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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第2章 中学1年生2学期編
89/134

第89話 私の出番

ダンス、そして漫才が終わった後は、有志による手品ショー。


3組からは植松博が参加した。空中からスカーフを出現させたり、手を触れずにボールを浮かせたりして彼の手品は大好評だった。


そして、いよいよ私の出番。


これは有志の教員たちによるサプライズ企画。


「お次は、有志の先生方によるバンドで、『夜の職員室』です。」


生徒会長の田辺蒼真の威勢の良い掛け声と共に、私たちはステージに上がる。


ボーカルは音楽教師の望月楓、ギターは体育教師の後藤敦、ベースは私、ドラムは1年4組担任の鈴木林太郎、キーボードは1年2組担任の丸山望が担当だ。


「まず1曲目、『放課後のスケッチ』。お聞きください。」


望月楓が簡潔に述べると、私たちは即座に演奏を始める。


「黒板に残るチョークの線

午後の光が伸びている

「さようなら」って手を振る声

今日も元気をもらったよ


職員室に戻る途中で

ちょっとだけ思い出す

あの日、自分もここにいた

机に落書きしてたっけ


放課後に描いた未来は

今でもどこかで動いてる

君が笑えば 僕も笑う

そんな日々が愛しい

スケッチブックのように」


「何か...良く分からないけど、凄いね佐紀?」


「うん。」


佐紀と真由の心に『放課後のスケッチ』による演奏が突き刺さる。


「プリントが風に舞った日も

言いすぎて悩んだ夜も

返ってくる「ありがとう」が

何よりも胸にしみるんだ


たまには厳しくもなるけど

信じてる それだけさ

君の中にあるひかりが

きっと誰かを照らすから


未来には答えがなくて

迷いながらでも歩いてく

君の声が 背中押すよ

今日の空に響け

放課後のメロディ」


2番を歌い終わると転調に入る。


「放課後に描いた未来は

色を変えながら続いてく

大人になっても 忘れないよ

この場所から始まる

スケッチブックの夢」



私はこの日のためにたくさんの練習を重ねてきた。音楽の経験は少ししかないから決して上手いとは言えないけれど、自分なりに上達できて満足している。会場の拍手を聞きながらとても嬉しい気持ちになる。


「ねぇ、真由?」


「なぁに、佐紀?」


「文化祭終わったらさ、私たちもやらない、バンド?」


「え?」


「望月先生たち楽しそうだし。めちゃくちゃ上手いってわけじゃないけど、何か良いじゃん。」


「だけど、うちの学校には軽音部とかないよ。」


「そう、だからないものは作っちゃえば良いんだよ。5人以上の部員と顧問を確保することが部活発足の条件よ。みんなも協力してくれるよね?」


佐紀がイツメン6人の顔を見つめる。


「私は遠慮しとくよ...」と美月。


「そっか。じゃあ美月以外の6人でやろ。」


佐紀の言葉に桜、真由、まどか、光里、花実が頷く。


「意気地なし」、佐紀は美月に向かって心の中で呟いた。

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