第88話 全力漫才!
ダンスのあとは、有志による漫才がスタート。
1年3組からは、桐谷蒼、三宅拓斗の2人が参加。
蒼がボケ担当、そして拓斗がツッコミ担当である。
テーマは、「学校の七不思議、調査してみた」。
「葵: どうも〜、よろしくお願いします〜!
拓斗: やってきました中学校の名探偵、タカシとケンタです!
蒼: いや、そんな名乗りしたことないけどな。
拓斗: 今日のテーマは『浜森中学校七不思議』について!
蒼: いきなりオカルト!?もっと普通のネタにしようよ。」
ステージに立つと、挨拶と共に漫才スタート!
まず、最初のネタは「放課後の怪」。
「葵: まず1つ目の不思議、『放送室から流れる謎のBGM!』
拓斗: あれ給食の時間の音楽な!
蒼: でもよく聞いてみたら、たまに謎のラップ入ってない!?
拓斗: それ放送委員の健が勝手にビート乗せてるだけ!」
1つめのネタはびっくりするほど受けず、盛大に滑ったが2人は焦ることなく落ち着いて先を進める。滑っても変に取り繕わないこと、めげないことは人を笑わせる芸をする時は、必須のスキルだ。
2つ目のネタは、「保健室の秘密」。
「葵: 2つ目の不思議、『保健室に行くと誰でも休める!』
拓斗: まあ、体調悪い人が行くからね。
蒼: でも俺、算数の時間にだけ体調悪くなるんだよね〜。
拓斗: それ仮病っていうんだよ!」
会場がどっと笑いに包まれた。彼らは畳みかけるように残り3つのネタを披露する。順に「消えた宿題」、「先生の移動スピード」、「誰も使わない階段の謎」である。
「葵: 3つ目、『提出したはずの宿題が先生の元に届かない!』
拓斗: それは出してないだけやろ!
蒼: いや、昨日ちゃんと夢の中で出した!
拓斗: 夢で提出しても内申点にはならん!」
「葵: 4つ目、『先生、どこにでもいる説!』
拓斗: あー、廊下で騒いでたらすぐ注意されるよな。
蒼: もうあれだよ、先生には瞬間移動の能力あるんだよ。
拓斗: どんなRPGだよ!」
「葵: 5つ目、『西階段、なんか怖くない?』
拓斗: 昼間でもちょっと暗いよな。
蒼: 一歩踏み出すと『ギィィ…』って音するのよ。
拓斗: それただの老朽化だわ!」
「葵: …ってことで中学校の七不思議、あと二つ見つけてくるわ!
拓斗: 見つけたらまた夢の中で発表しとけ!
二人: どうもありがとうございました〜!」
会場が笑いの渦に包まれたまま、2人は無事に漫才を終えた。
「あの2人、あんな面白いことやってたんだ。」、と私は心の中で思った。
4カ月以上生徒たちと同じ時間を過ごしてきたけれど、まだまだ知らないことが沢山だ。