01-04:1匹3,000円
「……ははーん。さては灯、蔭山が気になってるな?」
「ぎくっ!?」
半分ほどの長さになったプリッツを、咥えたまま縦にプラプラ揺らしてニヤニヤ開始。
挑発されてるようで、なんだか両耳が熱くなってくる──。
「いいんだぞ、灯。うちは自由な校風だから、女子同士で大っぴらにつきあっても。もっとも、向こうにも選ぶ自由はあるがなぁ」
「ち……違いますって! そんなんじゃありませんっ!」
「フフッ、じゃあどんなんだ?」
フフッとか笑い出しやがったこの教師。
生徒を弄って楽しむ教職者の屑。
「あ……あたしはただっ! 蔭山さんの前髪が長すぎて陰陽師的な顔のアレだなーって思っててそれでも前が見えるのは異眼とか心眼とかそういう異世界的なナニの異能力者なのかなーってちょっと思ってるだけなんですーっ!」
「……………………」
──ポキンッ!
先生のポッキーが歯で折られて、床に落ちた。
その小さな音で、われに返った。
言い訳……盛大に間違ったかも。
ああ……利賀先生のあたしを見る目が、教え子を見る目から、関わりたくない人を見る目になっていく……。
「……オケ。もう帰っていいぞ、灯」
「はい……。失礼します……」
3匹目の藪蛇捕獲……。
あたしは沖縄のハブハンターかっ!?