ダンジョンで実験
「プロミネンス! 」
【鬼の館】というダンジョンでモミジが魔法を放つ。
それはスキルはなく、こちらの世界の魔法技術である。
しかしその威力は相変わらずの物であり、立ちふさがるモンスター達を消し炭に変えていく。
「威力は上々、リロードもスキルと変わらない、っと。
でもMPとは違う何かがなくなってる感じ……もしかしたら魔力ってのが有るのかな」
モミジは魔法を発動する際にメニュー画面のステータスを見ていた。
普段と同じ、スキルであればステータス画面のMPが消費されるはずだが魔法を使った際はMPに変動はなかった。
代わりに精神的な何かがすり減るような気分になっていた。
「まだ余裕はありそうだけど……ボスに挑むのはやめておこうかな」
この【鬼の館】というダンジョンは平均レベル400という高レベルダンジョンだ。
モミジの場合は火力で相手が近づく前に殲滅しているため無傷だが、モンスターの攻撃を一度でも食らえば即死しかねない。
そのためにロリクスを護衛として連れてきているのだが、さすがに実験でボスに挑むというのは問題がある。
そもそも、これはモミジの考えだが自分たちがモンスターに殺されて無事復活するという保証はない。
先日瞬殺したPK達は後日別の街でばったり出くわしたが、彼らは舌打ちをして忌々しげにモミジを睨むだけだった。
しかしそれが本当に同一人物だったのかモミジには区別がついていない。
もしかしたら見た目は同じだが中身はNPCと入れ替わっている、なんて可能性も捨てきれない。
それを考えると死んでみる気にはならなかった。
「【無の衝撃波】無の衝撃波」
モミジはふと考えてから、ボスが待機している部屋の前でスキルと魔法を発動する。
以前国王を脅した際に使った【無の衝撃波】を魔法とスキルの併用で発動する。
その威力は衰えず、ボスの待機している部屋の扉を壊しながらダンジョンボスを消滅させた。
「おぉうまくいった」
モミジが思いついたのは、魔法で地形を変えることができるならダンジョンの壁や扉も壊せるのではないかという事だ。
その予想は正しかったらしく、ボスを扉もろとも消滅させるに至った。
それを後ろから眺めていたロリクスとしては、とても複雑な心境だったがため息をつくだけで文句を言う事はなかった。
今回は短いですが、次回は新人を動かす予定です。