クラスメイトと勇者?
「どうだった?」
森に入る前にクロロにもう一度見回ってもらった
『さっきと同じだな。見当たらない』
「そっか。じゃあ、洞窟まで案内してくれる?」
『わかった。こっちだ』
「本当にここ?」
『そうだ』
洞窟なんて見当たらないんだけど
目の前には岩壁が見えるだけで小さな洞窟なんてどこにもない
「たぶん熊井君の魔法だと思う。神様から幻を見せる魔法を貰ったって言ってたから」
なるほど、幻ね
なんでクロロには効かないんだろ?
『モクよ。わしにも洞窟が見える。多分だが千里眼が魔法の効果を打ち消しているのではないかな?』
なるほどね
うちには千里眼もちが二人いるから助かったよ
「さっそく中に入ろうか」
「うん」
クロロに言われた場所に手を伸ばすと固いはずの岩壁に飲み込まれていった
すごい違和感を感じるな~…
洞窟内部はとても暗い
《ライト》
パル君が生活魔法の一つ《ライト》を唱えた
指先から光の球が現れ洞窟内部を明るく照らした
「みんな!?」
明るくなった洞窟には僕たちが捜していた鮫川君たちが倒れていた
よかった
体力がかなり少ないけどまだ生きてる
僕は体力が少ない人から順に《ヒール》をかけていった
「う…ぅ…ここ…は?」
「鮫川君!」
鮫川君が一番に意識を取り戻した
それから順にみんな意識を取り戻していった
僕はみんなに《ヒール》をかけ終ったらストラと一緒にご飯作りに取り掛かった
「八鴉…?…八鴉!?無事だったのか!?」
「八鴉さん!?よかった!無事逃げれたんだね!」
「いい匂い…そういえば昨日から何も食べてない…」
普通に喋れてるし大丈夫そうだね
食欲もありそうだけど、さすがに固形物はやめといたほうがいいよね
「私は平気だよ。あそこでご飯を作ってくれている樹君に助けてもらったんだ。ゴブリンキングも他のゴブリンメイジとかも樹君たちが倒してくれてもういないよ」
「嘘だろ!?あんな怪物を樹が!?勇者の俺でも無理だったのに!?」
勇者は鮫川君だったのか
「信じてくれなくてもいいけど、とりあえず食べなよ。お腹すいてるでしょ?」
ぐううううぅぅぅぅ…
4人のお腹が一斉になり洞窟内に響いた
「い、いただきます!」
「「「「いただきます!」」」
「そんな急いで食べなくても誰も取らないからゆっくり食べなよ」
3人は食べるのに夢中で僕の声は届かなかった
「御馳走様でした。うまかった~」
「お粗末さまでした」
「…話を戻すが、本当にお前が倒したのか?」
「僕だけじゃなく、みんなで倒したよ」
「ほとんどお前がやったけどな」
「僕たちはホブゴブリンしか倒してないしね」
「いっぱいやっつけたよー!」
「マジかよ…」
鮫川君は頭を抱えてしまった
なんかまずいこと言ったかな?
ほかの3人も口をあけて固まっている
鮫川君は顔をあげて真剣な顔で口を開いた
「なあ、樹。お前も勇者なのか?」




