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情報把握

 ダイゴの風邪が治るまで更に一週間、モミジたちはエリカラスの街で特訓と情報収取に明け暮れた。

 その中で判明したことは、【奴隷システムは健在】【養子システムは健在】【テイマーの召喚獣はゲーム時代のまま引き継いでいる】【レベルの上限に変化はなし】【ゲーム時代に存在しなかったアイテムが多数存在する】【現地人には魔法使いがかなりの人数いる】という事だった。


 まず奴隷システムというのはこちらの世界に来てすぐに性欲にかられた者たちが購入に向かったことで判明したことだ。

 これはゲーム時代にも存在し、奴隷を購入して好きなように扱えるというシステムだ。

 ゲーム時代では肉盾としての使い方がメインだったが、ドミナスオンラインが現実のものとなったことで召使いや、性欲のはけ口としても使われるようになった。

 また養子システムはこの奴隷システムの互換で、孤児院から子供を引き取ることで育成することが可能だった。

 このシステムはゲーム時代はほとんどの人間が見向きもしなかった物だが、こちらの世界に来て早くも拠点を構えた者が労働力欲しさにこのシステムを利用したことで判明した。

 ゲーム時代同様、拠点といくらかの寄付金を出せば養子をとることができたとの情報があり、すでに何人かのプレイヤーは義理の娘か息子がいる。

 ついでにいうと、養子を所持しているプレイヤーは基本的に奴隷も所持しており夫婦関係を気付いたものも、実はいる。


 次にテイマーという職業だが、これはモンスターと契約を結ぶことで一定時間の間そのモンスターを召喚することが可能となる。

 ゲーム時代では終盤のアップデートで実装された職業だが人気が高い職業だった。

 その理由として、テイマーは自分と契約したモンスター、通称召喚獣が得た経験値の一割を取得することができるためレベルが上がりやすく、さらに一人でパーティプレイができるため死ににくいというメリットがあった。

 ただし、デメリットとして攻撃力が魔法使い以上に低かったが、そこは攻撃力の高いモンスターでカバーすることができるので最強の職業とされていた。

 このテイマーの召喚獣が、こちらの世界でも問題なく使えたという事だ。

 さらに一部のモンスターは人語を理解しており、会話も可能になっているらしくゲーム時代よりも戦略性に幅ができたとの情報もある。

 この、召喚獣の変化は相違点としてモミジはノートに記載しているが、それに次いでアイテムの数が爆発的に増えた。

 

 モミジたちプレイヤーはアイテムを取得した場合、ポケットに入れておくかカバンに入れておくかという保存方法を使う事が多い。

 それはとっさに取り出せるという点と、人前で目立たないという理由がある。

 メニュー画面のアイテムという項目を選択する事で何処からかアイテムを取り出すことも可能だが、この方法はこの世界では悪目立ちしてしまうため人前では使わないという取り決めができた。

 

 しかし、人けのない場所でプレイヤーたちは多用していたのだが、その際に新たな発見があった。

 アイテム欄にアイテムをしまう際は心の中で収納と唱えるだけというのが判明したのだが、剣士が飛行モンスターを攻撃するために足元から拾った石ころまでアイテム欄に収納されたことで、この世界にあるすべての存在はアイテム化が可能と判明した。

 例えばゲーム時代、モンスターの死体などは光の粒子になってたがNPCの死体はその場に残されていた。

 それはこちらの世界でも変わらず、モンスターは粒子になり人間はその場に残り続けた。

 唯一の違いはゲーム時代に人間の死体を調べると所持品をはぎ取ることができたが、ゲームでは死体そのものをアイテムとして補完することが可能だった。

 この事実はモンスターとの戦いに明け暮れるプレイヤーが発見した情報で、偶然共闘する事になった兵士の死体をどうにか連れて帰りたいと考えた結果の行動だそうだ。

 それが原因でメニュー画面のことを現地人に知られてしまい、国に囲われそうになったところを総力戦で圧倒して黙らせたという話を聞いたときモミジの背筋に冷たいものが走ったが、結果的には不可侵という事に落ち着いたと聞いて胸をなでおろしていた。


 そして、最も重要なものが【現地人に魔法使いがかなりの人数いる】という事。

 これは運営側が『魔法使いはプレイヤーで出すと扱いにくいかもしれないが、敵として出すとかなり使い勝手がいい』と言っていたことに関係しているのだろう。

 先述の国と戦って圧倒したプレイヤーからの情報では、兵士の半分は魔法使いだったとの情報が開示されている。

 また、おおよそではあるがそのレベルも開示されており、平均レベル200前後の魔法使いたちだったと判明している。


 レベル200というのはドミナスオンラインでは初心者を脱したばかりの者たちという認識があるが、こちらの世界では超がつくほどのエリートという扱いらしい。

 モミジはそこで自分がレベル200だった頃を思い出して、そして『注意は必要だが致命的な脅威になる可能性は低い』と考え、思い直す。

 この世界はドミナスオンラインに酷似しているが相違点が多数存在する。

 もしかしたらレベル200程度でも脅威となる可能性は、多分にある。


 そのことを念頭に置いて、モミジはスキル一覧を開いて【封印抵抗力:17%】の文字を見る。

 この二週間でモミジと初心者三人のスキルは劇的に増えた。

 しかし、初心者三人のレベルはいまだに30前後しかない。

 今は一刻も早く三人を一人前と言えるレベル、最低でも300くらいまでは育てる必要があると考えたところで苦笑する。


(最初は50までって話だったんだけれどね)


 モミジはいつの間にか自分の中でダイゴ、レナ、ソケットの三人の存在が起きくなっていることに気付いた。

 それは、ゲーム時代でさえそろプレイを楽しんでいたモミジにとって大きな変化だったが、本人は気づいていない。

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