盗賊団 その5(終)
主人公視点に戻ります
ゆらゆらと心地いい揺れを感じ目が覚めた
「んぅ…」
「お、起きたか」
ストラさんの声が近くから聞こえる
揺れの正体はストラさんが僕を背負ってくれてたからだった
「ごめん、重いよね。降りるよ?」
「重くねぇよ。それにさっきまで気を失ってたやつを歩かせれるかよ」
気を失ってた?僕が?
「覚えてねぇのか?お前やべぇ目ででオルダー・・・盗賊の頭に向かって行ってぶちのめしてたんだぞ?」
「…覚えてない。ストラさんが罵倒されたあたりから記憶がないんだ」
「確かにお前はその時からおかしくなった」
あの時一番近くにいたルイフーダさんがそう言った
「そんなにおかしかった?」
「あぁ、いつものお前じゃなかったな。元に戻ってよかった」
「ああ、本当に。あの時のお前は正直こわいと思った」
ルイフーダさんが怖がるって何したの僕!?
「もうすぐ森を抜けるぞ」
「・・・ねぇ、ルイフーダさん」
「なんだ?」
「ストラさんはどうなるの?」
そう聞いた瞬間ストラさんの体が少し強張ったのがわかった
ストラさんだけでなく僕も体に力が入っていた
「…安心しろ。自警団に突き出すなんて真似はしない」
「え…?」
しかし返ってきたのは予想していたものではなかった
「盗賊の頭とモクの話を聞いた時から考えていた。ストラをどうするのか。あの時ストラが寝返りでもすれば盗賊共々殺していた。だがそんな雰囲気は一切見せない。それに、ストラは盗賊とモクの間に入りモクを自分の影に入れて攻撃が行かないよう隠していた」
そんなことしてくれてたんだ…
気が付かなかった
「寝ている奴らを殺す時もモクが直視しないようにしていた。それらと今までのお前たちのことを合わせて考えた。俺にはストラが悪い奴には見えない。だから俺はストラのことは報告しない」
「ルイフーダ…」
「それに、恋仲の奴らを引き裂くなんて俺にはできない」
「「ぶふっ!!?」」
同じタイミングで噴き出した
え!?ばれてる!?
「安心しろ。気づいてるのは俺だけだ」
「…なんでわかった?周りには仲のいい兄弟、もしくは親子に見えるようにしていたはずなんだが?」
「俺たちがオークに襲われ助けに来てくれたとき、モクが俺たちのところに来た時のモクの顔がとても焦っているように感じた。俺たちのことではなく仲間のことで焦っているように。そして、ストラの元に帰っていいと言った時、モクはすごくうれしそうだった。早くストラの元に帰りたい、そういう風に見えた。モクが戻った後、お前ら終始笑顔だったぞ?」
マジですか…
僕そんなに顔に出てたのか…
「そこから、二人はそういう仲なんだなと思っていた」
ルイフーダさんが鋭すぎて怖い…
探偵なれますよ
「ストラといるときのモクの顔はいつも笑顔だった。作られたものではなく心から笑っていた。そんな顔を向けられる奴なんだと思った。俺はモクの笑顔を信じる」
ルイフーダさんは僕たちを見てそう言った
うれしい
ストラさんのことをわかってくれたことがとてもうれしい
僕は知らないうちに涙を流していた
「ありがとう、ルイフーダさん」
「あぁ。あと笑ってくれ。お前は涙よりも笑顔の方が似合ってる」
軽い笑みを浮かべながらそう言ってきた
これは落ちますわ
「おい。モクは俺のだぞ!」
「わかっている。事実を述べただけだ」
「アハハ」
2人の言い合いを聞き僕は笑った
2人の言い合いは町に着くまで続いた
やっと盗賊団を倒せました(-_-;)
次回もしかしたら新しい仲間が増えるかも?
増えるとしてどんな種族がいいですかね?




