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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第2章 中学1年生2学期編
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第97話 クラスからの贈り物

僕の名前は中村裕太。僕は自分が嫌いだった。


暗くて、引っ込み思案で、取り柄と呼べるものがなくて、学校にも行けなかった自分。


けれど、担任の園崎先生やクラスのみんなのおかげで、クラスに少し馴染むことができた。


音楽祭での冒頭の挨拶は我ながら上出来だったと思う。


今日が最後の日になるから、園崎先生に許可を貰って、クラスのみんなにお菓子を配った。


そして、改めてクラスのみんなにお礼の挨拶をした。


「改めまして、短い間だけど皆さんと過ごせて楽しかったです。本当にありがとうございました。」


僕がそう言うと、学級委員長の水野真理が前に出てきた。


「裕太君に渡したいものがあるんだ。」


そして、何かを僕の手に渡した。


僕は自然に目が潤んだ。


暖かいコメントが多くて、本当に嬉しかったのだ。


彼女に渡された色紙には、感謝の気持ちや思い出などの僕へのメッセージが綴られている。


一番上には園崎先生のメッセージもある。


「裕太さんへ


転校すると聞いて、とても驚きました。そして同時に、これまで一緒に過ごしてきた日々が思い出され、少し寂しくも感じています。

裕太さんはいつも真面目に、そして一生懸命に頑張る姿が印象的でした。音楽祭の挨拶、とても格好良かったです。


新しい学校、新しい環境に飛び込むことは、きっと不安もあると思います。ですが、これまで頑張ってきた裕太さんなら、きっと新しい場所でも素敵な出会いや経験を重ねていけるはずです。

これまでの自分に自信を持って、どうか前向きに歩んでください。


遠くからにはなりますが、これからの裕太さんの成長と活躍をずっと応援しています。

またどこかで再会できることを楽しみにしています。


園崎凛」


「園崎先生、やっぱ字上手いなぁ...」、僕は心の中で呟いた。


他の生徒たちのメッセージにも目を通す。


「あんた何泣いてんのよ?」と牛島佐紀。


「転校した後もずっと仲良くしよーな。」と吉田健太郎。


「頑張ってね。」、と小林侑李。


僕は力強く頷いた。


小林さんに「頑張ってね。」と言って貰えたことが、凄く嬉しかったから。


彼女とはほとんど話せなかったけれど、その一言だけで十分だ。


僕が入学早々一目惚れした女の子から声をかけてもらえるなんて、凄く幸せだ。


今の僕には彼女のような存在は高根の花。


けれど、僕は転校先でも一生懸命努力して、彼女に見合うような人間になろうって思ってる。


「みんな、本当にありがとう!転校先でも頑張ります!」


僕は泣き笑いしながら、叫んだ。


 家に帰ると、改めてクラスメートからの贈り物を見た。小林さんはもちろん、園崎先生や牛島さん、それに吉田君...クラスメートたちの僕へのメッセージがびっしりと書かれている。この色紙は、生涯の宝物になるだろう。


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