愛撫
朝、目覚めたら、愛しい彼の手が背中にあった。
白いシーツの海の中、レースのカーテン越しの朝日を浴びながら、先に目覚めていた彼が、私を見つめて微笑んでいた。
「おはよう」
彼の唇がそう動き、私の額にキスをする。
背中に回したてのひらが、私の背中を優しく撫でる。
あったかい……。
力を込められたら骨が折れてしまいそうな、そんな逞しい腕で、優しく私を抱いた。
私はベッドの上で立ち上がり、彼のほうへ近づくと、鼻の頭を舌で舐めてあげる。
くすぐったそうに笑う彼に、甘えた声を出した。
「みゃー……」
「あははは、あずにゃん。おまえのおかげで今日も元気に仕事ができるよ」
猫に産まれてよかった。
こんな幸せな朝を毎日、迎えられるのだから。
彼にも最高の幸せを、いつも与えてあげられるのだから。