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夜空より降る

 アイネ・デル・サヴィオンより。



 外の騒がしさに目を覚ますのと「お目覚めくだされ」とせっぱ詰まった悲鳴が聞こえたのは同時だった。

 闇に閉ざされた寝所の中、眠気のせいで収集のつかない思考はその叫びを夢の残り香であると結論しそうになった時――。



「殿下。敵襲です」

「――ん!?」



 重い頭が覚醒に動き出す。

 身を起こせば身を包んでいたウールの織物がずるりと落ち、白い肢体が闇の中に露わになった。



「殿下!」

「よい、入れ」

「失礼します。殿下、敵襲に――。これは失礼」

「構わん。報告を続けよ。それと着替えを手伝え」



 天幕の片隅に置かれた着替えに手をつけながら教育係りとして仕えてくれている従者に命じれば、彼は余がもとめる情報を淡々と語ってくれた。

 敵は闇夜に紛れて村に屯していた傭兵を襲撃し、この本陣に向かってきているとの事だった。



「敵の兵力は?」

「不明です。村へは二手に分かれて攻めてきたようです。片方には騎士もいるとか」

「く、フハハ。敵はいよいよ意気軒昂と言ったところではないか」

「笑われる場合ではございません」



 手早く下着を身につけ、上衣と袴を履くと待っていたとばかりにクラウスが鎖帷子を頭から被せてきた。



「我が軍の対応は?」

「現在、騎士団は戦闘配置を整えている最中です。幸い、前衛の傭兵共が壁となってくれているので敵の侵攻は鈍化する事でしょう」



 その口振りから敵が本格的な攻勢では無く、少数の兵力を使った限定攻勢だとクラウスは思っているのだろう。

 だが敵が調子づくのはよろしくない。



「魔法使いを本陣に集結させよ。それと騎士団の各位に通達。カンテラに油を入れ夜戦に備えよとな」

「御意」



 腰帯の金具にミスリルの曲刀を差し、最後にクラウスが肩に深紅のマントをかけてくれる。

 さて、余の準備も整えたぞ。



「余、自ら出陣して敵を討つ」

「殿下は本陣にて吉報を聞くだけでよろしいのですぞ」

「それでも良いが、それだけではもの足りぬ。それより早く余の命を伝えに行け」

「ハッ」



 騎士将校としての顔をしたクラウスは寝所を出るや鋭い号令を発していく。

 余に仕えるまでは武官として各地を転戦したと聞いていたが、なるほど。奴には戦場の風が一番似合っている。

 もっとも本人は戦場から足を洗って政治に食い込みたいと言う野心があるようだが……。それさえなければな。



「さて、余もうかうかしてられんな」



 ゆっくりとした足取りで周囲を激励しながら本営に行けばそこには焦りを隠せない幕僚達が青い顔をして集まっていた。

 なんと景気の悪い顔だ。だが、その中に一人冷静な者が居た。

 朱髪が本営を照らす松明によってより赤々と輝いている。



「皆、案ずるな。それより逆襲を発起する。即座に作戦を練れ」

「し、しかし殿下! ここは慣れぬ地の夜。夜襲は危険すぎます。それに傭兵連中にはこの騒ぎに乗じて離散する者もいるかと」



 幕僚の一人の至極もっともした反論に他の面々も同調する。

 だがこのまま敵に勝利を渡してやる事もない。



「我らの勇を示す事で逃亡兵も減るだろう。ミーシャ。夕の一件だが、ここで挽回といかぬか?」

「願ってもない機会を与えてくれるとは。さすがボクが頭を下げただけの相手ではある」



 薄く笑うと彼女は颯爽と本営を離れていく。

 その間に幕僚は諦めたように地図に置かれた駒をいじって作戦を練りだした。

 すると「遅れました」とクラウスが額に浮かんだ汗を拭いながら(非常に晴れやかな顔をしている)本営に姿を現した。



「現有の魔法使いを全て集めました。総勢三十人です」

「よろしい。ミーシャの準備が整い次第、逆襲に――」



 その時、「伝令!」と荒い馬の嘶きと共に一人の傭兵が駆け込んできた。



「ほ、報告します! 敵は村からさらに攻勢に出てきました! 敵は傭兵(われら)の天幕を襲い、さらなる攻撃を画策している模様!」



