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過激なモミジ

 【エクストラホーリー】のエフェクトが消えて、一人の兵士がモミジのもとに駆け寄ってきた。

 一応、ではあるがモミジもロリクスも武器を手に持ち応戦できるようにしている。

 しかし駆け寄ってきた兵士の表情が笑顔であることから敵意がないことは見て取れる。


「女神様! 戦神様! 」


 笑顔で駆け寄ってきた兵士の第一声に、モミジは周囲を見渡す。

 対してロリクスは苦笑いを浮かべて鎧の腰に結びつけた皮袋から金属の箱をとりだし、そこから紙巻のタバコを取り出して火をつける。


「こら、私にも頂戴よ」


 ロリクスのタバコを見て、モミジは両手を差し出してタバコをねだる。

 しかし、30センチほど背丈が違うためお菓子をねだる幼女にしか見えないうえに、ロリクスもモミジの頭を撫でてタバコを皮袋に戻してしまった。


「女神様! 我々をお救いいただきありがとうございました。

戦神様、我々の蛮行をお許しください! 」


 モミジたちの茶番を無視して、兵士は言葉を続ける。

 しかし、女神という言葉にも行く相模という言葉にも心当たりのないモミジは相も変わらず周囲を見渡している。

 そうしているうちに、対象となる人間が自分とロリクスしかいないことに気付き頭を押さえる。


「女神って……」


 モミジは自分を称する言葉としてこれほど不釣り合いなものはないと思いながらロリクスの皮袋を漁ろうと手を伸ばす。

 しかしそれはロリクスにはたかれてしまい、手をさすりながら断念した。


「それで、ロリクスはこの惨状を作り上げたことに対して何か言う事はないの」


「俺? うーん……特にないかな。

それこそ反省も後悔もしていないから」


「なんてこと」


「そもそも俺正当防衛だぜ。

この国が大進撃のイベントが起こってたから受注して助けてやったら城に呼び出されて、この国の兵士になるか反逆者としてとらえられるか選べなんて言われたんで大暴れしたんだよ」


 大進撃、というのはゲーム時代から定期的に発生していたイベントであり大量のモンスターが町や村、国を攻撃するという物である。

 このイベントでは周囲に生息するモンスター以外にも大進撃に参加するため、低レベルのプレイヤーが参加して蹂躙されることが多い。


「無礼には無礼でってな」


「無礼というならとどめくらいさしなさいよ」


 モミジの言葉に兵士がびくりと反応して数歩後ずさる。

 

「……さすがに殺せはないだろう。

おびえちゃってるぞ」


「私なら命を狙われた時点で皆殺しよ」


 モミジのこの言葉は比喩表現や誇張ではない。

 モミジを育てた祖父母は、優しい人ではありモミジの身の安全を第一に考えて教育していた。

 その教育の中には、危害を加えようとしたものには容赦することはないという物があり、事実学生の頃モミジに乱暴を加えようとした変質者を二度と歩くことのできない体にしたことがある。

 なおこちらの世界に来てからダイゴからセクハラギリギリの悪戯を受けているが、悪意のない、友好の延長の悪戯なので椅子で殴られる程度で済んでいる。


「……おれ、モミジに危害加えることはないとここに誓うわ」


 ロリクスの言葉に兵士は首が取れてしまうのではないかという勢いで頷いて同意する。

 今現在、冗談抜きで国を滅ぼせる存在であるモミジを敵に回したら、そう考えたロリクスと兵士は国王とモミジを合わせたくないと考えていた。

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