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戦火のロートス~転生、そして異世界へ~  作者: べりや
外伝 戦火のアイネ――東方大返し
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逡巡

 夢うつつで愛馬に跨っていると余はいつの間にか旧東方王都ワルシスに帰り着いていた。ヴァイス大河の河畔に寄り添うその街は元々小さな漁村であったらしい。

 だがイヴァノビッチ家がそこに居城を構えた事で村は町へ、町は街へと発展していき、サヴィオンに征服されてからは東方辺境総督府が置かれ、東方支配の中心地となっていた。

 そんなワルシス城の私室から眺める庭園は東方の短い夏を謳歌するように花達が必死に花弁を空に向けているところだった。



「はぁ……。余の価値、か」



 サヴィオンから脱出を図ったあの夜、クラウスは確かに『殿下。謀反首になった今の殿下には玉座について愛想を振りまく程度の価値しか無いのです。それをご承知でしょうか?』と問うてきた。

 それに余は何も答えられず、あれから一週間ほど答えを保留していた。



「帝姫で無く、東方王でも無い……」



 帝姫に戻る事はもう出来ぬだろう。必死に緘口令を敷いているが、総督府内に余の謀反騒動を知らぬ者は居ないはずだ。もっともサヴィオンから左遷させられるように東方に配された者ばかりの総督府ではサヴィオンと一戦交えるのもやぶさかでないという空気があり、どう扱えば良いのか困惑するばかりであった。



「されど東方王即位など……」



 出来るわけが無い。いや、許されるはずがない。

 如何に東方が強きに従うを地でいく気風があるとは言え、東方王の僭称をよろしく思わぬ者も居るだろうし、何より余は政が分からない。

 そんな者を王に戴いて良いはずがない。



「――したらば余は何者なのだ……?」



 それさえも自分で決められないなんて――。

 いや、すでに答えは目前にあるではないか。


 罪人か、東方王か。


 己の存在を決められないのではなく、選べないのだ。だが刻々とそれを選ばねばならぬ時は迫っている。どうすれば良い? どちらを選べば――。

 その時、扉が叩かれ侍女の声が「ディートリッヒ様が御面会を望まれておりますが」と来客を告げる。

 何時もはすぐに追い返しているのだが、そのまま答えを保留にし続ける事が出来ぬと分かって居るが故に、最早それを拒めなかった。



「入れ」

「それでは殿下、失礼いたします」



 軋み音無く動いた扉から四十の齢に差し掛かった初老の騎士が片膝を着きながら深々とわざとらしい一礼をする。だがその顔にはいつもの余裕ではなく、若干の焦りがあるような気がした。



「どうした?」

「……オストスカヤ殿が面会を所望されております」

「………………。……はぁ。分かった支度する。謁見の間にて待て」

「御意に」



 それからは流れるように早かった。侍女に着替えを出してもらい、それを己で身に着けて謁見の間に赴く。

 まいった。今、クラウスの次くらいにもっとも会いたくない東方三大貴族がワルシスに乗り込んでくるとは……。


 東方三大貴族――。それは東方王を僭称していたイヴァノビッチ家(王家とは言え、サヴィオンからすれば正式な家格とは見なされていない)に始まり東方貴族とサヴィオン帝国を結ぶデルソフ家、そして東方中部を統べるオストスカヤ家の三家を指す。



「はぁ……」



 重い溜息を一つついてから謁見の間に入るとそこには東方の民が良く身に着ける深紅のベルベットで仕立てられたドレスにテンの毛皮で作られた肩掛けを身に着けた短髪の貴婦人が膝をつく最敬礼の姿勢で余を出迎えてくれた。

 その人こそ東方三大貴族の一人エリーザベト・イヴァン・オストスカヤ公爵である。

やはり夫が居るだけあってどこか成熟した女としての色香が見て取れる、ような気がした。



「面を上げよ」



 広々とした板間――謁見の間には今、余の他にはクラウスとエリーザベトしか居らず、本来なら東方王を名乗るミーシャが座るべき一段高い場所にある玉座は空のまま。

 まぁ良く言えば人払いと言う奴だ。悪く言えば密室外交だが。



「この度は殿下へのお目通りが叶い、恐悦至極に存じます」



 そして眼前の東方三代貴族の一家はその旗色云々を決めるような気迫のこもった挨拶と共に伏していた顔を上げる。

 前に会った時より小皺が増えたような……?



