悪夢が覚めたその先は新しい悪夢でした。おい、現実まで出張かよ勘弁してくれ…。
これよりchaosofchaos略してCOCに突入します。お降りの方は感想をお書きください。
不意に目が覚める。これほど救われる目覚めはもうないだろう。そう思えるほどだが寝ざめはすこぶる悪い。
一様悪夢から解放されたが、見続けた悪夢の内容が脳と言わずその魂まで刻みつけられたような感覚がする。簡単に言おう凄く気分が悪い!
吐き気など症状は無いが、どうしようもなく気分が悪い。
まるで自分が自分で無いかのような錯覚に陥る程にだ。
「うう…あ~」
そんなうめき声をあげようとした。が、聞えて来たのは「グルルルル」という地響きのようなうなり声。
そこで初めて目を開く。
そこには!!
何時もの街の景色があるだけ。
(アレ?何時も通りだぞ何だったんだ今の音は?)
そう思って首をかしげる。当たり前だが見える景色も視界と同じように動くが、
そこで気付いた。
(アレ、高さおかしくないか?明らかに首を傾げるの範囲を超えたろ今の。おまけに俺が住んでるのはアパートの一階しかも一番端。だがここはアパートの二階ほどの高さのうえに真中からのそれだ)
「どういう事だ?」そう呟こうとする。だが今度聞えて来たのは
先ほどよりも大きなまるで「ガァアアアアアア!」落雷の様な声(?)。
・・・。ふぅ
認めたくはない。認めたくはないが、どうも俺の喋るのに連動してこの声は響いて来る。
つまりは俺の声だという事だ。
顔の前に手を持ってくる。
物語で出てくるようなドラゴンの手を無理やり人の手の形に押し込んだようなもので、その手から何かもを引き裂きそうなほどに強靭そうな爪が生え滑らかで金属光沢を持つ外殻に覆われておりそこに自分の顔であるはずのモノが反射している。
怪物。
一言で表すのならそれだ。
手と同じ金属光沢を放つ外殻に覆われ、その眼はニ対あり生き物のモノではなくアニメのロボットについてるようなアイレンズを連想させ鈍い水色の光を放っている。なおここの目は五角形を引き延ばした感じだ。
口には唇が存在せず剥き出しの歯がみえる。その歯も肉食動物の様なものがビッシリと奥まで並んでいる。(しかも二重構造)その姿は凶悪で悪魔の様でもあった。
耳は無く。それ以外の突起物もない魚の様な滑らかなフォルムをしている。
(つこっみどころが多すぎて何処から突っ込んでいいかが解らん。)
そんな事をなんとなく考えていると周囲に目が行った。
よくよく見れば周囲はまるで球状に切り取られたかの様に無くなっており、その範囲の中に有った物(住んでたアパートとかその周りに止められていた車や自転車果てはアスファルトを含んだ地面まで)全てが消失している。
それはパソコンの3Dグラフィックで球状に範囲を指定・削除でもしたかのようなその光景は非現実的だ。人類がどれだけ精巧にこの場所を再現してもそれはなしえないだろうと断言できるほどには…。
(今までの常識を丸々捨て去ったら、この巨大な体の元になったとしたなら納得いくな。一体どんな風にやったかはこの際無視する事にしよう。考えて答えが出る様な事じゃない。しかし、でかいなこの身体)
そう最もおかしいのはそのサイズだ。
その大きさは抉れた地下から二階建ての建物と同じぐらいの位置に視点が有ることから三階建てのビルもしくはそれ以上の高さが有る事が窺える。
(しかしどうしたものか。この巨体に加えて言葉が喋られないとなると一般市民からは間違いなく怪獣扱いだ。下手したら警察さらに悪ければ自衛隊が動きかねん。流石にいきなり攻撃はしはしないだろうがそれでも捕まったら碌な目に遭いそうにない。)アインに対してい考えていた事が自分に対して起こるとはそう思い頭を抱える。
幾らか頭を抱えているとその内落ち着きを取り戻しふと気がつく。
(日はまだ出てないとはいえこれだけの怒っているのに誰一人起きだしてこないのは何故だ?誰か様子ぐらい見に来そうなもんだけど遠巻きに見てるって感じもしないし。ふむ、ラッキーぐらいに思っておこう。しかしこれからどうするかな~)
そんな事をしばしば考えていると日が昇って来たこれ以上ここに居るのは不味い。今は秋の初めって事は今は6時15~7分ぐらいかそろそろ朝の早いサラリーマンが気象を開始始める頃だ。
そう考えるが身を隠せそうな場所が無い。(自身のサイズ的に)
(う~ん、いざとなったら海に行くかそこから外洋に出よう。人目についちまうがしょうが無いか、うん)
そう考えると穴から出る(軽くジャンプしたが軽々と飛び越える事ができた)が、ここで予想外の事が起きる。
視界の端を何かの陰がかすめる。
そしてその視界の端に移ったものが急接近してくる。
(空飛ぶ知り合いなんていないぞ俺には。)そんな愚痴みたいな事を内心こぼしつつ行動を一時中断する。
スチャッという音を立ててにその謎の飛行物体が近くの電柱の上にとまる。
そこでやっとその姿を確認する事ができた。
一言で表すなら 烏より正確に言うなら烏天狗。
見た目的には人型にした烏だ。
その背に大きな一対の黒い翼を背負い。鳥の頭に鉤爪状になった物が手と足の両方についている。どちらも人よりも長い腕と脚に付いてるため身長は2メート近くありそうだ。
