために両腕が折れてしまっている
他にも体中に打撲や切り傷がいっぱいあった
《ヒール》!
骨がきれいにくっつくまでかなり時間がかかる
回復しながらストラたちも確認したがみんな傷だらけだ
《エリアヒール》!
[エリアヒールがlv:2に上がりました]
そんなのどうでもいい
早くみんなを回復しないと!
『こりゃ大変やな~。しゃぁないから助けたるわ。出血大サービスや。その代わり、猫まんま大盛りで頼むで?』
「わかりました!お願い、みんなを助けて!」
猫又さんはにやりと笑みを浮かべるとデュラハンに向かって突っ込んでいった
『久しぶりやから手加減できひんやろけどあんた魔物やし気にせんでええよな?』
そう呟くと猫又さんはデュラハンを引っ掻いた
いや、引っ掻いたなんて表現は易しすぎる
あれはまさに引き裂いた
猫又さんは爪でデュラハンの鎧を引き裂いていた
(モク)「すごい…」
『やろ?ワイに任しとき。あんさんはお仲間を回復するのに集中してなはれ。あいつはワイに任しとき』
ぽつりと口からこぼれた言葉に猫又が反応した
かっこよすぎるよ
でもなぜだかフラグにしか聞こえないよ
(モク)「うん!《ヒール》!《エリアヒール》!」
猫又さんはどんどんデュラハンに攻撃していく
縦横無尽に動くからデュラハンも猫又さんの動きをとらえれていない
すごい
『これで、とどめや!』
そう言い放ち、猫又さんは高く飛び上がった
そして重力による落下の威力を足した爪の一撃でデュラハンの体を馬ごと引き裂いた
[レベルが上がりました]
天の声さんからのお知らせがあったってことは終わったんだよね?
『なんやあっけないな~。久々やしもっと暴れたいんやけどなぁ…』
あれだけ暴れといてまだ足りないと!?
また戦闘民族ですか!?
それはそうと助けてくれたお礼言わないと
(モク)「助けてくれてありがとう!猫又さんのおかげでみんな生きてる。本当にありがとう!」
『ええってええって。ちゃんと約束のもんくれたらそれで』
(モク)「最高の猫まんまを作ってあげる!」
『ゆうたで?これでワイの口にあわへんかったら怒るしな?…ふわぁ~ぁ、あかん、ねむぅなってもうた。わいしばらく寝るしご飯で来たら呼んで』
そういって猫又さんはすーすーと寝息を立て始めた
僕は起こさないようにゆっくりと抱き上げてデュラハンの回収に向かった
(ストラ)「こいつのことはギルドに言わねぇとな」
(モク)「そうだね。デュラハンって30階層にいるような魔物なの?レベル的にあり得ないとは思うけど」
(ストラ)「俺もダンジョンに入ったことがねぇから何とも言えねぇな。だが、あのレベルのやつがこんなところにいるはずがねぇ。それだけは言える」
それは同意
僕はデュラハンをインベントリに入れた
リッ君はまだ目を覚まさない
みんな疲弊しているので僕がリッ君を背負い31階に降りた
そして降りた先の転移石でダンジョン入り口に戻った




