気づかなくてごめんね
「ここが今日からみんなが暮らす家だよ。入る前に言っておきます。僕はみんなのことを奴隷のように扱いません。家族のように慕います。なのでみんなも僕たちと家族のように接してください」
「それは…いいのでしょうか?」
ディラーさんの問いに他3人もいいのか迷っているようだ
僕はストラ達の方を振り返った
みんな頷いてくれた
「はい、それが我が家のルールですから」
「…わかりました。ですが、我々は執事やメイドとしてここに来ました。ですので呼び方及び話し方についてはこのままでお願いいたします」
「それは仕方ないですね。体裁とかもあるだろうし」
「かわいい弟たちができました!」
「ふふ、そうね」
「俺もいいのか?」
不意にレウラムスさんがそう言ってきた
「いいに決まってるじゃん!レウ兄!」
「…!あぁ、よろしく頼む!」
「あ、あとフィリアさん」
「なあに?モク君」
「僕の方が一個年上だからね?」
「嘘おおおお!?」
にぎやかな生活が始まります
「なんと!モク様は迷い人でしたか!」
「なぁなぁ!その神様からもらった魔法見せてくれよ!」
「私も見たいです!」
「あなたたち、少し落ち着きなさい」
ウェルファさんマジ母さん
溢れ出る母性がすさまじいです
見ろ、パル君がもうすでにウェルファさんの膝に座って頭を撫でられている
どこから見てもただの親子です
「魔法を見せるのはいいんだけど、まだ話すことがあるんだ」
「申し訳ありません。年甲斐もなく興奮してしまいました。して、話しとは?」
ディラーさんまだ40だよね?まだ若いでしょ
「一緒に暮らすにあたって隠していてもどうせばれるし、僕自身が家族に隠し事をあまりしたくないから言うね。僕とストラはお付き合いをしています」
ぶふぅっ!とフィリアとレウラムスが飲もうとしていたお茶を吹き出した
汚いな!
ウェルファさんはアラアラまあまあといった感じだ
ディラーさんもニコニコした顔でいる
「なんとも思わないの?」
「おや?嫌ってほしかったのですかな?」
う、嫌な言い方…
分かっててこんな言い方してくるあたりディラーさんってSっ気ある?
「失礼しました。わたくしはそんなこと気にしませんよ。恋は人それぞれ。人を好きになることは悪いことではございません。お嫌いになる要素がございませんよ」
「私も気にしませんよ?むしろストラ様だけなのですか?」
「え?」
「リック君やパルル君とはお付き合いなさらないのですか?」
「えぇ!!?」
考えたこともなかった
二人の事は好きだけどそれは兄弟としてとしか考えてこなかった
ストラしか見てこなかった
「パルル君はモク君のこと好きかな?」
「大好き!」
満面の笑みで即答した
ウェルファさんの膝に乗っているから分かりづらいけどしっぽがすごい触れている
「リック君は?」
「俺もモク兄のことは大好き。でも、モク兄にはストラ兄がもういるから…」
リッ君そんなこと思ってたんだ
気づいてあげられなかった
「モク君、あなたはどうですか?ストラ様のことは今は考えないで、二人の事をどう思いますか?」
二人の事をどう思うか?
そんなの決まってるよ
「僕も二人の事が好き!大好き!誰にも渡したくない!」
これが僕の本心
ウェルファさんのおかげで気づくことができた
気づいてあげられなくてごめんね
「リッ君、パル君。僕とお付き合いしてくれますか?」
「ストラ兄はいいの?」
リッ君は恐る恐るストラの方を向いた
「俺はモクが好きだ。愛している。だが、俺もお前たち二人のことが好きだ。だから、モクがお前らと付き合いたいなら俺は止めない。むしろ歓迎する」
ほ、惚れてまうやろおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
そんな気持ちをどうにか押し込めて僕は二人に再度問いかけた
「改めて言うね。僕はリッ君も、パル君も大好きです。手放したくないです。僕と付き合ってください」
「はい!喜んで!」
「うん!お兄ちゃんの恋人になる~!」
改めて言われると恥ずかしいな…
なんて考えてるとリッ君が近寄ってきて
チュッ
触れるだけのキスをしてきた
「へへっ!ごちそうさま!」
と顔を赤くし、しっぽを振りながらリッ君は言った
「リックお兄ちゃんだけずるい!僕も!」
それを見ていたパル君が近づいてきた
身長差があったためしゃがんであげたらこちらからも触れるだけの優しいキスをされた
離れ際に
「今日はお赤飯かしら~?」
とウェルファさんが微笑んで言っていたのが聞こえた
こっちの世界にも祝い事には赤飯なんだ…
違う、そうじゃない
僕の方からやりたかった!
この日僕に2人の可愛い恋人ができた