 どうも敵は戦闘意欲が高いらしい。

 その伝令に休むよう伝えて本営を出ればそこには手に杖を携えた勇士達が立ち並んでいた。そして馬を引いたミーシャ率いる一隊も姿を見せ、いよいよ機が熟してきた。



「さて、行くぞ諸君!」



 松明を掲げる従者達。騎士達も己が愛馬の鞍に取り付けたカンテラに明かりを灯し、闇を裂いて進軍をする。

 それに混じるため愛馬であるブケパロスを連れてこさせ、彼等の元に行けば。前方から腹の底を揺さぶるような爆音と耳に障る甲高い音が聞こえだした。そして悲鳴も。



「ヨハナ。おるか!」

「はい、殿下!」



 東方辺境騎士団でも少ない女騎士である彼女は緊張に頬を強ばらせつつも魔法杖を強く握りしめて余に応えてくれた。

 彼女もミーシャの一隊に加わっているのか、騎乗した彼女がゆるゆると近づいてくる。



「この距離から傭兵共の陣地を法撃できるか?」

「はい、出来ます。篝火も見えますし、開けているので着弾の修正も容易かと」

「なら攻撃せよ」



 すると彼女は闇夜でも分かるほど顔色が青くなりだした。



「し、しかし殿下。あそこには味方の傭兵がおります!」

「……いかんのか?」



 傭兵などいくらでも買える。言わば消耗品なのだ。

 消耗品とは使い潰してこそその真価が発揮されるというもの。故に今こそ奴らを潰す時ではないか。



「法撃せよ」

「わ、分かりました!」



 騎乗していた魔法騎士達が下馬し、マップケースに押し込まれた魔法陣を広げ出す。

 横一列に組まれた法撃陣地に魔法使い達が立ち並び、手にした魔導書を開く。

 すると魔法使いに追随してきた従者達が水樽をゴロゴロとその前に置しだした。



「攻撃目標、前方の陣地。試射をはじめよ」



 すると魔法使いの一人が朗々と魔法式(ことば)を組み上げていく。

 すると樽に納められていた水が命を得たように宙に浮いて凝固するや、それは予備動作なく射出されていった。それと同時に空になった樽に変わって別の樽が先ほど呪文を発した魔法使いの前に送られる。

 なお、空になった樽には別の魔法使いが水魔法を使って中身を補充していく。



「弾ちゃーく!」



 炎に照らされた氷塊が陣地の奥に向かって降り注ぐ。ハズレだ。

 すると魔術大隊の長が「遠弾。下げちょい。方位よし。修正法撃急げ!」と命令を発すれば、それを元に魔法使いが新たな魔法を紡ぎ出す。



「さて、敵はどう出るか」



 連続した法撃に敵はまた怯えるだろう。

 奴らにとってこの攻撃ほど敗北を感じる物は無いはずだ。これなら弓兵隊も連れてくるべきだったか。

 いや、詮無きこと。

 まずは敵の足を止めさせる事だ。そして最後は騎士による蹂躙で敵を押し返してやる。

 く、フハハ。夜襲による小手先の勝利など無意味だと敵に分からしてやる!


 ◇

 ロートスより。



 突然、頭上を何かが飛来すると共にそれが流れ星のように後方へと去り――。

 轟音と共に大地をえぐり取った。



「魔法攻撃か!」



 馬乗りになっていた敵の傭兵から視線を上げれば、そこには細々と輝く星々しかいなかったが、それでもさらなる敵の攻撃を予感させた。



「ロートス支隊集結!」



 傭兵から立ち上がると、ふと右手に激痛が走っている事に気が付いた。

 山刀を握るその手の拳が切れている事に気づき、ふと先ほどまで殴りつけていた傭兵を見やる。すると彼の血に染まる口元から折れた歯の欠片が目についた。



「そりゃ手も切れるわな」



 ミューロンが居てくれたら、手当してくれただろうか。

 意識の外に外れていた彼女の事を思い浮かべれば堰を切ったような心細さがわき出してきた。

 いや、今はそれどころじゃないだろ。



「支隊集結せよ!」



 すると血塗れの兵達がノロノロと集まりだした。

 誰もが目を爛々と輝かせ、名残惜しそうに俺の命令を待っている。どうも皆、血に酔いしれているようだ。

 「これだけか? 点呼」と命令すれば支隊の副官をしてくれているリンクス臨時少尉が進み出て号令をかける。そして人数をまとめると、彼は頬にこびりついた血を拭いながら言ってくれた。



