第壱話
ふと目がさめる。外はまだ暗く、もうすぐで朝日がのぼるところだった。
少女、ウィオラ・モノクロームは、ベッドから体を起こす。眠たい目をこすり、寝室を出る。すると先に起きていたのか飼い慣らした犬がすり寄ってくる。
「おはよ……チェリー」
チェリーと言う名のミニチュア・ダックスフントは抱きかかえてくれんと言わんばかりに飛びつきはじめる。ウィオラはため息をついてチェリーを抱きかかえる。
「……」
チェリーに顔を舐められながらもリビングに行き、片手でチェリーを抱え直し。テレビのリモコンの電源ボタンを押す。
「今日から夏休み……だっけ……」
そう言って、チェリーをゆっくり降ろすと流し台に向かう。
「あ……」
何かを思い出したように、壁のフックにかけているゴムを一本取ると青空にも似たスカイブルーの腰まで伸びた髪を団子にまとめる。
その傍ら電源を入れていたテレビはニュースを話している。
『次のニュースです。昨夜、○○通りにて男性の首が発見されました。体の方はまだ捜索中ですので、見つかり次第、お知らせします。次のニュースです……』
「専門家とかに聞かないで終わらせるなんて……呆れたわ。"死神"がやったことはみんな知ってるでしょうに……信じられない」
テレビに文句を言い終えた後、顔を洗ってタオルで水を拭き取ると、冷蔵庫から卵とトマトを取り出す。
「さてっと、朝御飯食べて……」
と、フライパンを準備するとドアベルが3回鳴った。
「?? 誰よ。こんな朝に……」
IHの上にフライパンを奥と玄関に向かう。
チェリーがドアの向こうに向かって吠えだす。ドアの向こうに誰がいるのだと言うのだ……。
「はい」
そう短く返事を返し、ドアをゆっくりあけると相手に無理やりこじ開けられ相手は中に入る。そして、ドアを閉めたかと思うと鍵まで閉めた。
「ちょ、ちょっと……なんなのよ!!」
「か、匿ってくれ!! 仲間を裏切ったら追いかけられたんだ!!」
(自業自得じゃないかしら……?)
入ってきたのはフードをかぶっていて顔は見えないが、声からして女だと思われる。
「ね、ねぇ、あなた……」
グゥゥゥゥゥゥゥ……
「!?」
「……」
フードの女からお腹の音が聞こえ、ふぅとため息を付くウィオラ。
「今、私の朝食を作ろうと思ってたの。私があなたを匿う理由はまた聞くから。取りあえず、フードを取って食事を取ることね」
フードの女は、フードを取った。
「!?」
それをみたウィオラは一層驚いた。フードから出てきたのはおそらく10代前半である女の子だったからだ。
「そんな……まだ……こんな……ねぇ、あなた、何歳?」
「り、リィは11歳……」
フードの女の子はリィという名前らしい。
「……リィちゃん……取りあえず、座ろうか」
リィは静かに頷き、差し伸べられたウィオラの手を握りゆっくりと立ち上がる。
「ありがとう……お姉ちゃん」
ウィオラはリィに微笑むと椅子に誘導し、リィを座らせた。
「ちょっとまってて。今からご飯作るから!」
急いで台所に戻ると、取り出してあった、トマトをサッと水洗いしてクシ形に切る。フライパンを熱し、トマトを入れ、卵を落とし、フライパンの中でかき混ぜる。
「さ、できた!!」
鼻歌を歌いながらお皿を二枚だしてきて、さらに冷凍庫から食パンを二枚出し、トースターにかける。
「あ、勝手にやったけど……パンでよかったのかな? リィちゃん」
確認を取るように彼女をみると彼女はゆっくりと肯定の仕草をした。
ホッとする仕草を取った後、タイミングが合うように
「こんにちはー!!」
と、ドアの奥から声が掛けられた。