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火雷鳴る地吹雪の調査班 3-2

「・・・」

「・・・」


「すまない」

「いえ・・・」


「また・・・夢を見たんだ」

「自分は・・・生きてます。ここにいます」

「わかってる・・・わかってるさ・・・」


隊長は時々、目の前で私が殺される夢を見るらしい。あれだけ強い隊長が何故か夢の中だととても弱くなってしまうという。

見る夢も必要あれば操れる隊長が、この夢だけは操れないらしい。


「・・・」



あぁ、あの景色が脳裏に浮かぶ。何も出来ず倒れ伏すことしか出来ない私。それを必死で庇う彼。

叫び狂う私と、ボロ雑巾のような状態になっても私に覆い被さろうとする彼。

それを顔の見えない敵が引き剥がし、私の目の前で蜂の巣にする。

ついに力尽きて倒れる。およそ人間の姿には見えない。

泣き叫ぶ私に敵が言う。


“報いを受けるがいい。お前も多くの人の、多くの大事な人を奪った。これは罰だ。因果応報だ。

お前だけ幸せになることは許されない。不幸にした人の数だけ、お前は業を背負うのだ。決して逃れられない”


毎回そのような言葉を受けてから起きる。


「・・・ハッ! はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・ハハハ、夢か・・・そうか・・・夢・・・なんだな・・・。あぁ、そうさ。夢だ。くだらない、夢だ。ははは・・・」


目が覚める。酷い寝汗だ、私らしくない。


「行かないと・・・」


本当なら着替えるなりシャワーを浴びるなりすれば良いが、その時の私はそれを思考できる余裕がなかった。

夜遅くに寝巻きのまま部屋を出る。施錠だけは忘れない。持ち物は携帯と鍵だけ。思えば、先に電話をするべきだったろう。彼が扉を開ける前、不機嫌そうな気持ちが伝わってきた。しかしそれでも彼は受け入れてくれた、本当にありがたい。



「わかってるのだが・・・」

「・・・安心するまで存分にどうぞ」


「すまない・・・本当なら君には四六時中私と一緒にいて欲しいのだが・・・世間帯もあってそれは難しい。だから・・・作戦では一緒に・・・」

「えぇ・・・わかってます。大丈夫ですよ」

「すまない・・・」



――しばらくして


「もう大丈夫だ」

「それは良かったです」


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