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裏切りと凶報

レイフルト村近郊。グレゴール・スターリングより。



 父はよく「スターリング家は尚武の家だ」と言っていた。

 それこそエフタル討伐において先祖は軍神の如き活躍でエフタル北部を平定し、今の領地と爵位を初代エフタル大公より賜ったのだ。

 そんな家に生まれ、騎士として振る舞う父の後ろ姿を見て育てば自然とその道を志すと言うもの。


 だが父は自分の騎士団をオレに世襲させる気は無く、オレもそんなのは真っ平ゴメンだった。己の武によってこそ身を立てた先祖のように自分も技を磨いて騎士となり、いずれ騎士団長になりたい。

 そんな親子の思惑があり、父が親睦のあったエンフィールド家に口利きしてくれたおかげでエンフィールド騎士団に入団する事ができた。そこで武勇を磨くこと五年。そう、五年。

 順調にオレは評価され、騎士中尉に任命された。

 己が勇を認められたように思え、非常に鼻が高かったものだ。


 その年にサヴィオンの侵攻を受けた。

 もちろん力の限り善戦したが、そこでエンフィールド騎士団は壊滅、第二の故郷となっていた街を放棄する事になった。

 それからも味わうは敗北の苦みのみ。

 勝利は無く、ただ味方の撤退を助ける事のみの戦。

 それでもオレは新しきエンフィールド家の頭首に忠を誓い、戦ってきた。その戦功が認められて騎士大尉に昇進した時、エンフィールド家により尽くそうと決意を新たにしたものだ。

 それなのに――。



「大尉殿! こ、後方に新手! 傭兵です! 大尉殿!!」



 走馬燈のように思いでが蘇っては消えると言う現象が終わる。

 急速に周囲を認知し始めた頭が警告を発した。



「囲まれます! 大尉殿! 指示を!!」



 従兵が叫ぶ。気づけば手勢は二十を下回る。対して後方からは敵の新手が迫り、前方からは先ほどから戦ってきた傭兵で溢れていた。



「後方からは何人が来る!?」

「六十は居そうです!」



 前方は――。無数か。

 確か敵の戦力は合計して四千ほど。対してこちらは元々百ほどの寡兵。最初から勝敗など分かっていただろうに!



「他の隊はどうした!?」

「近衛騎士団、ロートス支隊ともに行方不明! 我らは孤立しております」



 絶叫する兵に苛立ちが募る。それと同時に先ほどから降り注いでた氷がすぐ隣に落下し、その衝撃で馬から投げ出されてしまった。



「ぺッぺッ」



 口に入り込んだ土の不味さに苛立ちながらも「損害を知らせろ」と軍の掌握につとめる。だがその返事を返す者は一人と居なかった。



「どうした!? 報告を――」



 土煙が晴れるとそこには先ほどまで付き従ってくれていた従兵が蠢いている。

 他の者を見れば同じように地面に倒れ伏す者や先の攻撃に驚いた馬を操ろうと奮起する者と二種類に分かれていた。



「なんと言う事だ……」



 地面に倒れているせいで周囲から迫る包囲の足音がよく響いてくる。

 どうなっているのだ。

 他の部隊は!? 援軍は!?

 何故こない! 例え他家であってもエンフィールド家には厚い忠誠心を捧げてきたし、父共々エフタルへの愛国心を傾けてきた。

 だから今までの戦況にも関わらず戦ってきたのだ。

 それなのに何故、援軍がこない! 何故――。



「……あのエルフ」



 まさか、見捨てたのか? オレを――?

 いや、その可能性は高い。

 ディルムッドを見捨てたようにオレ達の事も。



「くッ……!」



 あのエルフは非常に危険だ。いや、亜人そのものが脅威なのだ。

 奴らは危険な存在であり、常に人間の存在を脅かす。だからこそ先祖は奴らを滅ぼすために戦い、血を流したのでは無いのか?

 奴らが公国を蚕食するから国を追われる羽目になったのではないか?