「……え、エリー姉さん。ひ、久しいな」

「久しいな――。じゃない!! なんだいこれッ!」



 不敬、とは思わない。そもそもエリーザベトは誰につけてもこうした態度だし、そうやって当主である夫おも尻にしいている事で有名だ。

 それにズバズバとした物言いにどことない親しみがあり、ミーシャも余も姉貴分のエリーザベトを慕ってその口調を改めるよう言った事はない。(もちろん初めて面会した時は面食らったが)



「デルソフから早馬が来たから飛ぶように来たよ! なんだい、謀反って? デルソフの奴『謀反首を共に討つべし』って檄文をいろんな貴族に送り付けてるよ」

「いや、それはクラウスが勝手にやった事で余の本意では――」

「やるならやるって早く言っておくれよ! それもアルツアルの出兵前に!!」

「いや、だから――、え? エリー姉さんは賛成なのか?」

「当たり前さ。殿下が一旗揚げるってんなら喜んで参陣するよ。だけどね、今のあたしはデルソフと同じ意見だよ。

 もうすぐ北方巨人族がやってくる上に騎士団主力はアルツアルに出征中だなんて。時期が悪いにもほどがあるよ」



 ごもっともである。

 北からは食人を好む巨人族が晩夏に南下してくる。それにサヴィオンから余の討伐軍もやってくる。

 その上、東方辺境騎士団は余の失態でアルツアルのままで残った留守組でこれらをなんとかしなければならないのはまさに余の失態と言えた。



「それになんだい、ワルシス城に着いたら着いたで戦支度をしているし」

「いや、これは謀反云々関係無しに北方巨人族討伐のための支度だ。巨人発見の報せが入ってな。エリー姉さんの所にも早馬を送ったのだが、行き違いになってしまったようだ」

「ふーん。で、巨人は?」

「……頼りが届いたのは昨日の朝だ。東方北東部(リトリス)の関所が確認した。すでに布告を出して騎士を集めている故、明々後日ほどに出陣出来れば会敵は今日より七日乃至十日ほどか」

「まったく時局が悪いね。デルソフの便りじゃワルシスまで一週間弱で着くって来てるよ」



 いくらこの時期に毎年北方から巨人族がやってくるとあって多くの貴族達は戦支度を半ば終わらせているだろうから巨人退治への出立はすぐに出来る。

 だがどう考えても通常なら二週間程度はワルシスを開ける事になるだろう。

 対してその直前にデルソフ家を中心とした討伐軍を相手にするのは骨が折れるというもの。

 まぁ余ならやってやれない事はないだろうが。



「悪いことは言わないさね。さっさとその首を塩漬けにしてサヴィオンに帰りな」



 ぐうの音も出ない。



「まぁまぁ。オストスカヤ殿。落ち着いてくだされ」

「ディートリッヒ殿。貴方も貴方だ! 確かに殿下の東方王即位はサヴィオンと東方を堅固に結びつける良案ではあったと思う。だが現状、堅固な結びつきどころか謀反人を匿っていると見られているんだぞ!!

