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第三次アルヌデン平野会戦・10

 サヴィオン帝国第三鎮定軍本営からジギスムント・フォン・サヴィオンより。



 間もなく勝利が手にはいる。

 確信に似た期待に思わず口元が緩んでしまう。



「この戦が上手くいけばマサダ防衛も安泰だな」



 王都アルトへの攻撃拠点であるマサダはなんとしても守らねばならぬ要所であり、この戦でアルツアルの勢いをそぐことが出来ればサヴィオンが誇る魔法も相まって防衛も易くなるだろう。

 そして冬の間に戦力を整え、来年の夏までにはアルツアルにサヴィオンの旗を――。



「殿下! 失礼いたします!! 敵陣に動きあり! 友軍左翼が危険なほどの圧迫を受けております! 至急援軍を!!」



 突然飛び込んで来た伝令が礼もなく口早く伝えて来た内容に思わず頭が白くなる。

 そもそも左翼が押されていると言われても敵の突出した戦線中央部の包囲戦に予備戦力も投入していて左翼の戦況をリカバリーする戦力など存在しない。




「なんとか持ちこたえられぬか?」

「無茶です! すでに三千弱の兵で倍の兵力を相手にしているのです。最早壊走は時間の問題です! どうか援軍か後退の御命令を!」

「な、ならん! 今後退しては敵の突出部隊の包囲が崩れてしまう!」



 そうだ。今のところ釣り野伏は成功している。ならばこのまま作戦を継続すべきだ。

 だがその思いを挫くように新たな伝令が駆けこんで来た。



「殿下! 報告致します。中央戦線ですが敵の増援により包囲に失敗しました! このままでは敵先鋒が戦線を食い破り、本営を脅かしかねません。どうか本営の移動をご検討ください!」

「ば、バカな! 包囲は上手くいっていたのではないか!? フォンテブルク騎士団は?」

「それが攻撃中の敵突出部隊が隊を二分し、片一方がフォンテブルク騎士団へ頑強な遅滞戦闘を展開し、そこに一個騎士団並の敵増援が現れたため包囲を断念したようです。なお、フォンテブルク騎士団は現在後退の途上にあり!」

「そんな……。さ、左右に展開する騎士団で中央の敵集団を挟撃すれば――」

「何を仰られるのです!? 右翼はともかく左翼は敵の圧力が強くて身動きはおろか、戦線崩壊の危機なのです! そのような余裕はありません! どうか援軍を!!」



 二人の伝令に挟まれ、脳裏に『撤退』の二字が浮かんできた時に同じく本営に待機していたエルヴィッヒ・ディート・フリドリヒがその二人の声を止めた。



「貴方達! 殿下の御前なのだから弁えなさい! 今、殿下が妙案を授けてくれるのだから静かに!」



 エルの鋭い視線が伝令達を射抜くが、それを向けられた二人も負けずにその瞳を睨み返す。

 彼らとて分かっているのだ。施策が一つだけだと――。



「殿下! フォンテブルク、帰還致しました」

「――! 祖父上殿!! 率直に申してほしいのだが、継戦は可能か?」

「……継戦は、厳しいかと」

「な!? ふ、フォンテブルク公爵! 何を言っておられるのです!? そのような敗北主義的な言動を殿下の前で口にするなど!! 同じ公爵として恥ずかしく思います!」



 ――少し前のオレだったら、エルの叱責を引き継いでいただろうな。そう思うと苦笑が浮かんでしまう。



「長年、戦働きをしてきた祖父上殿が言うのだ。残念だが、継戦は無理だろう」

「で、殿下!?」

「だが祖父上殿。我々はアルツアルに出血を強いる事はできたであろうか?」

「畏れながら申し上げれば、我々はすでに敵の突出部隊に十二分な出血を強いており我々の目的は達成されたと確信いたします」

「うむ。分かった。全軍に退却を知らせろ。エルの騎士団を出したばかりで悪いが、すぐに引き戻させてくれ」

「……御意」

「そう気を落とさないでくれ。フリドリヒ騎士団には友軍の後退を支援するため、今後は遊撃戦を行ってもらう。祖父上殿、デルソフ騎士団の魔法使いをフリドリヒ騎士団に入れたいのだが、どうか?」

