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戦火のロートス~転生、そして異世界へ~  作者: べりや
第五章 アルト攻防戦 【前編】
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作戦失敗

「ぎゃああ」



 醜い悲鳴と共に長槍(パイク)を捨ててショートソードを引き抜こうとしていた敵兵の顔から鮮血が飛び出す。だが頭蓋骨に阻まれて切れたのは表面の皮と肉だけ。致命傷とは言い難い。



「おらッ!」



 痛みにもだえる侵略者の肩をつかみ、引き寄せながらその首に肉厚の小刀を突き刺す。すると肉と筋の切れる感触を感じて思わず笑みが浮かんだ。



「く、フハハ!」



 がくりと崩れ落ちる傭兵に一瞬だけ、目をとめ、それから次の敵を探す。

 あぁ、くそ楽しいな。なんと言うか、性的とは違う、そう何かをやりとげたかのような達成感とも満足感ともいう感覚が俺を満たしてくれる。そのなんと心地よいことか。



「もう狂人の域、だな!」



 今度はがっぷり槍と銃剣を交差させているミューロンの助っ人にはいる。その長槍(パイク)兵は完全にミューロンしかみておらず背中ががら空きだった。だが相手は傭兵とは言え鎖帷子の上に鉄片を縫いつけた服を身につけているから容易に斬撃では殺せないだろう。

 だから先ほど殺したばかりの騎士の腰に吊られていたショートソードを引き抜き、何も考えずにミューロンの相手に向かって振り下ろす。剣技とかよくしらない田舎エルフの一撃は斬りつけるというより叩きつけるだったが――。

 その一撃で脳が揺さぶられた敵兵の体勢がぐらりとゆれる。その瞬間、ミューロンが一気に間合いをつめ、銃床で相手を殴りつけた。

 あとはたこ殴りである。

 ミューロンと一緒に倒れた兵を殴ったり蹴ったりと思いつく限りの箇所をボコボコにしてやった。



「はぁ、はぁ。疲れちゃった」

「そう言うなよ、臨時少尉殿」



 そう言う俺も体が鉛のように重かった。ぶっちゃけ朝から戦闘しっぱなしだし、一人一人全力で殺しにかかっているから体力の消耗が半端ない。それにエルフという種族はどうも持久力が足りない向きがある、気がする。

 それは我らが戦闘狂も同じらしく、さすがに肩でぜぇぜぇと苦しげにだが満足そうに荒い息を吐いていた。

 なんか、前世で言うところの部活に熱を入れるスポーツ少女のような、そんなイメージが一瞬脳裏を駆けるが、それは無粋な風切り音によってかき消された。



「またあの攻撃か」



 天を見上げれば遙か虚空に黒点が見えた。それは心なしか俺の居る地点に吸い込まれるように大きくなりつつあるような――。



「総員! 逃げろ(たいひ)! 逃げろ(たいひ)!」



 一歩間違えれば敵前逃亡と見なされる行為だが、それを俺自身が止めることができなかった。

 てか、それどころではない。乱戦を繰り広げていた味方も敵も頭上を見上げて一気に逃げに転じ始めた。

 そんな中、軍をとりまとめていた騎乗の人を見つけ、思わず「少佐! 撤退命令を!」と叫べば彼は素早くそれに頷く。



「転進! 転進! 急げ!」



 だがそれより早く氷が地面に激突した。どこに? 先ほどまで敵の居たところから後方十メートルほどの地点だ。

 着弾と共に氷は砕けながら大地を穿ち、その双方の破片が周囲にまき散らされる。その破片が敵と味方を区別するはずがなく、平等に、そして無慈悲に死がまき散らされた。



「ぐぅ……ミューロン?」



 気がつくと地面に俺は倒れ伏していた。どうも十数秒ほど意識が飛んだらしい。

 そう現状を思いながら重い体を起こそうとして――。起こせなかった。身をよじってみると下半身に誰かが乗っている。



「少佐……」



 その目には貴族たる矜持が未だ輝いていたが、プレートメイルを食い破った氷片によって胸元が抉られていた。少佐が騎乗していた馬もまた小さな嘶きをこぼしながら断末魔を叫んだ。



