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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第2章 中学1年生2学期編
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第95話 秘密のサプライズ

「皆さん、こんにちは。

そして、二日間にわたる文化祭、本当にお疲れ様でした。


今年の文化祭のテーマは「未来へつなぐ、一人ひとりの光」でした。

そのテーマのもと、各クラス・各部活動が創意工夫を凝らし、準備に全力を尽くしてきたと思います。


本番では、笑顔や歓声、驚きや感動に満ちた素晴らしい時間が流れていました。

教室や体育館、廊下の隅々にまで、みなさんの情熱と努力があふれていたことを、心から誇りに思います。


また、この文化祭の開催にあたり、ご指導いただいた先生方、ご協力いただいた保護者の皆様にも深く感謝申し上げます。

そして何より、会場を盛り上げ、文化祭を一緒につくり上げてくれた生徒一人ひとりに、感謝の拍手を送りたいと思います。


文化祭は今日で終わりますが、この経験はきっと、これからの学校生活や人生の中でも力となるはずです。

成功も失敗も、すべてが私たちの成長の糧です。


それでは、これをもちまして、第23回森浜祭を閉会いたします。

ありがとうございました。」


生徒会長が挨拶をすると、盛大な拍手が起こる。


やはり生徒会長の田辺蒼真は、いかにも優等生といった雰囲気だ。


普通の挨拶をしているのに、みんな彼の話を真剣に聞いていた。


最もお約束通りその前の校長先生のお話はとんでもなく退屈で、聞いている生徒の方が少なかったが。


 文化祭の振り替え休日が終わると、いつも通りの授業が始まる。


「文化祭、楽しかったね。毎日でもやりたいくらい。」


「授業、めんどくせーな。」


「ほんとにだるいわよね。」


生徒たちは口々に愚痴を言いながら登校する。


2時間目の国語の授業の時間、牛島佐紀が真剣にノートを取っていると、後ろから肩を叩かれた。


「何よ、秋田県!」


「その呼び名はやめろって。水野さんが、牛島さんにこれ渡して欲しいって。」


「真理が?」


佐紀は、健からそれを受け取ってすぐ理解した。


1枚の色紙に、中村裕太へのメッセージが書かれている。


「何を書けば良いんだろ。」


佐紀は長い間考えて、やっとのことメッセージを書き記した。


そして、前の席の飯森杏樹に色紙を回す。


彼女も、その趣旨をすぐに理解した様子だった。


「ねぇ、みんな、今日何かあったの? 大丈夫?」


私が心配そうに声をかけると、教え子たちが一斉に何かを誤魔化した。


「そ、そんなことないですよ。いつものことです。」と佐紀。


「はい。園崎先生は気にしすぎです。」と健。


「みんな文化祭が終わって疲れちゃってるんですよ。」、真理がそう言うとみんなが一斉に頷く。


「そうそう。」


「まだ文化祭気分で。そろそろ切り替えないといけませんよね。」


「先生はいつも通り授業を進めてください。」


「そ、そう? じゃあ続けるわね。」、私はその日生徒の普段と違う様子を気にかけながらも、いつも通り授業を続けたのだった。

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