「良きお考えに存じます。それでは殿下も脱出の御準備を。撤退戦の準備はこちらで執り行いますのでご案じなく」

「任せたぞ」

「はッ!」



 そうだ。この戦はただ勝利するだけの戦ではない。次の勝利のための戦なのだ。

 故にこれで良い。



「そう言えば迂回行動に出ていたラーガルランドは?」

「あれは確かに勇猛果敢な将ではありますが、こちらが撤退の動きを見せればすぐに意図を察して後退に転ずるでしょう。なに、ラーガルランド家は尚武の家柄であり、戦場の空気を機敏に感じ取るはずですのでご心配は無用かと」

「そうか。では皆の者! 後退の準備を始めよ!」


 ◇


 平原から、ロートスより。


 雨に打たれながらひたすらの待機の後に待っていたのは味方の喊声であった。

 その声量に辟易していると雨中でありながら空に上がっていた鳥人族傭兵のヤーナさんがバサリと降下してきた。もっとも臨編旅団司令部に向けて着陸を試みているようで、こちらには見向きもしない。

 故にエンフィールド様が俺を連絡将校として旅団司令部に行くように命令されてしまった。そういうのって連隊本部の幕僚が行くんじゃないの?

 と、思うが小心故に反論出来ずにすごすごと旅団司令部に出頭するとちょうどヤーナさんが状況を説明しているところだった。



「国民義勇銃兵隊による総攻撃で友軍右翼は敵戦線を突破、それに歩調を合わせるようにエフタル義勇旅団も前進を再開したみたい。それにサヴィオンの一部部隊も壊走を始めたようだけど、ヤーナの勘としては撤退に移り始めてるっぽい、です」

「そうか……。ん? おぉ、ロートス大尉か。喜べ。今度は勝ったぞ」



 「真ですか!?」と問えば浅黒いエルフは破顔を浮かべ、満足そうにうなずかれた。



「あぁ。この鳥人族が言うのが正しいならな。おい、従兵! 酒を持ってきてくれ」



 そう言えばアルヌデン様は酒がきれると亡くなったご家族の幻覚を見るのだったか?

 だがこのアルコール依存症的な飲み方は如何なものか……。



「お待たせしました!」

「おう」



 人間族の従兵からワインボトルのような瓶を受け取り、俺に向けて手を伸ばしてくる。



「――?」

「察しが悪いな。お前も銃剣は持っているだろ? 栓抜き代わりに使うから貸せ」

「は、はぁ。しかし、俺のは銃剣は突撃の際に破損してしまいまして……」



 ちょっと銃剣突撃をしたら銃剣は折れるは、銃身は曲がるはで散々なのだ。それで使い物にならなくなった銃剣をいつまでも持っていても仕方ないとアルヌデン平野のどこかに落としてきてしまった。



「ったく。お前な。これじゃワインが飲めないだろ」

「そうは言われましても……。それで戦況はサヴィオンが逃げ出した、と?」



 「そうだ」とアルヌデン様が言いながら手近な兵を呼び、その兵からスパイク式の銃剣を借りたアルヌデン様はおもむろに銃剣の切先をコルクに押し当て、ぐいぐいとコルクを瓶に押し込んでいき――。ポンッと景気のよい音と共にコルクが瓶の中に沈んだ。



「よし、開いた!」

「えぇ……。コルク栓が中に入っちゃってますよ」

「気にすんな」



 そして豪快に瓶の中を呷られるアルヌデン様。人の事は言えないがこの人、本当に貴族か?