「ロートス支隊、現在総員十一名」

「減ったな……」



 えと、エルフが三人に、獣人が七人、オークが一人か。

 半数になったとは言え、そこから戦意が失われたわけではないように彼等は誇らしげにこちらを見てくる。

 誰もが血で汚れているにも関わらず、いよいよ誉めてくれと言わんばかりに堂々とした様をしていた。



「残念だが諸君。今宵の宴がそろそろたけなわであろう」



 周囲を見渡せば燃えゆくテントに人馬の悲鳴が続き、そして氷が地面を打ち付けるところが視界にはいった。

 あの氷がここに落ちたら一溜まりもないな。


 てか、それより騎士達はどうしたのだろう。

 辺りには見あたらないし、完全にはぐれたと見て良いだろうか。なら、この場の最上位階級を持っている俺が部隊行動を決めなくてはならない。



「……これより我が支隊は撤退に移る。我らはこれより攻撃を発起した森に戻り、それから臨編遅滞戦闘団司令部に帰還する。総員、駆け足。我に続け」



 装備がガチャガチャと擦れる音と共に軍靴が一斉に踏み出される。

 それと同じくして氷の固まりが降り注ぎ、大量の土煙を周囲にまき散らした。



「くそ、離れるな! 互いに声を出し合え!」



 するとどこからともなく歌が響きだした。よく知る旋律のそれは夜の世界に煌々と響く。

 それこそ悲鳴も魔法の着弾音もそれを彩るバックミュージックとなり、不思議なコンサートの模様を呈し始めた。



『我ら敵とまみえれば、それを果敢に打ち倒そう!

 我らを仇なす敵とまみえれば、それを屈服させよう!

栄光よ(グローリア)栄光よ(グローリア)栄光よ(グローリア)神々よ我らに勝利の栄光(グローリア)を授け給え!』



 歌が響く。

 この血に汚れた世界に。


 天上の星々達の輝きが降り注ぐ。

 死体転がるこの世界に。


 透き通った光に照らされた世界が奇妙に見える。美しいような、醜いような。

 もうわからん。詩的な事を考えてもどうしようもない。

 さて、これから逃げて――。



「前方に集団! 敵と思われる!」



 誰かが歌を辞めて叫んだ。

 確かに見えた。軽装な革鎧に身を包んだ兵士達。友軍では、無い。



「傭兵!? 村に居たのは殲滅したはずじゃ――」



 いや、たった百人ほどの襲撃で村全ての敵を排除出来たわけではない。きっと周辺に離散していたんだ。それを統率者がまとめ、軍として再編した――。



「百人はいるのか? いや、もっと少ないのか?」



 暗くてよくわからないが、少なくともこちらの倍以上は居そうだ。

 まさか歌っていたせいで敵がこちらに気づいたとかじゃないだろうな。



「各自、止まれ! てつはうの個数を報告!」



 雑嚢の中に突っ込んだ最後のてつはうと取り出す。

 すると先ほどの攻撃でほとんどの兵が使い切っていたようで支隊に残るてつはうは四個だけだった。

 その四個のてつはうをオークの一等兵に渡す。



「各自、傾注! 一等兵は号令と共にてつはうを敵右翼に投擲せよ。全てのてつはうが爆発した後、我らはこの方向に向け突撃を行う。

 目標は前方の森。突撃後は森にて隊を再編する。だが隊から離れて集合が困難な者は各自の判断で一〇一高地の中隊本部に帰還せよ。

 なお、戦闘は避けて森へ駆け込む事を第一とするように。投擲よーい!」



 敵との距離はだいたい五十メートル。

 オークがてつはうに着火。「投擲」の命令と共に豪腕が唸り、てつはうが闇の中に消えていく。それを見届ける事無く彼は次々とてつはうを投げ飛ばしていき、四度目の爆発が轟いた。



「突撃にぃ進めぇ!」



 優しいメロディから一転し、殺意のみの雄叫びが半月を揺らす。

 案の定、突撃を指向した先ではてつはうの爆発で大きな穴が空いてた。そこに向けて走る。どうも傭兵達はこちらのてつはうを警戒してか、左翼部隊からの攻撃は一切ない。

 これはしめた。

 走行コースを敵が作ってくれるとは思っていなかった。その幸運を噛みしめて駆け出すのだが――。



「た、大尉!」

「どうしたリンクス臨時少尉!?」

「う、うえ!」



 報告は明瞭にと叫ぶ前に反射で上を見る。のっぺりとした夜空。瞬く星々。そしてさらに濃い黒の塊――。

 塊!?

 それは徐々にその大きさを増しながらこちらに迫ってくる。ってなんだあれ!?