 奴らが足を引っ張るから父が討ち死にしたのではないのか!?


 それに連戦連勝を飾るサヴィオンと王国の違い――それは亜人の有無だ。

 亜人が居るから王国は敗北し、こうして勝ち目のない戦をしている。

 だからこそあのエルフを排除して騎士団の能力を正常に戻そうとフラテス大河を守備するエルフ共への伝令を出さなかった。そう、全ては正しい判断だったはず。

 それなのにエルフはぬけぬけと生還してしまった。

 そして奴の毒牙にかかってディルムッドは殺された。そう、殺された。


 いや、ディルムッドだけではない。前任の中隊長であるハカガ・エーリヒ・エフタル中尉も奴は手に掛けたに違いない。

 報告書では戦闘中による戦死と聞いていたが、あのエルフ――いや、あいつの部隊そのものがハカガ中尉を毛嫌いしているのは有名な話だった。

 だから奴は戦の最中に手を掛けたに違いない。ディルムッドを見殺しにした時のようにあの冷たい目で――。



「……謀られたのか?」



 少数の攻撃隊による挺身作戦。それ自体が罠だったのか? オレを葬るために!?

 確かにジョン少佐は何故かあのエルフを贔屓していた。だからオレをこの作戦に選んだ。生きて帰ってこないように――。

 いや、そんなバカな事はない。よりによってジョン少佐がそんな事を考えるはず――。



「……だったら何故、救援が来ない」



 同じ戦場に居るはずのロートス支隊はどこに消えた? 近衛騎士団は?

 どうしてエンフィールド家に仕えてきたオレが孤立し、包囲されている?



「やはり、罠だったか……」



 許せん。許せん! これではエフタルのために戦った父に申し訳が立たない。絶対にオレは奴らを許さない!

 故に、オレは降伏を選んだ。

 周囲の傭兵に武器を捨てて捕虜としての待遇を要求する。なに、心配はいらない。我がスターリング家は四代遡っても人間族しかいないのだ。

 人間至上主義のサヴィオンに投降してもなんら問題なかろう――。

 甘い見通しだが、それでも的は外れていないはずだ。

 そう自分に言い聞かせ、傭兵達に付き添われるように――部下の治療も願い出た――なんとサヴィオン軍本陣へと案内された。

 そこには赤髪の少女が簡易な折りたたみ椅子に腰掛け、オレの事を待っていた。



「そちが降伏した王国騎士か?」



 冷たい声だ。だがそれはアルツアル王国のイザベラ殿下のような感情を感じさせない声では無く、慈悲を廃した冷徹な響きであった。



「ハッ。自分はエフタル公国エンフィールド騎士団所属グレゴール・スターリング騎士大尉であります。

 帝国第三帝姫アイネ殿下をお見受けしますが」

「いかにも。余がアイネ・デル・サヴィオンだ」



 帝国の赤い姫。やはりか。

 だが一介の騎士大尉に帝族が顔を見せるのか? そういぶかしんでいると帝姫は片手を上げて合図する。すると初老の騎士が桶を運んできた。小さい桶だ。

 初老の騎士が丁寧にその桶を地面に置き、蓋を外す。その中には首が収まっていた。



「り、リシュモン大佐!?」

「見事な玉砕であったぞ」



 妖艶に微笑む赤い姫がオレを見下ろすように言った。



「確かに戦場において最後の一兵に至るまで敢闘する美学は存在する。だが生き残る事もまた等しく大事なのだ。良き判断だ」



 帝国の姫に誉められると言うのもまた不思議なものだが、それでも一国の姫が自分を評価してくれていると言うのが心地よかった。

 認められた。それが嬉しく、思わず目頭が熱くなる。



「エフタルにも有能な騎士が生き残っていたとはな。通りで苦戦させられるはずだ。

 余としては貴官に敬意を表して捕虜としての待遇を保証しよう。だが捕虜の身に甘えるのではなく、余のために働く騎士にならぬか?」

「殿下のために――?」

「そうだ。余は――。いや、帝国は亜人に虐げられる民を救い、正しき国、正しき王、正しき民をもたらすためにこの地に赴いた。

 それ故、戦争の早期終結こそ余の望みなのだ。いくら人間族のための戦争とは言え、国土が荒廃する様を見るのは忍びない。

 どうか戦争の早期終結のために力を貸してくれぬか?」



 国を売れと言うのか?

