人助け その1
声は森の入り口あたりから聞こえた
僕たちは急いで声の所まで向かった
声の主は30~40代くらいのおじさんだった
商人なのか馬車を引いているけどその速度は普通よりも早かった
「そ、そこのお二方!助けてください!森で魔物に襲われて!」
僕たちを見つけておじさんはそういってきた
「護衛はどうしたんだ?」
「…全員やられてしました。森の中でオークに襲われました。護衛に雇ったのはランクDの3人パーティだったのですが数が多くて…」
「オークって確か猪の頭をした魔物だよね?足が遅いのが特徴のはず、逃げられないほどの数だったの?
「はい…数にして30はいたと思います。冒険者の方が馬車が通れる道を作ってくださって私を逃がしてくださったのですが・・・彼らは、もう…」
「っ!?ストラさん、早く行かないと!」
「・・・もうやられちまってる可能性の方が高いぞ。ランクDが30体を相手に長いこと持ち堪えられるとは思えない」
「そんなのわかんないじゃん!まだ間に合うかもしれないのなら僕はその可能性にかけたい!」
「…はぁ~、わかった。お前の勝ちだ。早く行くぞ!」
「うん!それじゃあ、僕たち助けに行ってきます。おじさんは町で待ってて!」
「わかりました。町であと何人か呼びかけます。くれぐれも無理をなさらないでください」
それに頷き僕らは森に入っていった
「惚れ直した?」
「ばーか。ずっと惚れっぱなしだっつうの」
そんなリア充みたいな会話をしながら森を走り続ける
もうすぐおじさんの言ってた場所だ。気を引き締めないと
「モク、俺のことは気にせず自分のことだけ考えて戦え。危なくなったら逃げろよ。いいな」
「ストラさんを置いて逃げるわけないでしょ?ずっと一緒だよ。ずっとね」
言ってて恥ずかしくなってきた
そんなことをしていると広いところに出た。
そこはオークであふれかえっていた
「可能性にかけてよかったな。まだ生きてるぞ」
死体がたくさん転がっているがそれでも多いオークの中におじさんの言っていたと思しき3人を見つけた
しかし3人とも息が上がっていて今にも倒れそうだ
「俺が先行してあいつらの注意を惹く。その間にお前はあの3人にポーションを!」
「わかった!」
僕が返事をするや否やストラさんはオークの群れめがけて突っ込んでいった
それに気づいたオークがストラさん目掛けて集まってくる
「いけぇ!モク!」
その声と同時に僕は駆け出した
何匹かが手に持った槍や剣で攻撃してきたが体を捻ったり屈んだりして避けながら3人のところまで走った
3人のもとに付いた瞬間インベントリからHPポーションを3つ取り出し3人に投げ渡した
「それ飲んでください!その間オークは引きつけておきます。長くは持たないのでできるだけ早く戦線復帰してください。」
「す、すまない…」
「すぐに戻る、それまで頼む…」
「んぐっ…ん…っふぅ~」
い、一気ですか…
いや、すぐ復帰してくれるのはありがたいですけどね
「ありがとう。助かった。この礼は町に帰ったら必ず返す」
「それは別にいいから、今はこれどうにかしないと」
「…そうだな。君は仲間のところに行きなさい。一人じゃ危険だ」
「ありがとうございます!こっちは任せます」
「任された」
そういって3人パーティと別れてストラさんのもとに向かった