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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第2章 中学1年生2学期編
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第98話 2学期中間テスト

 中村裕太が転校してから、私は改めてクラスの課題の提出率を調べてみた。


以前は30%前後しかなかった提出率が、80%ほどに上昇していた。


そして、いよいよテスト本番。


例によって、テストの面接官はその専門教科以外の教員が担当する。


私は1学期と同じように数学の面接を担当する。


最初はとても簡単な計算問題が並んでいる。


当たり前のことだが、テストというのは簡単な問題が最初の方にあって、後にいくほど難しい問題が増えている。


数学が大得意な及川春斗は、残り時間半分を残し、すべての問題を早々に解き終わった。


少し遅れて水野真理もテストを終えたようだが、その他の生徒の多くは最終問題に苦戦を強いられていた。


私も生徒たちの様子を見ながら、その問題に目を通してみる。


「ある公園で、AさんとBさんは家から一定の速さで歩いて向かいました。


Aさんは家を出てから12分後に公園に着いた。


BさんはAさんの家から出発して、Aさんより3分遅れて出発しました。


しかし、BさんはAさんより毎分20メートル速く歩いたため、Aさんと同時に公園に到着しました。


Aさんの歩く速さがxメートル/分である時、Aさんの家から公園までの距離を求めなさい。」


頭の中で解法を思い浮かべてみる。


まずは与えられた情報を整理する。


出発時刻はAさんが0分、Bさんが3分後。


到着時刻は2人とも12分。歩いた時間はAさんが12分、Bさんは12−3=9分。


Aさんの歩く速さをxメートル/分とすると、Bさんの歩く速さはx+20メートル/分と表せる。


これを踏まえると、Aさんの歩いた距離は12x、Bさんの歩いた距離は9(x+20)と表せるから、


12x=9(x+20)という式を解けば、答えが出る。


AさんとBさんの移動距離は等しいのだから。


もちろん、私も頭の中だけでこの問題を解けるわけではないけれど、解法は頭の中で思い浮かべることはできる。


「でも、私も中1の時こういう問題解けなかったな……」とつくづく思う。


私も中学生の時、数学の文章題は見るだけで頭が痛くなって、だんだん眠くなってきて、いつも苦労してたっけ。


だけど、今、目の前の生徒たちはその問題に対して諦めることなく真剣に取り組んでいる。


音楽祭の前は見られなかった光景だ。


一見勉強とは何の関係もない学校のイベントも、生きていく上では役に立つ。


音楽祭に向けてどうすれば優勝できるのかを考え、一生懸命練習する。


そのプロセスは、勉強にも応用できるのだ。


小林侑李は髪の毛を触りながら、吉田健太郎は腰に手を当てながら真剣に考えている。


私は机を巡回しながら、生徒たちが真剣な表情でテストに取り組む様子を嬉しく思っていた。

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