 今まで仕えてきたエンフィールド家を裏切り、帝国の下に付けと?

 いや、これは良い機会なのかもしれない。

 公国を見限るのは騎士の道に反しよう。だがこの戦況だ。じきに公国は滅びよう。ならば今のうちにサヴィオンに入って手柄を立てれば父の領地を取り戻せるかもしれない。

 そして何より、公国と王国の病巣となっている亜人を取り除く戦に加わるのは悪いことでは無いだろう。



「御意に! これよりグレゴール・スターリングは殿下に身命を捧げる所存です」

「よく言ってくれた、グレゴール殿。さすが余が見込んだだけはある。ならばまず、王国の陣に戻られよ」

「は?」



 間抜けな声をあげてしまったが、赤い姫はそれを当然の疑問と受け取ったらしく、「間諜をしてもらいたい」と言った。



「間諜、ですか」

「戦争集結にはあの丘に陣取る敵の排除は避けられぬ。敵がレオルアンに後退し、その民に大きな被害が出るのを余は好まぬ。故に敵をこの地で殲滅したい。

 それには敵の情報が居る。敵の兵力。あの新兵器の射程。数……。そうした情報が居るのだ」

「な、なるほど」

「貴官は陣に戻り、敵の作戦計画を流してほしい。まさに貴官にしか頼めぬ困難な任務だ。どうだ? 引き受けてくれるか?」



 オレにしか頼めない任務――。

 その甘美な言葉に胸の内が焦がれる思いがした。

 帝に連なる者が騎士たるオレにそれを命じたのだ。断ることなどない。



「御意に!」

「良い返事だ。く、フハハ!」



 その後、クラウスと言う先ほどの初老の騎士から細かい任務の説明と報償や互いの連絡方法を確認しあってからオレは何食わぬ顔で王国(てき)の本陣に足を向けた。


 ◇

 一〇一高地の朝。ロートスより。



 地平線から光が生まれた。

 世界を優しく包み込む光。それを目にすると急に瞼が重くなってきた。それと同時に記憶の彼方から様々な映像がスライドショーのように流れてくる。

 苦労して滑り込む事が出来た会社。その勤務体系に絶望を覚えた研修後の生活。顔色を日毎に悪くしていく同期達。その中に彼女は居た。

 濡れ鴉のような艶やかなロングヘアー。女としての主張の激しい起伏をタイトなスーツに包んだセクシーな体。そしてクリリとした瞳。

 容姿は悪くない。性格も良い。最初は確か、プログラムが上手く実装出来ないとか、そんな些細なきっかけでよく話すようになり、互いを知るようになった。

 それがいつかプライベートな方向にも流れ出して……。

 そして彼女は俺を拒否した。

 もちろんショックだったが狩猟だけは辞められず、気まずい空気の中、彼女とは同僚と言う関係に落ち着いたのだ。



「思わず助けちまったなぁ……」



 運良く敵を振り切れたから良かったものの……。

 激しい後悔の念と疲労に包まれ思考はまとまらず、非常に気怠い。

 それに身を委ねていると前世の苦い思い出が流れたり、ミューロンのはにかむ笑顔が出たり、ハミッシュが「危ない事はやめるのじゃ」と怒ったり、部下達に失望される自分を見たり、憎たらしい顔をしたハカガ中尉が出てきたりと取り留めもない物語が流れ続けた。

 それを漫然と眺めていると「中隊長殿!」と体を揺すられ、目が覚める。堅い草地に寝ていたせいか、それとも睡眠時間のせいか頭は未だ集中できず、再び居心地の良い夢の世界に飛び立とうとする。

