幕間 てるてる坊主
「あ~あ…雨止まないかな~…」
外はあいにくの大雨
タライだっけ?バケツだっけ?をひっくり返したような雨である
外に出る気が全く持って起きない
こんな時は
「あれを作ろう!こっちの世界でなら魔法的な効果が付くと信じて!」
「あれって?」
読書をしていたリッ君が本を置いて尋ねてきた
「てるてる坊主だよ!」
「?てるてる坊主って何?」
「あ~…てるてる坊主って言うのは僕の世界の風習の一つで、明日の天気を願い、白い布や紙で作った人形を吊るすって言うものなんだ。一緒に作る?」
「うん。パルも呼んできていい?」
「いいよ。準備して待ってるね」
インベントリから白い布を机の上に取り出した
すぐにトタトタと5つの足音がして部屋の扉があいた
「モク様、失礼いたします」
入ってきたのはリッ君とパル君とストラ、あとウェルファさんとフィリアだった
「二人も一緒に?」
「はい、お邪魔でなければ。モク様の世界のことが気になりましたので」
コクコクとフィリアがうなずいた
「邪魔なんて言わないよ。一緒に作ろ!」
「俺もいいか?」
「もちろん!」
「できたー!」
5つのてるてる坊主ができた
どれも作り手のどこか似ている
「ふにゅぅ…僕のだけしわくちゃ…」
パル君は裁縫のスキルがあるから一番上手だと思っていたらこれには働かなかったらしい
「でもパル君のが一番かわいいわよ?」
「そうですね。私達のは少し大人っぽいけどパル君のは子供らしくって可愛らしいです!」
「俺のはどことなくおっさん感が出てるしな」
「あはは、たしかに。でも、それと同時に他の4つのお父さんにも見える」
「じゃあ、モク兄のがお母さん?優しそうに笑ってるし」
「あら、では私のは何でしょうか?おばあちゃんにします?」
「私はお姉ちゃんですよ!」
みんなが自分の作ったてるてる坊主を手にワイワイと話し始めた
「ほら、パル君も」
僕はパル君にてるてる坊主を渡して手を引いた
「…うん!」
みんなでリビングの窓に5つのてるてる坊主を吊るした
明日は晴れますように
晴れたらみんなでピクニックに行きたいな
その後、ディラーさんとレウ兄たちも作りたいと言ってきて2個追加で吊るし、雨の中遊びに来た鮫川君たちも作って吊るした
計12個の形、大きさ、表情様々なてるてる坊主がリビングの窓に吊るされた
「これって晴れたらどうなるの?」
ふいにリッ君がそう聞いてきた
「いろいろあるけど、一番知られているのは顔を描いて川に流すって言うやつじゃないかな?僕はやったことないけど」
「へ~。じゃあ、もし雨だったら?」
「てるてる坊主の首を切るって言うのがあるけど、かわいそうだしなぁ」
「晴れるまで吊るしてあげる!」
話を聞いてたのかパル君がそう言った
でも、確かにその方法だと切らなくて済む
「パル君頭いい!でも、ずっと吊るしていたら効果無くなるかも?」
「なら止むまで交代で吊るしてやればいい。12個もあんだし」
・・・天才か
「そうですね。それだと晴れるまで効果が続きそうですね」
「では最初はパル君のを吊るしましょう」
次の日、前日の雨が嘘のように雲一つない快晴になった
次回、登場人物の紹介をします