「ミューロン?」



 ふと、視界が赤くぼやけた。手で額を拭うとべっとりと血がつき、やっと自分が負傷していることに気づく。てか、脳内麻薬のせいか痛みがないんですが。



「ミューロン! ――う」



 大きな声をあげると自分の声だと言うのに目眩をおぼえるほどのうるささになってしまった。

 だがくらくらする視野の中、夏軍衣の袖で額を拭って周囲を見渡す。さきほどまでジメジメした暑さが周囲に漂っていたというのに今は夕立の後のような清い涼しさがあった。

 だがその中には確かに咽せるような血の香りがはびこり、鼻を麻痺させるようだ。

 そんな中、やっと他の人々も蠢きだしてきた。



「う、ぅん……。ろーとす」

「ミューロン!?」



 またヌルリとした血が額から流れてくる。そのせいで満足に目を開けない中、声の主を探せば倒れていた人影の中からむくりと彼女が起きあがった。



「ミューロン! 無事か!?」

「ちょっと……。イテテ……」



 苦しげに彼女は左肩を押さえて呻く。もう一度乱暴に額を拭って視界を確保するとミューロンの肩に深さ一センチほどの傷ができていた。



「すぐ止血する」



 小刀で近くで死んでいた長槍(パイク)兵の服を切り裂き、即席の包帯を作ると彼女の肩を強くしばるように覆う。

 もっともすでに血でべっとりと汚れた衣服のせいで感染症とか怖いが、贅沢は言えない。それにエルフは破傷風に対して抗体があるのか、それに成りにくいと言うし、それが他の感染症にも効果があると思いたい。



「ロートスこそ怪我してるじゃない!」

「あぁ? これくらいへーきへーき」



 まぁ痛みもあんまり感じないし、それに頭の傷は出血が多く見えるという話を聞いたことがある。

 だから大丈夫と彼女を安心させようと笑うが、彼女は先ほどまでの戦闘狂とは思えぬ困った顔し、そして唇を俺の額にあてがった。

 戦塵の舞う中、彼女は優しく俺の頭を抱きしめながら傷を嘗めてくれる。その暖かく湿った舌先が額をくすぐり、痛みは感じないと言うのにその暖かみが無性に肌を突き刺した。

 そのなんとも言えない衝動を表すように彼女を抱きしめるとその華奢な体が震えた。そのなんと初々しいこと。だが彼女は湿った音と共に唇を離すと「あ、あんまり近寄らないで」と頬を赤らめた。

 その理由こそ彼女の体臭だろう。もう風呂も行水も幾日もしていないし、している暇もなかった。だが彼女の酸っぱい匂いもまた、俺の心を優しく抱いていてくれていた。



「もう……。中隊長殿。はやく立って」

「もう少しだけ」

「だ、だめだって!」



 まったく、うちの副官殿は厳しいな。名残惜しみながらミューロンから離れ、彼女を抱きしめるために落としていた小刀を拾い上げる。



「さて……」



 周囲を見渡すとあるのは死体から死体となろうとする兵士達。近くにロートス支隊の者は見えなかったが、代わりにポカンとこちらを見ている一人の女性が居た。

 流れるような黒髪に龍の瞳を持ったその人――リュウニョ殿下は一体おまえ等なにしてんの? と問いたげだ。



「あの、リュウニョ様?」

「……エルフとは戦場で盛る種族なのか」

「いや、そんなこと――。ってミューロン! なんで頬を赤くしながらしなをつくってるんだ! 誤解されるだろ!」

「さすが戦う種族(ハイエルフ)

「いや、違いますって!」

「――と、それより主殿、怪我は? 額か」



 するとリュウニョ殿下の手が無造作に伸びてきて頭をがっちりとホールドする。あ、あの……。



「なに、心配するな」



 そう言うや殿下は「なるほど、浅いな」と頷くと俺がミューロンにしたように近くの兵の遺体から布を調達し、キツく縛ってくれた。



「ありがとうございます。いや、申し訳ないというか」

「これくらい当たり前さ。道ばたで困っている人がいれば手をだすのが性分でね」



 なんと優しい姫様だろうか。だがその優しさを噛みしめる間も無く遠くから軍靴の音が聞こえてきた。友軍? いや、違う。



「もう立て直したのか」



 てか、さらに違った。今迫ってくるのが敵であるのは間違いないが、それは先ほどの長槍(パイク)兵共では無かった。揃いの兜を被り、同じ意匠の鉄片の縫いつけられた服を着込んだそれはまさに正規兵と言える者達だった。



