モクの過去
遅くなりましたあああああああああああ!!!
ごめんなさい!
夜、二人を寝かしつけて僕はストラの隣に腰を下ろした
「さっきはどうしたんだ?何かあったのか?」
「元の世界のことを思い出しちゃって…僕ね、家が怖いんだ。家族がいなくなった場所だから…」
「それってどういう…?」
僕はストラの方に頭を乗せ揺らめくたき火を見ながらぽつりぽつり語り始めた
「僕はもともと裕福な生まれじゃなかった。父さんと母さんと僕の三人で仲良く暮らしてた。あの時は本当に幸せだった。僕がこの世界に来る2日前に母さんが家に入ってきた強盗から僕をかばって死んだ。もちろん強盗は捕まったよ。父さんは母さんが死んだショックに耐え切れず、首を吊って死んだ。家で大好きだった家族を失ったからかな、家が怖くなったんだ。」
「お前にそんな過去があったんだな…今までよく頑張ったな…」
頭を撫でられた
いつもの髪をグシャグシャにするようなのではなくとても優しいものだった
優しくて暖かかった
気が付いたら涙が溢れていた
「うぅ…ぐすっ…」
「辛かったな。苦しかったな。大丈夫だ、俺たちがいる。俺たちはお前を置いていなくなったりしねぇよ。だから、今は思いっきり泣け」
「うわあああああああああああああああん……」
今まで我慢していたものがすべて出てきた
家族のこと。襲われたときのこと。独りになってしまったこと。
全部吐き出した
ストラはただ黙って背中と頭を撫でながら聞いてくれた
気が付くと朝になっていた
あの後泣き疲れて眠ってしまったようだ
起きようとしたら体が動かないことに気付いた
ストラが後ろからがっちりとホールドして眠っていた
絶対に離さないとでもいうかのように
「ありがとう」
小さくそう呟いてまた眼を閉じた
ストラのぬくもりを感じながら
「お兄ちゃんたち起こさなくていいの?」
「今日はゆっくり寝かせてあげよ。ふわ~ぁ…俺ももう少しだけ寝ようかな…」
「じゃあ僕も~!」
「じゃぁ、パル君はモク兄の隣ね。俺はその隣!」
「は~い!」
そして、僕たちはお昼を過ぎたあたりまで眠った




