ストーキングに遭いました
『武士の情けってことですよ!飲みましょう。』
俺と世代が違う奴にそう言われた。
昇進したから。
「何が武士の情けだよ。そんなのかけられるくらいなら死んだ方がマシだっつーの。」
会社の資料を削って、俺に泣きながら頼ってきた奴が。
今日は休みだが、あのゆとり馬鹿と飲むのは御免だ。だから、最後にドタキャンして、駅方面の近くにある焼肉屋に行こう。
着替えて外に出ると、九月の生暖かい風が亮の頬を掠める。
ここから駅まで約三分だ。
不動産屋に行った時、好条件だったから十秒で決めた。
新社会人の時は妙に張り切ってたっけ。毎朝無糖のインスタント珈琲を飲んでやろうなんて言ってたっけ。
三日坊主で終わったけど。
辺りが真っ暗に染まった。ここらへんは電柱が無いから、少し暗く感じる。
今の自宅を紹介された時、それも伝えられて、心構えはしたが、いざ歩いてみると怯えてしまう。
ほら、背中から聞こえる足音にも怖がっている。
ストーカーか?いやいや、こんなおじさんのことなんて別に追いかけたくないだろう。
止まってみたらどうだろうか。好奇心で立ち止まってみると、慌てたように何度かの音を残して、そのまま途切れた。
うっそ、まじで俺ストーカーに遭ってる!?
亮のストーカーされる基準はおかしい。
一、イケてるメンズか、JKか
二、なにかと金を持っていそうな奴か
なので、自分がストーキングされるとは思ってなかったのだ。
じ、じゃあ、俺ってイケてるメンズなのか、金持ってそうにみえるおっさんなのか!?
「じじい、お前金持ってる?」
背後から聞こえる低い声に亮は思わず腰を落としそうになる。




