閑話移動中
ダイゴ達のレベルを上げると決めてからのモミジの行動は早かった。
まずダイゴ達三人を連れてローリエの村に戻り適当な荷台と馬をを購入した。
ゲーム時代もちょくちょく使用された裏ワザで、荷台に馬をつなげばそれは馬車として扱われるというシステムを利用したものだ。
そして荷台に三人を乗せて、【ディメンション】の魔法を使い、中級ダンジョンのあるウエスタン街という街へ転移した。
ウェスタン街、ドミナスオンラインの舞台となっている大陸の西に有る街であり、レベル100前後のプレイヤーが多く集まる場所でもある。
モミジ自身【ディメンション】が発動するか、そもそも街があるかどうかという不安はあったがそこは魔法は無事発動し、ゲーム時代ほどではないがそれなりに栄えている街にたどり着くことができた。
「モミジさん……? 」
街についてすぐに馬を走らせてダンジョンを目指したモミジに不安そうな表情でレナが話しかける。
ソケットやお台地も同じような表情をしてモミジを見ている。
「これから平均レベル100のダンジョンに潜ってもらいます」
モミジはにっこりと笑いながらソケット達に笑いかける。
その言葉を聞いて三人は青ざめて無理だ死ぬ助けてと口々に叫ぶが、モミジは【パラライア】という魔法を発動させる。
【パラライア】は中級魔法の一つで使用者の周囲にいる相手を麻痺させる魔法だ。
その範囲はある程度指定できるのが強みだが、戦闘では使用者を中心に発動するためパーティ戦では使いにくい魔法でもある。
「大丈夫、援護くらいはするから」
モミジのその言葉を地面に倒れ伏したまま三人は聞いて、そして本気で逃げる方法を考え始めていた。