「やば! ロートス支隊集結! 集結!」



 すでに組織的な抵抗がなせる体ではない。逃げなくては。

 そう思いつつも周囲から集まってくる兵の歩みは遅く、誰も彼もが負傷していた。



「これだけか……?」



 集まってきたのは五人ほどしかいない。残りの半数は?

 探そうと思ったが、敵が迫ってきている。

 それに気づいた周囲の兵達も怪我をおいながらも各々勝手に後退を始めていった。



「俺達も後退する。我に続け!」



 もはや遅滞がどうのとか、撤退支援が云々という話しではない。まさに壊走だ。

 士気も崩壊し、それを立て直そうとする士官も存在しない。

 『夏の目覚め』作戦は、失敗した。

 失敗と言うことは今まで犠牲を払ってきたにも関わらず作戦目標を達成できなかったと言うことで、無駄に兵力を消耗しただけの戦になってしまった。

 その時、悪魔の雄叫びのような風切り音が響いてきた。またか――!



「伏せろッ!」



 一緒に逃げる兵達に踏みつぶされるのではという危機を覚えるが、先にミューロンに覆い被さるように倒れ込み――。

 ズドーンという衝撃が走る。しばらくそうしているとパラパラとした破片が降り注ぎ、顔をあげると今度は隣の通りから濛々と煙があがっていた。


 ――ひょっとして正確な着弾のコントロールが出来ていないのか?


 それほど精度に問題のある魔法なのか、それとも風の影響なんかを受けるほどの距離から放っているのか? そう思った瞬間、立て続けに衝撃が周囲に走った。思わず頭を下げてここに氷が降ってこない事を風と木の神様に祈るが、どうも先の攻撃より明らかに衝撃が小さい。全部が全部先の威力じゃないといのか。


 ――もしかしてサヴィオンは二種類の魔法を使っている?


 てか、俺はなに状況を冷静に分析してるんだ。 もしかして冷静に思考する事で目の前の死を考えない様にしているのだろうか。それじゃ冷静ついでにひとまず先ほどの続きとして彼女の(うなじ)に顔を埋め、肩の傷が痛まないよう抱きしめる。


 あぁくそ。なんとまぁ単純な男だ。周囲には俺達を殺そうとする氷が飛び交っているというのに、どうして俺の心はこんなに穏やかなんだろう。戦争の最中だというのに、なんで――。

 だがそんな憩いの時間は長続きしないと相場が決まっている。それは異世界でも通じる道理らしく、敵の喊声が迫ってきていた。そう言えば魔法攻撃が止んでいる。



「立ち上がれ! 撤退! 撤退!!」



 十分とは言えないが、まぁミューロンの柔らかさは堪能できた。

 身を起こし、周囲の兵を起こして敵から逃げる。もう転進とか撤退だとかではなく、ただ命を長らえさせるためにただ逃げる。

 そして先ほどまで進軍してきた仮称一〇通りを通り過ぎ、破壊された第二城壁の城門を潜るも追撃の手は止まらなかった。すでに防衛線も崩壊しているのか。

 新たな絶望を覚えつつ重くなりつつある足を右、左と動かす。もう少しでも身を軽くするために銃も小刀を捨ててしまいたい。


 明らかに自身の戦意が減衰している。さっきまで漲るほどの好戦意欲があったと言うのに……。

 脳内麻薬が切れた気だるさと共に頭の傷もズキズキと熱を持ち始めてきたし――。

 どうなるんだろう。第二城壁まで敵に浸透されるだろうし、このまま王城のあるトロヌス島まで後退を余儀なくされるのだろうか。その上で再度敵を王都から追い出す戦力が俺達にはあるのだろうか?