衣装はまるで山伏、武器の類は持っていないようだが、油断は禁物。
なにしろこちらは話せないだから交渉のしようが無い。
(まあ一様話しかけてみるかもしかしたら何か伝わるかもしれないしな。)そう思い
「どちら様で?」と、そういったつもりだが口から出たのは大きめの鳴き声だけだった。
「ここのアパートを知りませんか?」普通に返事が返って来た。返事と呼べるかは別としてだが…。
そして驚いたのはその声が明らかに女のモノだった事だ。気にせず話を続ける。
「俺がこの身体になった時に巻き込まれたようだ」
「そうですか。ここにあったはずのアパートに住んでる住人の方だったんですか?」そう丁寧語のままさらに質問が続く。
「そうだが?というか会話が成り立つ事に驚いているんだが本当に解っているのか?」
こちらの質問にも答えてもらいたいので問う。
「ええ、聞えるのは鳴き声ですが意味の方が別で伝わってくる感じですね。しかし、そうですかでは率直にお尋ねしましょう。ジンという方を知っていらっしゃいますか?」
そう真面目腐った態度を貫いた感じの事務的な対応がさらに続く。
自分の名前が出てきた為警戒を強めそれに冷たい声で答える。
「ああ、知っているがそれがどうした」
「そうですか。ではその人はどうしているかすぐに答えなさい!」怒気すら孕んだ声で続きを促されえるが、そんな風に言われてはいそうですかと答えられるほど俺も人が出来ていない。
「貴様はそれを知ってどうする?」
そうかなお所とは真逆の怒気を含んだ声で対応する。
「あなたがその体になる時に巻き込んだんじゃないですか?そうだとしたら彼は…彼は!」
今度はブワッ!という効果音がつきそうな勢いで泣きそうな声になる
「げっ!おい、泣くな!」
「ひっく…エック」と泣き始めた女天狗は徐々にその姿が変わっていく。
まるでくっついていた被り物がはぎとられるような感じで嘴まで付いたリアルなカラスの面はその背中に生えた翼に取り込まれていく。その烏の顔の取れた姿は高校生ぐらいの顔立ちでスレンダーな身体をしている。
こう言った行動をされるのが苦手なので慌てて謝る。
「すまなかった!悪かった!正直に話すから泣きやんでくれ!俺はそういう事をされるのが苦手なんだ!」
観念して謝りながら頭を下げる。
「ぐす、本当ですか?」今だ大きな瞳に涙を湛えて見つめられる。
(アインとは違う意味で厄介だな。)そうゲンナリした気持ちにになりながら肩を落とす。
「俺が心だ。嘘は付いてない確かめたかったら質問でも何でもしろ!」
そうぶっきらぼうに言いきる。
それにぽかんとした顔をした後
「君がジンなのかい!少し見ない間に大きくなって!!」
「テメ―どこの親戚のおばさんだ!!というか俺はお前なんか知らんぞ!」
そう正直な感想を吐露する。
「わ、解らないのかい?あんなにも僕は君に愛を語ったじゃないか!」そういって飛んで顔の前をうろちょろし始める天狗。
「ハア?いや、お前みたいな子供しらねーよ。つうか援交で捕まるわ!」
「え?援交?君は何を言ってるんだい。君と僕は同年代しかも会社の同期じゃないか!」
「いやうちの会社高卒は取ってないはずだが?それに同期?そんな僕っ娘記憶にないが」
「さっきから何を言ってるんだい?僕と君は同性じゃないか!」
(俺の知り合いにこんな奴一人しかいないが全然姿一致しない不具合が有るんだが何時パッチあてられるんだろう?)と、軽く現実逃避しながら訊ねる
「もしかして紫苑か?」「もしかしなくてもしなくても君の紫苑だよ。」
「・・・・・・・・・・・。」「どうしたんだい?」そう言って小首をかしげる。(そういやこいつ基本スタンスで他人に対して基本高圧的だったな。しかもあの小首を傾げる癖、内面を知らぬ女達を落としたあれだと言う事は)
「あ、マジで紫苑だな。その仕草をこのタイミングでする奴他に居ない」そう頷く俺に
「そこ!そこなのかい!!僕の判断基準そこ!?」
「当たり前だろ鏡見ろよ!」「君にだけは言われたくない!」
「解ってるよ!俺は人の姿なんざ残っちゃいね―けどな。」そこで区切り
「少なくともお前みたいに性別は変わってない!!」と叫んだ。
「へ?何を言っているんだい?」それに心底驚いた顔をしている。
「胸に手を当てて考えてみろ。自ずと答えが出るから」
「胸に手を…?」何を言ってるんだろ的な顔で胸に手を当てる紫苑。そこで紫苑に電撃が走る!
「凄いよ!パイオツがついてる!!やったねジン結婚できるよ!」「おい、バカやめろ!」
そんなカオスの坩堝と化した会話は、新たな羽音にかき消された。
「センパーイ!」という声に一人と一体が振り向くと安井の喋り方の女の声をを出す人間の上半身と普通乗用車位あるカマキリの下半身のキメラが飛んできていた。
「何なんだこれはどうすればいいんだ?」と、ほぼ無意識で出た言葉に
「笑えばいいと思うよ。」そう言って何時も通り紫苑が朗らかに笑いかけてくる。
悪夢は始まったばかりらしい。
修正+加筆しました。お気に入り登録キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!