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トラブル発生

「実戦訓練を行います。

今日はここ、【ソラヌシ遺跡】の最深部にいるボスを倒してきてね。

推奨レベル20だけれどむちゃくちゃ長いうえに入り組んでいたり仕掛けが有ったりするから20日くらいかかるはずだよ」


 モミジは笑顔で初心者三人を死地に送り出す。

 しかし、当の三人はモミジの無茶には慣れてしまったのか、何も言わずに準備を始めている。

 

「それから私もしばらく留守にするから緊急の案件の場合はコールしてね。

メッセージだとしばらく見ないと思うから」


 モミジの言葉に三人は一瞬戸惑ったが、それもすぐに取り直して荷物を少し増やしていた。

 モミジがいない以上必要以上に準備をしていても損はないだろうと考えての事だ。

 それは、正しい選択でもあるが場合によっては下策である、とモミジは言おうとしたがあえて黙っている。


「モミジ、コールって何」


 レナが準備の手を止めてモミジに尋ねる。


「コールは電話、メッセージはメール」


「わかった」


 モミジの説明は的を得ていた。

 メッセージ機能は相手に文章を送りつける物で、相手がログインしていないときにも届くため重宝されている。

 対してコールは電話のように会話が可能な機能だが、こちらは相手がログインしていないと使えないという制限がある。

 これらの機能はこちらの世界でも作用しており、モミジたちプレイヤーはこれらの機能を使用して定期的に連絡を取り合っていた。


 今回モミジが出かける理由もロリクスからのコールが原因である。

 その内容は単純明快だった。


『助けてくれ、モガミ国にて』


 そのコールを受けたのが昨晩の事。

 モミジは詳しい内容を求めたが、時間がないが魔法使いの力が必要だと言われてコールは切れてしまった。

 幸いにしてモガミ国はゲーム時代から存在したためモミジの【ディメンション】で転移が可能なため、必要最低限の事を伝えたらすぐにでも向かう予定だった。


「それじゃ、クリアーの証拠として最深部にいるボスのドロップアイテムを持ち帰ること。

ちなみにボスはダンジョンの中で、こっちの時間だと2日半くらいでリスポンするはずだよ。

あとはダンジョンから一回出るかだね」


 ボスモンスターは通常モンスターと比べて強力な分、落とすアイテムもK張力なものが多い。

 その反面復活するためには多くの時間を要する。

 それはオンラインゲームにおいては大きな問題だった。

 例えばモミジ率いるパーティが遺跡のボスを撃破したとしよう。

 その直後にダイゴのパーティが遺跡のボスに挑んでも復活するまでは戦う事ができない。

 これは下手をすれば一部のプレイヤーのみがボスを倒してドロップアイテムを独占する、という事になりかねない。

 それを防ぐためにダンジョンに入るたびにボスは復活するという仕様が設けられた。


「弱点とかは自分で探してね。

それから脱出用のアイテムと転移用アイテムはいつでも使えるようにしておいてね」


 モミジは、自分がいない間にダイゴ達が悪質なプレイヤーに狙われた場合の事を考えて高額なうえに使い捨てのアイテムを渡していた。

 それはダンジョンから瞬時に脱出する【エスケープダイヤ】というアイテムと、最寄りの街へ転移する【ディメンションダイヤ】と呼ばれるアイテムだった。

 それらは名前の通り、原材料にダイヤモンドを使用しているうえにエンチャントと魔法職業が必要なため生産数が極端に少なくゲーム内では高額で取引されていた。

 なお初心者のダイゴ達はそのことを知らないが、後日そのことを聞かされて大いに焦ったというのは余談だろう。


「それじゃあ、無事終わったら詳しく聞かせてね【ディメンション】」


 モミジはそういって、荷造りを続けているダイゴ達を放置して転移してしまった。

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