 サヴィオンでも殿下の東方王即位を望まれていたのではないか?」

「確かに手違いがあった事は認めましょう。しかしサヴィオンとの衝突も覚悟しておくようにと言い含めていたはず。故にオストスカヤ殿もガリアンルートからの兵糧購入に一枚噛んだのではありませんか?」

「これほど急とは聞いておらんし、兵糧は巨人族との戦いにも用いると言っておったではないか! それに今、反乱を起こしてはアルツアルに出征中の夫や子がどうなるか分かったもんじゃない。時局を考えておくれ」



 東方貴族の誰もが身内をアルツアルに送り出している。

 そんな中で謀反を起こせば出征中の者達がどうなるか子供でも分かる事だ。

 まさに時局が悪すぎるとしか言えない。



「しかしこんな時に備えてガリアンルート傭兵を東方に招いているところです。傭兵が到着すればサヴィオンに対抗するほどの数は揃うでしょう。ご心配めされるな」

「いや、今回の一件で懲りたよ。ディートリッヒ殿は甘言を弄するってね。本当に来るのかい? それもデルソフの討伐軍が来るまでに」

「手厳しいご指摘ですが、昔の伝手を使っているので間違いなくガリアンルートより援軍は来ます」

「それが信用ならないって言ってんの! そもそもサヴィオン人は同じ人間族とは言え、あたしら東方人を東方蛮族と呼んでいるのは知っているんだよ。

 そんな所の貴族が宰相を名乗るって聞いた時から嫌な予感がしていたんだ。やっぱり東方を乗っ取ろうって魂胆なんじゃないのかい!?」

「そんな滅相もない。確かに私が宰相位に着く事に反を抱く東方貴族も多いでしょうが、私は殿下の筆頭従者。お側で殿下をお支えするは私の責務。その上、私ならサヴィオンの内情にも精通しておりますので我こそ宰相に相応しいと思い立候補させて頂いたに他ありません」

「それは東方の総意を無視する一方的な支配を確立したい、の間違いではないのかい?」

「ですから私はオストスカヤ殿を摂政にお迎えし、共に殿下をお支えしようと――」

「どの口が言う! 信用ならないね。それに東方王即位はあんたが口にするだけで殿下は一言もおっしゃられていない。やっぱりあんたら西方貴族(サヴィオン)の乗っ取りじゃないのかい!」



 戦火が迫ってきているというのにどうしてこうなってしまっているのか……。

 ふと空席となっている玉座を見やる。そこに仇敵にして親友の姿はない。

 あぁ東方平定の頃は良かった。ただただ戦に興じたあの日々が懐かしくてたまらない。

 そう言えばエリー姉さんとも剣を交えた事があったな。

 純化された命のやり取りに神経の一筋までも投入出来たあの頃は何も考えずにすんでとても楽しく――。


 ……そうか。余は考えるのが、怖かったのか。



「く、フハハ――」



 エフタルにて常勝。アルツアルにて無敗。怯懦などとうの昔に捨て去ったと思っていたのに――。

 そんな余がそのような事に怯え、目をそらしきてしまった。

 そうだ。確かに怖い。いや、怖いと思い続けてきた。

 そうでなければ生きてはいけないのだと思いこんできた。


 あれは幾つの頃だったろう。物心がつく頃だったろうか? ある晩餐会の最中、毒味役が余に与えられた杯を煽って死んだ。そしてその日、余は母上から「難しいだろうけど良く聞きなさい」と出自を明かされた。

