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レジストスキル

 宿に戻りモミジがまず行ったのは、【レジスト】スキルを上げる事だった。

 このスキルは所持しているだけで発動する、所謂パッシブスキルと呼ばれるものだ。

 その中でも【レジスト】スキルは有名であり、前衛職なら絶対に取得しておきたいスキルの一つでもある。

 このスキルの特徴は、【レジスト】の名の通り抵抗する事にある。

 現実的な言い方をしてしまうなら免疫力と言い換えてもいいだろう。

 例えば毒という状態異常がある。

 毒に侵された状態では体力が一定値ずつ減少し、さらに攻撃時にクリティカルという、要するに弱点を突いた攻撃が発動しなくなる。

 その毒を一定時間以上、もしくは一定回数以上食らった場合【レジスト】スキルを取得できる。

 このスキルのもう一つの特徴は他のスキルのように【スキル:○○】を取得しましたと表示されることはなく、あらかじめ【○○抵抗力:△%】と表示されている。

 その数値は前衛職のベテランであれば高い耐性を持っているが、100%の体制を持つ者はモンスターを含めて多くない。

 

 例えばモミジがスキル上げのために戦っていたレッドドラゴンは【火属性抵抗力:97%】のレジストスキルを所持している。

 これは文字通り、火属性の攻撃のダメージを97%カットする破格の効果だが、3%のダメージは通ってしまう。

 しかし炎属性魔法の97%を無効化してしまうその耐性は人間であるプレイヤーが所持することは不可能だ。

 もちろん防具の性能を含めればそれも可能だが、生身の状態では30%がいいところだ。

 

 例外があるとすれば毒や麻痺、睡眠抵抗くらいの物だろう。

 状態異常だけはモンスターだろうが人間だろうが100%の抵抗を得ることができる。

 しかしそれには長い間毒を受け続けた最古参最前線のプレイヤーか、立場上毒になれる必要のあった王族NPCくらいの物だろう。


 モミジは、この【レジスト】スキルの中でも【封印抵抗力】を強化しようと考えていた。

 封印という状態異常は、スキルを封印してしまう状態異常でモミジのような非力ながらに強力なスキルで戦闘をこなすプレイヤーにとっては最も気を付ける必要のある状態異常と言える。

 事実モミジは高額で希少な【封印解除ポーション】を3ダースほど常備している。

 過去に封印をかけられたせいで手も足も出ないままフィールドを闊歩している雑魚モンスターに蹂躙されたことが有る故の対処だ。


「……よしっ」


 モミジはパンっと頬をたたき、手元に用意した薬をのみほす。

 【生産職:薬剤師】が作成したPLポーションと称されるそれは飲ませた、もしくは投げつけた対象に状態異常を与えるという効果を持っており、モミジが手にしていた物は封印を施すポーションだった。


 それを飲み干したモミジはステータスを確認して、自身に封印の状態異常がかかっていることを確認する。

 それからスキル一覧から【レジスト】の項目を選択し【封印抵抗力:1%】と表示されていることを確認した。


「一度目は1%か」


 そうつぶやいてからモミジはアイテム欄から封印解除ポーションを選択して飲み干す。

 そして再びステータス画面で封印が解除されていることを確認して封印ポーションを飲んで状態異常にかかる。

 それを12回繰り返して封印状態を保持したまま床に就いた。


 この12回の封印を繰り返してもモミジの封印抵抗力は5%にも届かなかった。

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