 想像するもの全てが暗くなってくる。


 だが歩みは止められない。皆、今立ち止まれば死が待っている事を知っているから。

 無理矢理足を動かしているせいで肺は破裂しそうだ。それを紛らわせるように背後を見ると小走りながらもまだ敵の集団がやってきていた。しつこい連中だ。

 あいつらに「しつこい!」と言えたらどれだけ良いか。しかし口からもれるのは悪態ではなく苦しげな喘ぎ声のみ。もう声すら出ない。

 そうしていよいよ上流平民街を抜け、トロヌス島に続く北区唯一の橋であるシャルル三世大橋まで来てしまった。



「あれは……。友軍?」



 隣を走るリュウニョ殿下が息を切らせながら言った。そこには「早く、早く」と手を振る兵達が居た。

 その多くは私服に赤、青、黄色のアルツアル王国の三色旗を模した腕章をつけた義勇兵達だが、中には俺達と同じ黒の軍袴に白の軍衣を着込んだ兵達――エフタル義勇旅団第二連隊エンフィールド大隊の面々も交じっていた。

 それに埋み火となっていた勇気が燃え上がり出すのを感じる。



「走れ! 橋まで走れ! 急げ急げ急げ!!」



 橋の中程に展開したその部隊に飛び込むように敗残兵達が駆け寄り、安堵と共に足をもつれさせて転んでいく。だが指揮官たる俺はそうはいかない。

 倒れてしまいたい誘惑を押しのけ、ぜぇぜぇと息を整えていると「大丈夫かね」と声をかけられた。

 その主は曇天の下でも輝かしい雰囲気をまとうジョン・ホルスタッフ・エンフィールド様だった。



「いつもはロートス大尉に助けられてばかりだからな。今日は私がその番を変わろう。

 砲兵第三中隊、砲撃用意。目標、前方の敵兵。弾種散弾!」



 エンフィールド様の命令一下、橋の中央にこれ見よがしに据えられた大砲にドワーフ――砲兵達が取り付く。

 その中、幼女然としたドワーフが俺のすぐ傍に立った。



「目標補足なのじゃ! 距離およそ百メートル! 方位そのまま!」



 そして彼女は太陽のように眩しい笑顔を向け、「もう大丈夫なのじゃ」と力強く言ってくれた。まったく、この小さな身のどこにこれほどの力が宿っているのか……。



「頼んだぞ、ハミッシュ」

「おう、なのじゃ!」



 そうしている間に砲の仰角が修正され、ゴロゴロと一軸の車輪を動かして大砲が射撃位置に付く。それに砲兵中隊を率いる学者然とした細男がエンフィールド様の陰から出てきた。



「再度、距離知らせ」

「敵との距離、およそ八十メートルなのじゃ!」



 ハミッシュからの報告を受けたウェリントン大尉は砲長に「砲長。目標、敵歩兵集団。距離八十」と細かい修正値を伝達する。



「目標! 敵歩兵集団! 距離八十! 照準調整よし! 本砲は敵を指向せり!」



 砲長のドワーフの銅鑼のような声が響く。次いで学者然とした双眸を崩さず彼は「清掃員、砲身内に異物はないか?」と問う。



「異物確認! 異常なし!」

「装填員及び清掃員待避」

「装填員待避よーし!」

「清掃員退避よーし!」



「点火用意」

「点火用意!」



 砲長が復唱すると射手が砲の後端に取り付けられた銃の撃鉄のような部品に何かが描かれた紙をセットする。



「点火用意よし!」

「砲長より中隊長殿! 点火用意よし。本砲の攻撃準備全てよろし。いつでも評定射可能!」

「よろしい!」



 そうして第三砲兵中隊の長は鷹揚に頷き「撃て」と短く命令を発する。それが小隊長を兼ねる砲長が復唱し、さらに射手が「テェー!」と叫ぶや砲尾に取り付けられた紐を引く。すると薬室の上部に取り付けられていた銃の撃鉄のようなパーツが落ち、そこで小さな火花が生まれた。