 幼少の朧気な記憶の中、確かにその日の事だけは覚えている。

 余には見えぬ敵が居るのだと教わり、それに怯えるように暮らしてきた。

 だからどうやったらその影から逃げられるのか必死に考えてきた。



「戦が楽しいのは目に見える敵しかおらんからな」



 そう、戦ならば敵は目に見えた。その安心感と言ったら無かった。

 故に余はそれを居心地の良さと思ってきたのかもしれない。

 まったく、まったく嘆かわしい。



「……殿下?」

「ちょ!? どうしたんだい!? なんで泣いているんだい!?」



 歯の隙間から声が漏れ、頬にボロボロと涙が降り注ぐ。

 最初から逃げていた余に対し、ミーシャは果敢に死闘を挑んで来てくれた。それに余も応えようとした。

 あれほどあのエルフを――ロートスと殺意をぶつけたというのに、余はそうした者達と渡り合える場所に居なかった事を知ってしまった。



「少し、一人にしてくれ」

「……御意」



 二人が去る事によって謁見の間の温度が少し下がったような気がした。

 そんな静かな空間に嗚咽がこぼれる。

 思わず己が身を抱きしめると信じられ無いくらい震えていた。

 あぁ余はこんなにも弱いんだな。

 そう思うだけでさめざめとした気分になってしまう。


 なんと惨め。なんとなんとなんと――!!

 戦場であれば愛馬と剣一本で何人にも破れはしないと思い上がっていた小娘め。お前の短慮がミーシャから東方を奪い、今を招いたのではないか!?

 そしてそれを理解すればただ震え泣くだけとはなんと愚かしい――!



「同じ姫なら、あいつの方が強いではないか」



 冬の砦で共に籠城した青い髪の姫。

 いや、どうして今になってあの無鉄砲極まりない奴の事を思いだす?

 あんな奴、王の器ではないと言うのにどうして玉座の前で二の足を踏むこの時に思い出す?



「そう言えば……。奴は震えていなかったな」



 いや、怯えていなかった、か。

 あの冬、あいつは確かなんと言った? 帝国に占領されたアルヌデンを見ておきたいと言わなかったか?

 あの時はその突飛な行動に閉口したな。そしてその愚鈍さに苛立ちも覚えていた。

 それを余は嫉妬だと思っていたが、余が早々に逃げ出した王という物に挑むその姿に嫌悪を抱いていただけなのだ。

 奴は余が恐れる恐怖その物を直視し、震えもせずにそこにあった。

 そんな愚直な姿に嫌悪を覚えてしまっただけなのだ。



「愚かだな」



 どちらがとは言わない。どちらもかもしれない。

 さすがにアイツを真似てみようとは思えないし、真似る事が恐怖を打ち消す事ではない事くらい知っている。



「アイツの事を考えると、なんだかバカバカしくなってくる。それに諦めの悪さは辟易するよりも賞賛に値するし、まったく嫌な奴だ」



 あの孤立した砦でも、『洪水(プートプ)』作戦においても、ミーシャが死ぬ事になったあの日においても――。

 そして今、アルツアルの王都においても奴は諦める事無く戦を続けている。

 なんと意地汚い奴か!

 そんな奴の事を考えていると東方王即位に悩む余が滑稽に思えてくる。

 あの青い姫がアルツアル王になれるのかどうかは知らんが、あんな奴でも戦っていると言うのにこんなところでうじうじしているのは、余に似つかわしくない。



「まぁ、その意地汚さくらい見習おうとするか」



 そう言えば、意地汚さで言えばロートスもそうか。何度と奴を敗北させてもあいつは余に立ち向かってきた。

 あの戦狂いのエルフに今の余を見られたら恥ずかしい。

 そして東方王の玉座を見やる。空席となったその玉座を――。



「ミーシャ。すまない。お前から東方王を奪った余が言う事とではないが、それでも弱い余に力を貸してくれ」



 そう言えばいつの間にか頬に涙の跡が残るのみになっていた。


 ◇


 エリー姉さんがやってきたのは昼の少し前だったが、ワルシスに居を構える東方貴族達を参集したのは日が没しようとする直前であった。

 即座に参集の声をかければこの微妙な時局故にほとんどの貴族は即座にそれに応えだだろうが、それをしなかったはの泣き腫れた顔を見られたくなかったからだ。



「皆、良く集まってくれた」



 謁見の間に集まった諸貴族達は総じて三百八十人。この場に居る者はアルツアルへの出征に際しての留守組みであり、多くは本家筋から外れた者が多い。もしくは家中の誰かをアルツアルに送り出した家族だ。

