第90話 クラス対抗クイズバトル!
生徒パフォーマンスショー「スター★ナイト!」が終わった後は、クラス対抗クイズバトルだ。
各学年の1組~4組が団結して競技を行う。
正解が分かった人が手を挙げて、答えを言って合っていれば1ポイントを獲得し、逆に間違えると1ポイントが減点される。
クイズは、学校に関する豆知識、有名曲イントロクイズ、勉強クイズ、先生の小ネタクイズの順にそれぞれ10問ずつ出題される。
因みに、このクイズにはクラス担任を持っている教師も参加することができる。
学校に関する豆知識は、1組と4組がほとんどのポイントを獲得し、有名曲イントロクイズは2組と3組が大部分のポイントを獲得した。
そして、次は勉強クイズ。
勉強に関する内容がランダムに10題ずつ出題される。
「まずは第1問。この漢字は何と読むでしょう?」
スクリーンに"膃肭臍"の3文字が映し出される。
「はい!」
私は秒で手を挙げた。
「園崎先生、答えをどうぞ!」
「おっとせい!」
「正解です!」
国語の教員にとっては簡単な問題だが、3組の生徒たちが「園崎先生、凄い!」と言って拍手をしてくれたのは嬉しかった。
「続いて第2問はフラッシュ暗算です。」
2、3、5、9、2、7、1、4、9、5、1、9
数字が数秒間ずつ映し出される。
及川春斗が手を挙げた。
「はい!」
「57です!」
「正解です!」
その後第3問~9問は、1年3組から正解者は出なかった。
そして、勉強クイズの最後の問題が発表される。
「勉強クイズの最後はかなり難易度が高いですよ。この日本語を英訳せよ。」
"弁証法的唯物論とは、簡単に言うと世界の全ては物質でできており、その物質は常に変化し、対立するものが統一され、発展していくという考え方である。※ただし、弁証法的唯物論は英訳しなくても良い。"
森本猛が手を挙げた。
「はい!」
「Dialectical materialism, simply put, is the idea that everything in the world is made up of matter, that matter is constantly changing, and that opposites are unified and developed.」
「That's right. Great.」
彼が正解した瞬間、会場中から一斉に拍手が起こる。
「Marxian economics is a system of economics founded by Marx. Dialectical materialism, advocated by him and Friedrich, views the world as the movement of matter and attempts to understand this movement dialectically. Dialectics is a way of thinking that integrates two opposing ideas to create a higher level of thinking. Dialectical materialism, in simple terms, refers to the idea that everything in the world is made of matter, that matter is constantly changing, and that opposites are unified and develop.(マルクス経済学とは、マルクスによって創始された経済学の体系である。彼とフリードリヒによって提唱された弁証法的唯物論とは、界を物質の運動として捉え、その運動を弁証法的に理解しようとするものである。弁証法とは対立する二つの考え方を統合し、より高い次元の考え方を生み出す思考法のことであり、弁証法的唯物論を簡単に説明するならば、世界の全ては物質でできており、その物質は常に変化し、対立するものが統一され、発展していくという考え方を指す。)」
この文章を完璧に暗記していた彼にとって、先ほどの問題は朝飯前であった。
最後は先生に関する小ネタクイズ。
先生たちの趣味や普段の生活が知れて、生徒たちにとって、いや、先生方も含めて楽しい時間になった。
クラス対抗クイズが終わると、1位だった1組は、景品のお菓子を貰っていた。
私たちのクラスはと言えば、結局4クラス中3位という結果だったけれど、教え子たちが楽しそうにしている様子を見て、私も自然と笑顔になった。