「ふぅ。おい、鳥人族。空は寒かったろ。後はやる」

「わーい! お酒! お酒大好き! これ飲んで空飛ぶのが良いんだよね。ほんとは度数の高いダクラウが一番だけど、いっか」



 絶対良くないやつだろ。てかお前もお前で図々しいな。もう好感が持てるレベルだぞ。



「それで、お前、エンフィールド卿の遣いだろ。さっさと吉報を伝えてこい。貴様達は王都で散々武功をあげたんだ。今更追撃に加わらんでもよかろう。別命あるまで待機とでも伝えといてくれ」

「はい。かしこまりました。では失礼いたします。あ、その前にヤーナさん」

「――ん、ふぅ。なぁに?」



 早速飲んでるよ、この人。俺もここまで欲望に忠実であったならもう少し人生を楽しめるのかもしれないな。



「二〇一高地――俺達が元々いた丘に残して来た部隊がどうなっているか、見ました?」

「あー。見たよ」

「どうですか? 無事ですか?」

「なんか、すっごく迂回してきた部隊とドンパチやってたけど、敵は引くみたいだし、大丈夫だと思うよ?」



 それ、本当に大丈夫なやつじゃなんじゃ……?


 ◇


 第二〇一高地は危機に瀕していた。



「敵、第三波! 来るぞ!! 投擲用意!!」



 ロートス大隊の片割れを指揮するリンクスの号令に兵達に緊張が走る。

 大隊が二分されてから数十分後、まずサヴィオン軍の最迂回部隊の二回目の攻撃が始まった。

 規模としては二百弱と頭数ではだいたい同数の騎兵集団に対し大隊残存兵力は高地というアドバンテージを生かしながらねばり強い防戦を展開した。

 特にサヴィオンにとっては高地攻略の鍵である魔法使いによる執拗な攻撃が行われたものの、丘の稜線に隠れるように陣地を構築したため中々有効打を得る事ができなかった。

 それに対してリンクス達は稜線に身を隠しながら眼下の敵を攻撃できるとあって地の利を生かした戦いをする事で第二波を跳ね返す事に成功した。


 だが事態の急変は気分屋な雨によって悪化へと転がっていく。

 遠距離武器の射撃により敵の攻撃を挫いてきた銃が濡れて鈍器と化していったため、火力が目減りしてしまったのだ。

 幸い、予備のてつはうを残してきたためにまだ全火力を喪失した訳ではないのだが、それでも銃なくサヴィオンの攻撃を防げるのか、リンクスは不安にさいなまれていた。



「ぜってーにてつはうを濡らすな! この一発はテメェらの命よりも重いと思え!!」



 一人一つ、という訳にはいかないが、まんべんなくてつはうを分配したリンクスは丘の下から魔法を放って牽制してくるサヴィオン軍を睨む。だが距離は凡そ二、三百メートルは離れており、まだまだ攻撃の時ではない。

 そんなリンクスの隣にひょっこりと一人のエルフが現れた。アンリ曹長だ。



「臨時少尉さん。こいつぁマズいんじゃないんですかい?」

「それがどうした。この部隊にとってはいつも通りだが?」

「……命がいくつあってもたりねぇぜ」



 ゆっくりとアンリも眼下の敵を見やり、見なけりゃ良かったと悪態をつきながら塹壕に身を潜める。



「なぁ臨時少尉さんよぉ。敵さん、増えてるぞ。三百はいた」

「気のせいだ。二百だけだ」

「いや、三百だ! 三百!! くそ、勝てるわけねーだろ」

「ギャンギャン騒ぐな! 二百も三百も誤差のうちだろ。どんな相手だろうが戦う。それがロートス大隊だ。戦う気がないなら塹壕から出て行け!」



 リンクスの噛みつかんばかりの怒鳴り声にアンリは口の中でごにょごにょと万に迫る呪詛を吐き出し、手にしているレオルアン製の銃に力を込める。



「ん? 攻撃がやんだな。来るぞ! 警戒しろ!!」



 ワーウルフ族故に戦場の空気を敏感に嗅ぎ分けたのか、それとも今までの戦闘経験から裏打ちされた勘が囁くのか。

 リンクスはアンリに向けていた怒気をかき消し、吠えるように警告を飛ばす。

 陣形としてはサヴィオン軍に対して八の字状に野戦築城を敷くロートス大隊はリンクスの指揮する第二中隊とナジーブの指揮する第四中隊に分かれて布陣し、来るべき時を待ち――。

