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神様の足音

罪

作者: 遼馬
掲載日:2013/09/03

 真っ暗だった。気温はやや暖かい。しかし部屋の中には間違いない。機械音が聞こる。

どうやら床に寝ていた様だ。ただここは何処だ。

一郎はここに来るまでの記憶をたどったが思い出せない。

今が朝なのか夜なのか、昨日は何処で何をしていたのか・・・・

 一郎は24歳。仕事は介護施設の派遣職員である。毎日7時に起床、8時には職場に着き夕方まで仕事をこなす。

田舎から出てきて2年。小さなワンルームマンションに一人暮らしだ。

恋人はいない。そこそこイケメンであるが真面目な性格で、今は恋人よりちゃんとした仕事に就いて正社員になることを望んでいた。

 暗闇の中、意識がはっきりしてくる。不安と恐怖がじわじわと押し寄せてくる。

ここは何処だ。俺はどうすればいい。このままじっとしている。出口を探す。

とりあえず立ち上がり壁伝いに動く。

目が慣れてきた。小さなランプが見える。赤、緑、オレンジ、時折点滅している。

何かの機械がいくつも並んでいるようだ。大きな機械室かもしれない。多少湿り気のある壁をたよりに移動する。

 ゆっくりだがかなり歩いたと思う。目の前に巨大なタンクらしきものが現れた。

何か字が書いてある。明かりは? 一郎は思い出した。スマホを持っている。

ポケットを探る。ない。さっき寝ていたところに落ちているのだろうか。戻るか、いやよそう。腕時計をしていた。時間を見る。うっすらと見える。長針と短針で3:40。安物の時計のため午前か午後かがわからない。

 ポケットにライターを見つけた。彼は真面目な男だがタバコは吸う。20歳で悪友に勧められ吸うようになった。だがポケットにはタバコは無かった。ライターに火をつけ、タンクに書いてある文字を読もうとする。部屋はガス臭くもなく火をつけても大丈夫だった。もし爆発でもしていたら、と火をつけたあとにゾッとした。

 タンクの文字に火を近づける。

「WATER」

水、てことか・・・少し安心した。どうやら見知らぬ世界ではないようだ。危険物でもない。最低でも英語は通じる。

水のタンク・・・貯水施設的なものか?しかし俺はなんでこんな施設の中にいるんだ。仕事場にもこんな施設はない。どこかのビルとか病院とかの地下施設に迷い込んだ?酔っ払って?拉致されて?

目覚める以前の記憶を何とか呼び起こす。いつものように家から歩いて地下鉄の駅へ。そして職場へ行きいつものように仕事にかかる・・・その辺からぼやけている。

巨大なタンクをつたいながら、さらに先へすすむ。

突然地響きのようなものすごい音が聞こえた。

「どんッどんッ」

「ゴーッ!」

足元が揺れた。地震?爆弾?戦争?まさか軍事施設?呆然としたまま想像だけ広がる。

ゴーッという音はだんだん大きくなる。戦闘機の爆音がいくつも重なっているような感じだ。揺れも収まらない。

天井の方がわずかに明るくなる。

火だ。そのものは見えないが明らかに炎に照らされた明かりだ。

火事?戦闘?上で何が起ってるんだ。逃げなきゃ。どこへ?はるか遠くに明かりが見える。

とにかく外の状況を把握しなくては。しかし戦闘なら死ぬかもしれない・・・いや、確かめよう。

薄暗い中、少し早歩きで進む。暫く行くとまた巨大なタンクがあった。

文字が浮かび上がる。

「OIL」

重油か、ガソリンか、やはり軍事施設か。明かりに近づいてきた。巨大な扉がそびえ立つ。

明かりはその巨大な鍵穴からもれている。

爆音に混じって人の声が聞こえる。

「うわーっ」

「ぎゃーっ」

大変だ。やはり戦闘か。クーデターか。

扉の大きなハンドルはビクともしない。

「くそっ、開け」

全体重をかける。少し開いた扉の隙間から、何か大きな影が迫ってくる。

「うわっ」



 都会の昼下がり、ビルの下に人だかりが出来ていた。どうやら誰か飛び降りたらしい。

警察官がその遺体を取り囲み現場検証をしている。

若い警察官が無線で話している。

「全国指名手配の○○○○に間違いありません。追い詰められてビルの13階から飛び降り。

午後3:35 死亡確認。」

お年寄りばかりを狙った詐欺と強盗殺人の罪で指名手配されていた凶悪犯だった。

若い警察官が続ける。

「弱いものばかりを狙った極悪非道な人間だ。死んで地獄で償うといい。」




「今日は何匹だ?」

「125匹。」

「最近増えてるなぁ・・・ん、一匹足りないぞ。」

「一匹ぐらいいいんじゃないの?」

「ま、いっか。閻魔様には内緒だぞ。」

「それよりちょっとお湯がぬるいぞ。」

「じゃあ強火でいくよ」

 赤鬼は釜の火力調整のふたを開いた。

「あっ一匹ここにひっかかってた!」





星新一さんの作品に出会ったのは中学生の時でした。それまで推理小説やSFばかり読んでいましたが、「ボッコちゃん」を読んではまってしまいました。それからずっと新作が出るたびに買い集め、先生の作品は全て読みました。私が20代の時にお亡くなりになり、その記事を見た私ショックは計り知れないものでした。もうあのショートショートは読めない・・・

あれから20年以上を経てこのサイトを知り、マイショートショートを投稿

致しました。星先生っぽいと思われれば幸いです。


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