送り狼と
遅れたああああああああああああ!!!
ごめんなさいいいいいいいいいいいい!!!
『!?主、止まれ!』
クロロの突然の言葉に驚き足を止めた
なんかあったの?
『まずいものに目をつけられた』
まずいもの?盗賊とか?
『そんなものよりはるかにまずい。送り狼だ』
送り狼…確か夜中に山道を歩くと後ろからぴたりとついてくる狼で、もし何かの拍子で転んでしまうとたちまち食い殺されてしまうって言われているあれ?
『詳しいな、そうそれだ。だがおかしい、此処は山ではなく森だ。それに後ろからではなく前にいる』
確かにおかしいね
本当に送り狼?
『間違いない』
怪我してるとか?
『ここからでは詳しいことはわからん』
「なんかあったか?送り狼がいるとか言ってたが」
「うん。怪我をしているかもしれないから会いに行っちゃダメかな?」
『危険だ!転ばなければいいとはいえ危なすぎる』
めっちゃ怒られた。当たり前か…
「どうしてもって言うなら行ってもいい。ただし俺たち二人でだ」
「え、リッ君たち置いていくの?」
「俺は飛べるしお前ひとりなら持ち上げられる。こいつらには待っていてもらう」
「「え~…」」
2人はぷうっと頬を膨らませて可愛い抗議をした
「お前らのことが心配だから言ってんだよ。頼む、此処で待っていてくれ」
「「わかった…」」
しかしストラの優しい言葉であえなく断念した
「白陽」
『なんでしょう?主様』
「二人の事少しの間頼んでいい?大丈夫だと思うけど一応ね?」
『御意』
白陽を呼び出し2人を守ってくれるよう頼み僕はストラに抱き上げられて空へと飛んだ
お姫様抱っこ?さすがに危ないから普通に抱っこだよ
「クロロ、どっち?」
『こっちだ。案内する』
クロロの先導にストラがついていった
『ほう。わしに気付いておりながら近づくか…』
あれが送り狼…?
なんだか…今にも消えてしまいそう
『…おぬし、頼みたいことがある』
「・・何?」
『わしの最期を看取ってはくれぬか?』
「…なんで僕なの?」
『おぬしの眼が、おぬしの優しき心が気に入ったからだ。わしはおぬしに看取ってほしい』
「そんな急に言われても…」
『スマヌな…最後におぬしのような人の子に会えてよかった』
その言葉を最後に送り狼は動かなくなり灰になった
優しくて申し訳なさそうな送り狼の顔が頭から離れない
「なんで…なんで僕なのさ…なんで…」
送り狼の灰を手で掬いながら僕はそう言葉をこぼした
涙が止まらなかった
ぽた…ぽた…と灰に涙が落ちた
そのとき
[送り狼との関係が友好になっているため以下のアイテムを獲得。入手アイテム:送り狼の心]
[称号:看取った者を獲得しました。これにより《絵描創造》に《転生体創造》が派生しました]
[称号:送り狼の友を獲得しました]
これは…!?
僕はインベントリから木の枝を取り出して今見ていた送り狼を地面に描いていった
「お、おいモク?」
ストラが声をかけてきているが気にしていられない
早く描かなきゃ。ただそれだけを思い描き続けた
描きあがった瞬間枝から手を離して送り狼の心を手に持った
どうか、うまくいってください!
《転生体創造》!




