火雷鳴る地吹雪の調査班3 出撃前夜
第3話 出撃前夜
隊長と自分は、時々お互いの部屋で寝泊まりしてます。言い出したのは隊長で、当初は断っていたのですが・・・あの人、一度決めたら滅多に意思を曲げないので、結局自分が折れました。
当初こそ心臓バックバクで何度か危ない目に遭いましたが、なんとか回避してます。
あのお方は距離感がバグり散らかしてます
スタスタ・・・
深夜の隊舎、とある一室に向かって歩く人影が。おぼつかないが、その足取りは忙しい。隊舎は個室になっており、ちょっとしたアパートとなっている。
ピンポーン
「んー・・・?」
ぐっすり寝てるところに邪魔者が。誰だ、俺は寝起きは機嫌悪いぞ
「ふわぁーい・・・」
スタ・・・スタ・・・
あー足取りが重い。ったく誰だよこんな夜更けに。何時だと思ってんだ。
ピンポーン
「はーい・・・少々お待ちをー」
待てっつーの。こんな夜更けに来る方が悪いんだろうが・・・ったく、我慢出来んのか。とイライラしながらモニターを見ると・・・
「!?」
隊長だ。・・・待て、隊長!?なぜ隊長がいらっしゃる!?なぜだ!?
寝ぼけた脳が一気に覚醒する。そうして導き出された答えは・・・
あ!明日作戦じゃん!
隊長は作戦前にこうして来ることが多い
(やばいやばい!急げ急げ!)
ガチャ ギィイイン
「はい!」
「・・・やぁ」
「・・・」
(こりゃあなんかあったな。表情に覇気がない)
珍しく元気がない。いつも凛々しいあのお顔が、絶望に打ちひしがれたようなお顔をしている
「隊長・・・大丈夫ですか?ひとまず中へ」
「あぁ・・・ありがとう」スタスタ
ガチャ
ススッ
靴を脱いで上がる隊長
ト・・・ト・・・ポスッ
「!」
互いに上がったところに隊長がそのまま彼にしだれかかる
「・・・」
「・・・」
「たいちょ「アーシェだ」」
「・・・」
「アーシェさん・・・大丈夫ですか?」
「しばらくこのままでいいだろうか・・・」
「・・・分かりました」
「「・・・」」
2人して何も喋らない。こういう時はアーシェさんに任せている。いいというまでこの格好だ。
ギュウウウ・・・
「・・・」
ハグするアーシェと、それに応えハグをし返すクロス。2人はしばらくこのままだった。