 そうした者達のうち夏の終わりの巨人族討伐のために領地を離れた気の早い連中がここに集まっていた。



「まずは突然の召集に応えた皆の忠義に感謝を述べたい」



 うわずっていない事を天の星々に感謝したい。

 それにしてもいつもは平常な心の臓がバクバクとこれでもかと暴れている。もしかして何かの病かもしれない。

 一つだけ深呼吸を打つ。



「今日は諸氏に重大な発表があり、参集を呼びかけた」



 自分でもゆっくりとした物言いにじれったさを覚える。

 とは言えこの高鳴る鼓動が余から言葉を奪おうとしているのだから仕方ない。

 そしてそれが『不安』である事に今更ながら気が付いた。

 こんな気持ち、いつ以来だ?

 そんな思いを抱えながらふと参集した貴族達の最前列に居るクラウスとエリー姉さんに視線を送る。

朗らかな笑みと不安を隠さない顔。

 その二つと視線をしっかりと受け止め、くるりと背を向け玉座の鎮座する一段高い上段に上る。

 そしてさらに一歩を踏み出して東方王の玉座に腰掛ける。

 ミーシャ、一歩を踏み出す勇気をくれ――!!



「――!? で、ででで殿下!? そ、そこは――!」



 これは東方辺境総督府長にして東方辺境領姫たる余に許された地位。



「皆に宣言する。これより余は――朕は東方王アイネ・イヴァン・デルソフを名乗る」



 突然の召集の上に突然の即位宣言。それに誰もが混乱を覚えるように騒ぎ出す。当たり前だ。

 そして一人、冷ややかに余を見やるクラウスが「ですから根回し不足です」と視線で訴えていた。それも重々承知。



「皆、聞け!」



 徐々にだが、謁見の間に静寂が戻ってくる。

 まぁクラウスの言うとおり政治とは地道な根回しが物を言うものという事くらい知っている。

 だがそれは西方――サヴィオンでのやり方だ。

 力ある者に従う。それが東方の掟。弱き者は淘汰され、戦野から消えてしまう。

 それは群雄割拠を神星ルート帝国崩壊の御代より繰り返して来た戦闘民族――それが東方の民なのだ。ならば余の良く知る方法がもっとも適している。



「今更、言うまでもないが、朕はこの地の征服者である。よって本日より東方王を名乗るものとする。異議ある者は?」



 これで野次が飛んだらと思うと気が気でならない。

 だが想像していた罵声は一切無く、ただ沈黙が広がっていた。

 それはそうか。大方、皆は北方巨人族の討伐か余の謀反騒ぎについて新たな沙汰を下すとでも思っていたに違いない。

 それが大外れなのだから黙りもするか。



「どうなのら? 異議ある者は!?」



 ――噛んだ。緊張のせいで舌が上手く回らんせいで噛んだ。死にたい。

 だが謁見の間に集まった者達から次第にクスクスと笑いが広がって行く事に気がついた。

 それに面白くなさそうにエリー姉さんが「誰か言ってやんな」と言えば、母上ほどの歳の女性が笑いながら一歩前に出てきた。



「殿下、いや、陛下。あたし等はね、陛下が一声、命じてくれりゃそれで良いんだよ」

「そうだ、そうだ。殿下――じゃない、陛下には本領を安堵して下さったご恩がある! ま、噛んだのは締まらないがな」

「そうそう。まぁアルツアルの連中が気がかりではあるが、これも星々の巡り合わせだろ」



 ………………。余の逡巡は一体……。

 そう呆れるほどの安堵がそこにあった。ヤバイ。体から力が抜けて玉座から立てぬ……。



「ま、待っておくれ! このエリーザベト・イヴァン・オストスカヤが異議を挟む!」



 さて、これが余の東方平定の総仕上げだ。

 必ずや余は東方をたいらげてやる。それが最後の東方王への手向けだから。

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