 そして耳を貫く砲声が辺りを征圧する。


 銃とは比べものにならないエネルギーを付与された弾丸が砲口から飛び出す。だがそれは以前の鉄球ではなく麻袋に納められた銃用の弾丸だった。袋は橋に殺到し始めた敵兵の眼前に着弾すると共に破れ、中に詰められた弾丸が弾け飛ぶ。

 その弾丸には装薬から生まれたすさまじい運動エネルギーがまだ生きており、敗残兵を追っていたサヴィオン兵に喰らいついた。

 悲鳴と悲鳴。先ほどまで圧倒的優位を誇っていたサヴィオン兵は眼前で起きた惨事がどのようなものかさえ理解できずに苦しみ出す。



「よくやったウェン。第二射を急いでくれ」

「やれやれ。ジョンは人使いが荒いな。第二射用意」



 第三中隊中隊長ウェリントン・エンフィールド大尉は眼鏡の奥の目を細めながら新たな命令を下す。それに「第二射よーい! 砲身の清掃急げ!」の命令が加わる。



「あ、あの、これは?」

「あぁロートス大尉は始めてみたか。ウェン。説明してやってくれ」

「はいはい。これは君達が考えた大砲を改良したものだよ」



 口で言うのは簡単。

 で、どこが改良されたかと言えば点火装置のみの改良らしい。



「第三王姫殿下がサヴィオンの魔法陣を鹵獲してきたろう? 王都に来るまでに間に実験したところ、あの魔法陣に高純度のミスリルを叩きつけるとその衝撃でマナが燃える事が分かったのさ。どうも高度な魔法陣が魔法式(ことば)の代わりを果たしているようで初級魔法――と言うにはおこがましい規模だけど――を発動できるみたいだ。

 おそらくこれは魔法式(ことば)を組み立てると言う行為を文字に表す事で詠唱の代参となりうると言うことであり、より複雑な魔法陣であればより強力な魔法を無詠唱で発動させることすら――」



 ……一体なにを言っているのかさっぱりだった。

 だがウェリントン大尉が楽しそうで何よりだ。



「中隊長殿! よろしくありますか? 砲撃準備完了です」

「――つまり言葉がら文字が生まれたように魔法もいつかは――。なに?」

「ですから、砲撃準備完了です」

「よろしい砲長。攻撃したまえ」



 「この人はまったく」と悪態をつきながら砲長が腕を振り上げ、一気におろす。



「撃て!」

「テェー!」



 鼓膜が破れるのではと思うほどの叫び声をあげ、再び麻袋が発射される。それは未だ右往左往していた敵兵にあたり、再び鉛弾による死体を作り出していく。



「ウェリントン大尉。あの砲弾は?」

「あぁあれかい? ただ麻袋に燧発銃(ゲベール)の弾丸を入れただけのものさ。最初は一度により多くの弾を敵にばらまくために直接弾丸を砲口に入れていたんだけど、それじゃ射程がすごく短くなってね。

 だから一度、袋か何かに入れて打ち出そうという事になって試してみたらどうもこれが正解らしい」



 散弾による制圧射撃はまさに正解と言えた。

 それに周囲から歓声があがる。



「よし、臨編守備隊全軍、突撃せよ!」



 すると「よし! 奴らをぶっ殺せ!」と下卑た声が響いた。その声の主は俺と同じ髪の色をした死刑囚アンリ曹長だった。



「クスクス! 好きなだけ殺して良いとは星神様も粋な計らいをしてくださる! おぉ主よ! 感謝します! さぁオステン大隊の囚人たちよ! 思う存分殺そう! オステン大隊前へ!」



 そうして殺しを快楽と感じる凶人部隊と共に兵達が動き出した。


ミューロンとのhshsシーンを書くのが楽しい今日この頃です。サツバツとしたシーンばかり楽しいより健全だと思うんですが、読み返してみるとただの性癖暴露になっているという。

そう、私の性癖がインターネットを通じて全世界に発信されてると思うとそこはかとない興奮を感じ――。あなた疲れてるのよモルダー。

あ(唐突)もうすぐ今章は終わり、閉廷です。見通しとしては順調に執筆出来れば八月上旬には終れるはずです(希望)


それではご意見、ご感想をお待ちしております。

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