「ふ、伏せろ!」



 躓くように地面に倒れるとぬちゃりとした暖かい物が頬についた。そういやそろそろてつはうが爆発した地点だったか。

 口に入った鉄の味の土を吐き出し、上空を見やればいよいよその塊が頭上を飛び越えようとしていた。

 他の兵は? 周囲の二、三人は俺にならって地に伏せているが、多くの兵は迫り来るその塊に目を奪われ棒立ちとなっている。



「伏せ――」



 だが言葉が終わる前にその塊が音を立てて地面を擦る。

 敵の新しい魔法か!? だが今まで俺達を苦しめてきた氷塊ではなさそうだ。

 恐る恐るとそれに近づけばそれが氷で無い事が分かった。

 硬質な鱗。鋭い鍵爪。そしてがっしりとした両翼。

 そしてその大きさ。鞭のような尻尾からワニのような頭まで二十メートルはあるんじゃないかと言う巨体。



「ど、ドラゴン……!?」



 天空の覇者。海を隔てた彼の地に居きる最強の種族。生きる伝説。

 父上から聞かされた物語の存在が目の前にいる。

 だがいつまでも生まれて初めて見たドラゴンに視線を奪われている訳にはいかなかった。突如、足下に矢が生える。

 思わずドラゴンの巨体の陰に隠れるとカツンと言う響きと共に鱗が矢を弾いた。



「た、大尉! 弓兵による攻撃を受けています! 先ほどの傭兵かと」

「報告せんでもわかってる!」



 しまった。ドラゴンに見とれて重要な突破力を喪失してしまった。

 もうてつはうは無いし、やるなら一斉射して敵の気勢を削いでから再度の突撃を図るべきか?



「総員、弾を込めろ! 斉射後、再度の突撃を慣行する。急げ!」



 方針が決まると行動も早い。皆、必死にカートリッジを噛みちぎり、込め矢(カルカ)で弾丸を押し込んでいく。

 ちょうど良い遮蔽物と化したドラゴンの陰から頭を覗かせると傭兵共が弓を必死に引く姿と身軽そうな歩兵が腰を低くして迫る様がよく見えた。距離はだいたい三十メートルを切っている。突撃してくるであろう歩兵の数は……。ま、たくさんか。



「急げ――」



 ふと、横目でドラゴンを見るとその姿が小さくなってきている気がした。いや、小さくなってる。

 最初は緩やかだった変化が加速し、今や中腰になっている状態でも敵の姿がよく見えるようになってしまった。



「構え! 狙え!」



 だが考えている時間は無い。ドラゴンが小さくなる理由なんか知らないが、少なくとも身を隠せる場所が無くなったのは分かった。



「撃て!」



 銃口から火花が飛び出し、銃火が周囲を照らす。

 だが十ほどの銃撃はあまりに貧弱だった。



「走れ!」



 もはや命令だとか号令だとかを気にしている暇は無かった。

 脱兎のごとく足を動かす兵士達。その最後尾を確認し、ふとドラゴンを見ると、なんと巨大なトカゲのようだった姿が人の形になっていた。



「はえ!?」



 間抜けな声だな。と思いつつそのドラゴンから目が放せない。

 肉付きのよい体。その顔も若く、非常に整って――。

 見覚えのある顔だった。いや、ドラゴンに知り合いは居ないはず。でもどこかで――。



「大尉! お急ぎください! 敵が」

「あ、あぁ!」



 後ろ髪引かれる思いで記憶を検索する作業を辞める。

 あのドラゴン、どこかで傷ついたのか、腹部にべっとりとした血がこびりついていた。あれじゃ助からないだろう。



「ん――」



 その呻き声が聞こえたのは奇跡か、もしくは悪魔の悪戯か。

 振り返れば整った瞼がピクリと動くの見てしまった。そう、見てしまった。

 生きてる。そして思い出した。

 前世の彼女に似ている。それこそうり二つと言うように。



「生きているのか――ッ」



 彼女とはかなり良いところまで付き合えていた。

 それこそ俺の狩猟趣味以外の点において神様が俺のために与えてくれた女性だと思えるほどに。

 もっとも破局してしまったわけだけど、それでもあの人に似ている女性を置いていく事は、出来ない。



「くっそ!」



 迫り来る追っ手を無視して彼女を担ぎ上げ、「早く早く」と叫ぶリンクスの後を追った。



やっとドラゴンの伏線を回収できました。


それとお知らせですが、ちょっと私用で明後日の更新は出来そうにないです。申し訳ありません。

次回更新は早くて金曜日です。


それではご意見、ご感想をお待ちしております。

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