 ラッパの音階と共にサヴィオン軍が前進を開始する。



「点火!」



 リンクスの命令により壕の各地から『点火』の復唱が続く。

 ジリジリと燃えゆく導火線と丘を登りだした敵騎兵を睨み、彼は命じる。



「投擲!!」



 雨雲の下、放物線を描いたてつはうが舞う。

 だが保管の段階でこの雨に打たれて火薬が湿気てしまったのか爆発したのは片手で数えられる程度であり、難を逃れたサヴィオン騎士が丘を駆け上ってくる。



「――! 白兵戦に備えろ!!」



 いくら足下が泥濘と化しつつある二〇一高地ではあるが、サヴィオンの馬脚は鈍ることなく丘を上り詰め、駆け抜けていく。

 対して大隊の兵達はそんな騎兵に銃剣を取り付けた銃や長槍(パイク)を突きつけて必至の抵抗を試みるが、素早い身のこなしのサヴィオンに対して槍衾も組めていない訓練未了の兵が損害を与えるのは絶望的に難しかった。

 その上、一騎は魔法使いだったらしく、ナジーブ達第四中隊の塹壕を通過する際に火炎の魔法を放って去っていった。



「な!? ナジーブ!? おい、何人かついてこい!!」



 敵の襲撃が過ぎ去ると共にリンクスは兵を連れて第四中隊の元に向かう。

 雨により火炎はすぐに収まり、消火の手間こそなかったが、直撃を受けたらしいオークの一人は赤く爛れた皮膚に大きな水疱ができあがって激痛にうめいていた。



「おい、大丈夫か!? ナジーブ! ナジーブ!! いるか!? どこだ!」



 吠えるようなリンクスの叫び声が塹壕に響く。

 すると壕の中心地から傷に呻くオークを押しのけながらナジーブが現れた。



「無事か!?」

「オラの中隊は大事ないだ」

「ちげぇ! テメェの事だよ! 怪我してねーか!?」

「オラの心配をしてどうするだ」



 おっとりとした口調でしゃべるナジーブに早口でまくし立てるようにしゃべるリンクスの絶妙な温度差に周囲のオーク達は口元に薄い笑いを浮かべながら負傷者を塹壕の中心地に集めようと動き出す。

 だがリンクスと共についてきてしまったアンリが周囲の惨状を嘆くようにつぶやいた。



「こりゃ……。助かんねーな」

「――!? アンリ!! テメェ! なんて縁起でもないことを言うんだ!!」

「はぁ!? 縁起で助かるって言うのかよ。だってそうだろ!? こんなとろこに医者なんていねーじゃないですかい。くそ。貧乏くじだ。オレァ達はここでみんな死ぬんだ!」

「黙れ! ここで粘らなくてどうするんだ!? ここであいつらの迂回を阻止できなきゃそれこそ友軍がもっと死ぬんだ!! だから――」

「代わりにオレァが死ねってか!? ふざけんじゃねーぞ! 駄犬! オレァ達は捨て駒にされたんだ! チキショウ! だからあいつは女も連れて行きやがったに違いない!」

「口を慎め!! 軍令違反だ!」

「今更それが――」

「二人とも黙るだ!」



 砲声と間違わんばかりの怒鳴り声に二人の罵り合いがかき消える。

 時間が止まったのではと錯覚するほどの沈黙が降り注ぎ、ただただ雨の滴る音と遠くの戦野に響くおぞましい響きが聞こえるのみの世界。

 そこで沈黙を破ったのは、ナジーブだった。



「オラ達はこの丘の死守命令を受けているだ。ならそれを遂行する。それだけでねーべか?」

「は、はぁ!? なに言ってんだ? まさか自分達だけは助かると思ってるのか? んなわけねーだろ。テメェ等豚野郎(オーク)は大尉さんから不興を買ってることを知らねーのか!?」



