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作戦会議1

 町に戻ってからダイゴ・レナ・ソケットの三人は作戦会議を開くことにした。

 まず罠をどうするか、モンスターはどうするか、マッピングをだれが行うかなどについてだ。

 彼らはドミナスオンライン自体は初心者だが、ゲーム自体は日ごろから行っていたためRPGのダンジョン攻略に必要な知識はそれなりに持っている。

 問題はゲームが現実となってしまい、既存の知識だけに頼っていると思わぬ落とし穴にはまってしまう事と、初心者であるためレベルも装備も所持金も心もとないという事にある。

 また先ほどの撤退の際に必要だったとはいえモミジ特製の【気化麻痺薬】を使用してしまったことも痛手になっている。


「罠は毒矢と落とし穴、それからあのアラームよね」


「それだけじゃないわ、宝箱にモンスターが入ってたやつ。

あれも罠だと思う」


「どうしたもんかねぇ……レベルが高ければ強行突破もできると思うんだけれど。

……あ」


 ふと、ダイゴが何かを思いついたかのように声を上げる。

 それに反応したレナとソケットがダイゴに視線を投げかける。


「ソケット、ハンターってわなを仕掛けることができたよね」


「できるけれど私は前衛型のハンターだから苦手よ? 」


「それでもさ、見つけるくらいはどうにかできない?

自分だったらここに仕掛けるとかでもいいから」


 ダイゴの言葉にソケットが悩む。

 ソケット自身私ならここに仕掛ける、という場所に罠があったことは少なくなかった。

 しかし、それはせいぜい7割といったところで残りの3割は予期していない罠だった。


「5割か6割、その程度氏か見抜けないけどそれでもいいなら」


「ぜひ頼むよ、いざという時は俺が盾になるから」


「それに私もついているからね」


 ダイゴの言葉にレナが付け加える。

 その様子は息の合った相棒というような風情だった。


「後はモンスターだけど……

推奨レベル20以上ってことはモンスターは10~15くらいのレベルだよね」


 ゲームにおいて推奨レベルとはこれ以上のレベルで挑めば攻略は容易いとされるレベルを示している。

 そのため出現モンスターのレベルよりも高く設定されることが多く、通常であれば5~10程度の差ができる。

 このレベル差を持っている場合安全マージンは取れているという場合もあるが、現在のダイゴ達のレベルはレナが17、ソケットが16、ダイゴが14となっている。

 ここでダイゴのレベルが最も低い理由は、彼が盾役を買っているためモンスターを倒す機会がほかの二人より少ない事に起因している。

 そして、これが攻略の失敗のもとともなっている。


 【ソラヌシ遺跡】は文字通り遺跡であり、入り組んだ道や狭い道、また見通しの良い広間など様々な地形が用意されている。

 そのため狭い道ではダイゴの装備している【ラージシールド】は全身を隠せてしまうほど大きさだが、レナたちにとっても壁となってしまう。

 また広間ではダイゴが盾役を務めてもそれを迂回してレナたちを狙うモンスターが現れてくる。

 そうなると後は乱戦になり、ソケットの得意とする遠距離戦は封じられ、火力が足りていないダイゴはじり貧になり、レナは自分の身を守ることしかできなくなる。

 結果的に今までの陣形は封じられてしまう。


「ちょっと提案、私が先頭で罠を探しながら進んで敵を見つけたら弓で先制攻撃。

それで後は私は下がってレナがモンスターと戦闘、私はいつも通り援護。

レナならスリムだから誤射する可能性は、ダイゴよりは低いと思うし。

それでダイゴは後方からの敵を引き付ける役ってのはどうかな」


 ソケットの案を聞いてレナとダイゴは少し考え込む。

 彼女は戦士職の自分たち二人と違って、体力も防御力も低い。

 そのかわり手数と攻撃範囲に関しては自分たちではかなわないこともわかっている。

 だからソケットの作戦は、ある危険をはらんでいる。


 ソケットが罠を探しながら進んでも、どうしても見落としが出てくる。

 それは罠であろうとモンスターであろうと危険だという事にかわりはない。

 しかしそれがダイゴであれば持ち前の防御力を生かして戦闘に持ち込むことも、罠によるダメージを耐えることもできた。

 しかし、ソケットであったならば。

 先ほどの探索の際はダイゴだからこそ耐えられた罠、というのは多くあった。

 モンスターの攻撃にしてもそうだ。

 ダイゴでなければ戦闘不能になっていたであろうダメージを一撃でたたき出すモンスターは存在する。

 それを考えると一概に承諾はできなかった。

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