 だがそれを阻止するように再び体を揺すられた。



「なんだ?」

「大隊長殿がお呼びです」



 縫いつけられたんじゃないかと思う瞼をこじ開けると伝令を申しつかったエルフが俺をのぞき込んでいた。



「エンフィールド様が?」

「早急に大隊本部に出頭せよ、と」

「出社拒否したい……」

「はい……?」



 首を傾げる伝令になんでもないと伝え、堅くなった体を起こす。体中の骨が悲鳴をあげる中、立ち上がって朝の空気を肺に送り込む。すると若干だが、眠気と倦怠感が体から出て行くような気がした。

 あぁ、まずミューロンの所に行って生還の報告をしたかったな。

 まもなく始まるであろう戦を予感しつつ大隊本部に足を向けるとそこには多数の歩哨が周囲を固めていた。まるで厳戒態勢。何かあったのだろうか?



「ロートス大尉だ。エンフィールド様から周到を命じられている」

「ハッ。承っております。中へどうぞ」



 アリの子一匹も通さないと言うような体勢だが、あんがい簡単に天幕に入れた。

大隊本部に顔を出してみればそこにはなんとも言えない沈痛な空気が漂っていた。



「……おや? グレゴール大尉。戻られていたので? はぐれてしまったので心配しておりましたが、よかった、よか――」

「な!? 貴様! どの口でそれを言うか! よくも敵前逃亡を――」



 急に怒気をはらんだ声を上げるグレゴール大尉に思わず思考がストップする。敵前逃亡? いや、そんなものした覚えはないんだけど。



「よさないか。ただ戦場ではぐれただけだろう。夜戦だったのだから仕方あるいまい」

「ですが――」

「よせと言っている。今はそれどころではないのだ」



 大隊本部の上座に座るエンフィールド様のただならぬ気配にグレゴール大尉は押し黙り、内心の怒りをぶつけるように手近な椅子を蹴飛ばした。そこはディルムッド大尉の席だった場所。



「あの、どうしたのでしょうか。もしかして俺が保護したドラゴンの事――」

「違う」



 いつになく硬質な否定。

 撤退戦の時でもこんなに余裕の無い姿は見せなかったと言うのに。これはいよいよ何かあるな。



「今朝、鳥人族の伝令がアルヌデン平野での戦いについて報告してきた」



 鳥人族――確か高地に住む背中に翼を生やした種族だったか。長槍(パイク)を得物とする名高い傭兵一族。どうやらアルツアルではその傭兵と契約を交わしていたようあ。



「伝令によれば……。東進するサヴィオン軍を阻止するために出兵した王国第一軍集団が、全滅したそうだ」



 アルヌデンから南下してきたアイネとは別の部隊――サヴィオン軍第三鎮定軍は北方街道から王都アルトへ向けて二万の大軍を差し向けてきた。

 対してそれを迎え撃つのは近衛第一騎士団を主力に周辺諸侯を合した第一軍集団一万。

 すでに勝敗が見え隠れする数字だが、それでもアルツアル軍はめげる事無く戦い、全滅したと言う。その再、アルツアル王国第一王子シャルル・ジュシ・アルツアル大将も戦死し、軍は敗走状態らしい。