 『竜巻(トゥルボー)』作戦に先立ち実施された『台風(トューポーン)』作戦においてサヴィオンへの擾乱攻撃として村の焼き討ちを実施したところ、作戦に参加していたオーク族のネイバ軍曹がその命令を拒み、抗命罪に問われたのだ。

 その処置をオーク達は快く思っておらず、不信感を募らせていたのは大隊の面々であれば知っている事実であった。



「あんたらの厄介払いにオレァ達は巻き込まれたんだ!!」

「……大隊長はそんな事はしねーだ」

「嘘だな! アイツはやるぜ。オレァには分かるんだ! だって同じ狂人(エルフ)だからな!! 自分にとって都合の悪い奴をあいつは今までも消してきたはずだ! テメェ等なら心当たりがあるんじゃないのか!? あぁッ!?」



 威嚇するように吠える声にリンクスが声をあげようとして、止まった。

 そう、言われてみれば彼には心当たりがあった。


 アルヌデン領における会戦において散々威張り散らす新任中隊長が戦死し、副官をしていた男がすぐに中隊を掌握した事を。

 サヴィオンの春期攻勢に押し流され、とある小さな村での防衛戦をしていた時、傲慢な中隊長の指揮する長槍(パイク)兵中隊が全滅する様をただ眺めていた彼の中隊長を。


 心に芽生えた疑念は瞬く間に成長し、不安の種を実らせる。

 だがナジーブはただ己の銃に取り付けた銃剣の調子を確認しながらリンクスの不安を無視するように言った。



「それがどうかしただ?」

「ど、どうかしたって……。テメェ、意味分かってるのか!?」

「オラ達は命令を受けた。ならばそれを実行するだけだで」

「……テメェ、本当に考えて言ってるのか? それとも豚並のおつむしかねーから意味が分かってねーのか?」

「オラは大隊長を信じとる。それだけだで、要らぬ心配はせん。それよりもこの丘を守れっか心配してるだ」



 自信満々に口元をゆるめるナジーブに今度はリンクスがいたたまれなくなりながらも「どうして信じられる?」と聞いてしまった。

 それに彼はきょとんとしながらも力強く、言った。



「初めて大隊長と会った時だ。サヴィオンさ、村を奪われたオラ達をあん人はよくよく迎えてくれただ。誰もがオークってだけで嫌な顔するのにあん人はすぐにオラ達を仲間にしてくれただ。な、そうだったろ?」

「そ、それは……」



 リンクスはオークが同じ部隊に配属されると聞いて不快感を示していた。だが戦う内に彼らが勇猛果敢に戦う戦友である事を理解し、今やオークだからと距離をとる兵はいない。



「大隊長はオラ達の事を優しく迎えてくれただ。確かにあん人はアルヌデンの頃からしたら少しばかり変わっちまったが、それでもオラ達の大隊長でねーか。そん人が丘を守れっちゅうーなら守らねばならないだ。オラの戦う理由はそれで良い。違うべか?」

「……そうだな。うん。そうだ。それに逃げるような真似をする方があの人に殺されちまうな」

「違いねーべ」



 ひとしきり二人は笑い会い、そして再度迫る馬脚の音に顔を見合わせる。



「もう一合戦いくぞ! 備えろ!!」

「分かりましただ! おい、みんな! 気張れ!」



 そしてリンクスが己の塹壕に向けて駆けだしていく。その背中を一人のエルフは忌々しげに見ながらもそれに続くのであった。

ついに10話突破してしまったので初投稿です。

ですがおかげでプロットも消化でき(当たり前だ)、あと二話程で今章は終わりです。

感想返信並びに挿絵の戦況図等は後日行いますのでご了承ください。


それではご意見、ご感想をお待ちしております。

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