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ニールの話

「それで、あなたのご友人の目的は? 」


「さぁ? 」


 モミジの質問に、ナイアはジェスチャーと嘲笑のおまけつきで返して見せる。

 その仕草を見てモミジはナイアの背後に陣取っていたソシエに目配せをして一撃入れさせようとするも、ナイアはソシエの攻撃をかわして鼻歌交じりにひょこひょことモミジの腹部から体内に潜り込んだ。


「いや、本当に知らないんですよ。

彼は私よりも謎の多い存在なんで」


 ナイアはそこから急に真面目な表情に切り替える。

 しかしモミジの腹部から顔面だけをはやしているためシュールな光景となっている。

 またモミジは気付いていないが、モミジの後頭部からはナイアの脚が飛び出しておりシンクロのような動きを見せている。

 それに気づいている周囲の者は、モミジにばれた場合は最悪【無の衝撃】で消し炭にされかねない為必死に笑いをこらえているが、一部隠せていない者もいる。


「なんといえばいいのでしょうか。

マスターの魔法も我々にとっては驚異的ですが、ニールの魔法は次元が違います。

あれは致命的です。

魔法の耐性の有無にかかわらず、等しく致命傷を与えられる一撃です」


 ナイアの言葉には熱がこもっており、自慢の友人事をモミジたちに語りたいという気構えを感じる。

 しかし、その本心はモミジで遊びたいというものだろう。

 今度はモミジの頭部から狐の耳のようなものが生えてきた。

 おそらくナイア自身の肉体を変質させて狐耳を再現し、モミジの頭部からそこだけ表に出したのだろう。

 更に脚は依然としてちょこちょこと動いている。


「あぁ、そういえば。

ニールは城に引きこもっていたのは事実ですが恋人の看病というわけではないようですよ。

どうやら恋人は亡くなっていたようですが、それをどうにか生き返らせる実験をしていたみたいです」


 ナイアの言葉に、その場にいた全員の表情が凍りつく。

 それと同時に先ほどまで頭部から生えていた狐耳と足が姿をけし、不意にモミジ自身の耳から脚が飛び出したことで笑いに堪えていた者たちの限界を超えた。

 

「……よしいい度胸だ白黒。

契約とか知るかまとめて消し飛ばしてやる」


 モミジの怒りを含んだ声を聴いた瞬間、その場にいた者たちは脱兎のごとく逃げ出した。

 一部のプレイヤーはその余波に巻き込まれることとなったが、幸い国の兵士や王であるアンドレイに被害はなかった。


 なお元凶であるナイアは後日ソシエによって三日三晩の正座が命じられた。

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