「第一軍集団は現在、ジュシカ公爵が指揮をとって遅滞防御に徹しているとの事だ」

「………………」



 王軍敗退。その意味はアルツアルの滅亡を意味している。もはやこのちにおいての戦況などまったく関係ない。

 もう、アルツアルの喉元にサヴィオンの刃が突きつけられているのだから。



「王国は、エフタルはどうなるのです?」



 一気に乾いた喉から絞りだした声はカラカラだった。一息が喉を流れる毎に痛みが走る。



「勘違いするな。まだ敗北したと言うわけではない」



 アルツアル王は未だ降伏と言う道を取ろうとはしておらず、アルツアルの全騎士団や傭兵団に対して全軍王都集結を命じたと言う。

 最後の決戦は王都――。



「これは勅だ。拒む事はできない」

「ですがこの戦線を放棄してはみすみすレオルアンを敵に明け渡す事になります。そればかりは――」



 幾多の大河が交じり、別れる地であるレオルアンは要衝だ。それをみすみす手放すのはもったいないような……。



「もはやそのような議論をしている暇は無い。一重要都市を守る、守らないの段階は過ぎた。次の戦こそアルツアルの命運が掛かっているのだ」



 王都が陥落すればアルツアルは詰み。

 侵略者は悠々と凱旋し、敗戦国たるアルツアルはその支配下に置かれる。



「そ、それで我々はどうするのです?」



 先ほどまでの怒りを捨てたグレゴール大尉が不安そうに聞く。

 いや、俺も不安だ。

 レオルアンから王都まで結構な距離があるだろう。何日かかるのか予想もつかない。

 その間、アイネの率いる東方辺境騎士団の攻撃を阻止しながら王都に向かうと言うのは不可能に思えた。



「わからない。レオルアンの連隊司令部の指示を待つばかりだ」



 願わくはその命令が早く届いてくれれば――。

 うん? おかしいぞ。



「あの、どうしてその事を俺達に?」



 いくら騎士位があるとは言え、中隊長でしかない木っ端大尉に大規模な撤退作戦を伝えるだろうか。

 てか、この人の事だから裏があるに違いない。



「さすがロートス大尉だ。感が冴えている」

「……今度はどのような作戦で?」

「喜んでいいぞ。今回は遅滞作戦では無い」



 アルツアル王の勅令を受け、イザベラ殿下は第三軍集団に先んじて王都へ帰還しいなければならないのだが、眼前にはアイネ率いる最強の騎士団である東方辺境騎士団がこちらを狙っている。

 先に殿下が脱出された事を欺瞞するためにもしばしレオルアンでの抗戦を続ける必要もあるが、脱出した殿下の御身を東方辺境騎士団から守る事も重要だ。



「つまり殿下の護衛、ってとこですか?」



 とは言え、エフタルの義勇兵に頼らずともそういうのは専用の部隊――それこそ近衛騎士がいるのでは?



「近衛騎士に護衛されていてはそこに殿下がおわす事が分かってしまうだろ。

 だから複数の部隊に殿下の影武者を混ぜて敵を攪乱しつつレオルアンを出る。

 幸い幾分か時間の猶予がある。人間至上主義のサヴィオンではいくら騎馬の民でも第一軍集団敗北の勝利や陛下による王都集結の勅の存在を知るのは時間がかかるはずだ。少なく見積もって一週間ほどは第三鎮定軍勝利の報は伝わらないだろう」



 その間に逃げてしまおうって事か。

 確かに少数部隊が一〇一高地から脱出を図っても敵はそれを順次レオルアンへ退却する部隊とだけしか思わないだろう。それに乗じて殿下を王都にお連れする。

 良い作戦だな。



「参加兵力は? サヴィオン軍に気づかれずに脱出されるのなら少数の部隊でここを出るって事ですか?」

「そこは未定だ。だが教導大隊に声がかかるのは確実だと思ってくれ。とくにロートス大尉。君の部隊はどうも殿下に親しまれているようだからな」



 まいったな……。だがそうと決まればこちらも物資なんかをかき集めなくては。

 王都までの長距離行軍となれば食料は現地調達を視野に入れて、逆に補給の聞きそうにない弾薬はしこたま持たせて……。

 まぁ今回は悲壮な逃避行ってわけでもないし、気にすることと言えばミューロンの事だろう。

 まだ快気しない彼女を置いて任務につくのが心細くて仕方ない。

 今まではミューロンのためと自分を鼓舞していたのだから余計にくるものがある。

 後ろ髪を引かれる思いとは、この事か。


お待たせ!

ですがストックが少ないので若干ゆっくり投稿となりますが、次は日曜更新を目指しております!



それではご意見、ご感想をお待ちしております。

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